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サジタリウス 学級通信『Sagittarius』vol.98 2022.2.22発行

 この冬は雪がよく降ります。カメムシの多い年は雪が多いってのは本当ですね。この冬の,雪が降る空気の澄んだ日は,ついつい卒業式の日を考えてしまいます。
 本校の卒業式は,とても厳か(おごそか)に進みます。凛とした空気の体育館に1人1人の名前が呼名されます。その時間の長さに,3年間の思い出が,1つ1つよみがえってきます。それはまるで,空気の澄んだ雪の夜に深々と雪が降り積もるように,呼名の間,深々と思い出が募っていくのです。
 私はその卒業式の雰囲気が大好きです。そして,卒業式は寒い日によく合うんだと思っています。今年の卒業式,キミたちもそんな空気を楽しんでくださいね。
 さて,今日は昔話を1つ。大学時代のお話です。私は大学時代,天体観測サークル(サークルってのは軽いノリの部活みたいなモンです)“草津天文研究会”に所属していました。そのサークルは,1学年上の代の人数が多かったのですが,それはドラマの影響でした。キミたちはもう知らないかもしれませんね,ドラマ『天体観測』。BUMP OF CHICKEN の音楽が有名になったドラマですね。
 さて,そんなサークル活動ですが,基本的には夜な夜な集まっては星の写真を撮るっていうサークルでした。先輩の車で遠くまでいったり,はたまた大学の近くで望遠鏡を使って月や惑星の写真を撮ったりと,活動場所はいろいろでした。
 その中でも大切な場所があります。それは大学の近く,先輩の下宿先のマンションの前にあるちょっとした畑の広場です。 ちょうど農作業に使う器具や肥料が置いてある小屋があって,私たちのサークルではその小屋に“サジタリウス”って名前を付けていました。
 由来はドラマ『天体観測』です。登場人物の大学生たちは同じサークルで活動し,そこで青春群像を繰り広げます。そのサークルは登場人物たちの心の居場所,魂の拠り所で,みんなが集まる場所。そのサークルの名前が“サジタリウス”。
 そこで私たちのサークルの先輩は,自分たちが1番集まりやすい場所,自分たちの魂の拠り所に“サジタリウス”って名前を付けたんです。
 その“サジタリウス”は,今でもあります。南草津にあるセブンイレブンの裏です。そして,私は今でも,自分の原点に戻りたい時,心にスキマが出来た時,なんとなくそこに行ってしまいます。そこはもう,私の居場所ではないですが,何か当時の香りが残っているような気がするのです。
 キミたちには思い出の場所ってありますか?そこにに戻ると元気になるって場所,心にスキマができた時ふと立ち寄りたくなる場所。そんな場所ってありますか?本当はそれが自分の家だったら素敵ですよね。本当はそれが友達の中にあったら素敵ですよね。でも...
 だから私は“魂の拠り所”を探し,さまようキミたちの心に寄り添えるように,学級通信に『Sagittarius (サジタリウス)』って名前を付けました。
 そう,居場所を探し,のたうち回っていた私がサークルに魂の拠り所を見つけられたように。居場所を探す旅をするキミたちが,少し休める場所になるように。キミたちにも,キミたちの“サジタリウス”が見つかるように。そんな願いを込めました。
 3年間書いてきた学級通信『Sagittarius』は,最終的に合計407号になりそうです。学級通信『Sagittarius』は残り2号。私たちに残された時間はあとわずか。最後までキミたちの心に寄り添えるように,言葉を紡ぎますね。

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