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『稲盛和夫一日一言』 10月22日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月22日(日)は、「全(まった)き人格者となる」です。

ポイント:リーダーとは、集団を正しい方向に導くため、能力があり、仕事ができるだけでなく、自己研鑽に努め、心を高め心を磨くことで、素晴らしい人格を持った「全き人格者」であらねばならない。

 人間学を学ぶ月刊誌『致知』2005年3月号(致知出版社) の中で、「人格はどのようにつくられていくのか」という内容で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 世間には高い能力を備えながら、心が伴わないために道を誤る人が少なくありません。私が身を置く経営の世界にあっても、自分さえ儲かればいいという自己中心の考えから、不祥事を引き起こし、没落を遂げていく人がいます。
 いずれも経営の才に富んだ人たちの行為で、なぜと首をひねりたくもなりますが、古来「才子、才に倒れる」といわれるとおり、才覚にあふれた人はついそれを過信して、あらぬ方向へと進みがちなものです。

 そういう人は、たとえその才を活かし一度は成功しても、才覚だけに頼ることで失敗への道を歩むことになります。才覚が人並みはずれたものであればあるほど、それを正しい方向に導く羅針盤が必要となります。

 その指針となるものが、理念や思想であり、また哲学なのです。そういった哲学が不足し、人格が未熟であれば、いくら才に恵まれていても、せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず、道を誤ってしまいます。これは企業リーダーに限ったことでなく、私たちの人生にも共通していえることです。

 この人格というものは「性格+哲学」という式で表せると、私は考えています。人間が生まれながらに持っている性格と、その後の人生を歩む過程で学び身につけていく哲学の両方から、人格というものは成り立っている。
 つまり、性格という先天性のものに哲学という後天性のものをつけ加えていくことにより、私たちの人格は陶冶(とうや)されていくわけです。

 言い換えれば、哲学という根っこをしっかりと張らなければ、人格という木の幹を太く、まっすぐに成長させることはできないのです。(要約)

 また、2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第5巻 リーダーのあるべき姿』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、「確固たる人格を備えたリーダーの重要性」と題して、名誉会長は次のようにも述べられています。

 アメリカ有数のシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)副会長デイビット・M・アブシャイア元NATO大使は、共催した会議の冒頭スピーチで、「ジョージ・ワシントンが初代アメリカ大統領になった最大の理由は、彼が素晴らしい人格者であったからだ」と述べられました。
 つまり、リーダーとして一番大切なのは、その人が持つ「人格」であると説かれたわけです。

 
 アメリカはイギリスから独立を勝ち取って建国を果たしたわけですが、世界各地の植民地の中で、独立後にアメリカほど順調に発展を遂げていった例はほとんどありません。
 アメリカが独立したとき、合衆国議会は初代大統領ワシントンに強大な権限を与えるのですが、もし彼に人間として重大な欠点があったなら、国の運命を危うくしかねないほどの権限を、一人の人間に与えようとはしなかったはずです。

 「国は一人を以て興り、一人を以て亡ぶ」

 中国の古典の一節ですが、いくら素晴らしい人格をつくり上げても、それは時間とともに変化してしまうものです。権力の座についた途端、傲慢に陥るような人物がリーダーに選出されるようでは、その集団は不幸な目に遭うことになってしまいます。そうであるならば、変節をしない強固な人格を持った人をリーダーに選ばなければなりません。
(要約)

 今日の一言のような「全き人格者」などそうそういませんから、私たち凡人は、日々少しでも己の人格を高めていけるよう、自己研鑽に務めていくしかない、ということではないでしょうか。 


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