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『稲盛和夫一日一言』 12月13日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月13日(水)は、「天は見ている」です。

ポイント:長い人生の旅路では、失望や困難、試練のときが何度もある。しかし、天は決して誠実な努力とひたむきな決意を無視したりはしない。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、きれいな願望を持ち続けることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 世のため人のため、というきれいな心をベースにした思い、願望というものは必ず成就します。それが最上の思いであるがゆえに、最良の結果がもたらされるのです。
 逆に、私利私欲に基づいた「濁った願望」は、いったんは実現できても、一時的な成功で終わってしまいます。

 そのことに関連して、同じ京都の財界人ということで親しくお付き合いをさせていただいているワコール創業者の塚本幸一さんから、次のような話を聞いたことがあります。

 彼は、太平洋戦争末期、ビルマのインパールで行われた無謀かつ悲惨極まりないとされている日本軍の侵攻作戦、いわゆるインパール作戦の生き残りです。
 まさに九死に一生を得た経歴の持ち主である彼は、「オレには神がついとる。神がついているから、事業においても、こうしたい、ああしたいと思ったことは全部うまくいってきた」と言われていました。

 しかし、あるとき厚い信頼を置いている副社長にその話をしたところ、「たしかに社長のおっしゃるとおりかもしれません。ただ、あなたが濁った願望を持たれたときは例外ですよ」と言われたそうです。

 それは、「正義を貫いているあいだは神様が加勢してくれるが、邪悪で濁った願望をもって私利私欲に動いたならば、神様はそっぽを向いてしまうでしょう」という、塚本さんへの戒めの言葉でした。

 私たちが何かを成そうと必死に願い、一生懸命に努力する。その願望が自分の私利私欲を離れたきれいなものであれば、それは必ず実現し、また永続していきます。

 「天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさず」

 見ていないようで、神様は人間のすること、思うことの理非曲直(りひきょくちょく)を実によく見ておられますから、成功を得たい、あるいは成功を持続させたいと強く願うならば、その描く願望や情熱はきれいなものでなければなりません。
 無私の心で臨むことこそが、物事を成就させ、人生を豊かなものにしてくれるのです。
(要約)

 「天網恢恢疎にして漏らさず」とは、「天の張る網は広くて、一見目が粗いように見えるが、決して悪人を網の目から漏らすことはない。つまり、悪事を行えば必ず露見し、厳しい天罰を被ることになる」といった意味です。

 また「理非曲直」は、「道理にかなっていることとはずれていること、道徳的に正しいことと間違っていること」を意味する言葉です。

 今日の一言には、「長い人生における失望や困難、試練といったものは、自分の夢の実現を目指し、すべてを奮い起こして誠実に努力をする、またとない機会でもある」とあります。

 名誉会長は、物事を成就させるために必要不可欠なのは「勤勉」であることであり、懸命に働くこと、まじめに一生懸命仕事に打ち込むことを通して、精神的な豊かさや人格的な深みをも獲得していくことができる、と説かれています。
 
 普段の暮らしの中で、自分に与えられた役割、あるいは自分が行うべき営為を、ーそれが会社の業務であろうと、家事であろうと、勉学であろうとー粛々と、倦まず弛まず継続していくこと。それがそのまま人格錬磨のための修行となっていきます。

 いくら状況が苦しくても、正しいことを正しいままに貫き通そうとする。天はそのような正々堂々とした生き様、真摯な姿勢を決して見逃さず、必ずや恵みを与えてくれるはずです。


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