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『稲盛和夫一日一言』4/24(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/24(月)は、「シンプルにとらえる」です。

ポイント:物事の本質をとらえるためには、複雑な現象をシンプルにとらえ直すことが必要。事象は単純にすればするほど、本来の姿、真実に近づいていく。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、物事をシンプルにとらえることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私たちはともすると、物事を複雑に考えてしまう傾向があります。しかし、物事の本質をとらえるためには、実は複雑な現象をシンプルにとらえ直すことが必要です。事象は単純にすればするほど本来の姿、すなわち真理に近づいていきます。

 例えば数学では、変数が多ければ多いほど解が得にくくなります。また実験をしているといろいろと複雑な現象が起こりますが、その現象をそのままとらえようとすると、何が何だかさっぱり分からなくなります。
 そうした場合は、複雑そうに見えるけれども、その複雑な現象を起こしている源(みなもと)は何かを見ていくことが必要になります。

 私は、複雑な現象をシンプルにとらえる直観力、分析力といったものを重要視してきました。
 では、シンプルにとらえるためにはどうすればいいのか。それは禅定(ぜんじょう)、すなわち心を鎮(しず)めることです。雑ぱくな感覚では、複雑な現象をシンプルにとらえることなどできません。ところが、座禅を組んだときのように心を鎮めて、落ち着いたまなざしで物事を見ると、その真髄が見えてきます。

 一見複雑に思える経営というものも、突き詰めてみれば、「売上を極大に、経費を極小に、入るを量って、出ずるを制する」という単純な原理に行き着きます。

 少なくとも一日一回、心を静かに落ち着けて物事を考えてみる。
 いかにして複雑なものをシンプルにとらえ直すかという考え方や発想が大切なのです。
(要約)

 京セラフィロソフィでは、「物事をシンプルにとらえる」ことと同時に、「迷った時は原点に返る」、つまり、判断を誤ったときには、原点に返って考え直す、ということも求められています。

 仕事をしていれば、毎日いろいろな問題が起こってきます。それを丁寧に分析、解析し、次に打つべき手を考えるのですが、問題が紛糾しているなどときは、まるでもつれた糸のようにこんがらがっていて、即座に解きほぐすのは容易ではありません。

 なぜそうした問題が起こったのか、自分やメンバーの判断一つひとつに誤りはなかったのか、一度原点まで戻って見直してみる。それには、現状から一歩ずつさかのぼり、問題が起こる発端のところまで辿ることです。そうすることで、どういう変遷を辿って問題化したのか、その経緯までがクリアに見えてきます。

 自分は正しい判断を繰り返してきたはずだ、という自負はあったとしても、例えば、登山の途中で濃い霧が発生し、道がわからなくなるなど、不可抗力によって分岐点ごとの判断に確固たる確信が持てない場合も出てきます。そうしたときには、それ以上無理やり進むことは止めて、勇気をもってひとつ前の分岐点まで戻る。それでも自信が持てないときは、さらにもう一つ前の分岐点まで戻って、もう一度判断し直す。

 そうしたことを習い性になるまで繰り返し実行していくことで、自分が判断を誤ったがために仲間を路頭に迷わすといったリスクを極力減らすことができるはずです。

 複雑すぎて本質がわからなくなったとき、自分が正しいのか正しくないのか確信が持てなくなったときには、原点まで戻ることで物事の本質にせまる。経営や仕事に限らず、個々の人生においても、とても大事なことではないでしょうか。


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