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カフェとサウナの憂鬱


狭いカフェだった。

隣の席との間隔は近く、席も簡素な椅子だから、正面に座る彼女よりも、となりの人との距離が近い。

彼女は、声の大きい子だった。
別にやましい話や恥ずかしい話をしているわけではない。

BGMもなく、こじんまりと、トーンを下げた小さな声の会話がたまに聞こえてくるような店内で、いつも通り、外で3メートル先にいる人に声でもかけているのかというくらい大きな声で、話してくる。笑ってくる。


彼女を笑わせることはスキだ。

だから笑わせるのだけれども、その慮りのない大きな笑い声に、いつも彼女を通して、周囲に申し訳なさを感じてしまう。



サウナの後の水風呂前で、バシャバシャ身体に水を慣らす。

そっと小さくしゃがんでかける人もいれば、気持ちよさそうに力任せに自分の身体に水を叩きつけるひともいる。

周りに飛び散る水。とても気持ちが良いものではない。

自分がその飛沫にあてられていなくても、見ていて気持ちの良いものではないし、その液体が自分の身体をかすめるものなら嫌悪感は顔に出てしまっていることだろう。

友人と、サウナに行くのはあまりスキではない。

バシャバシャと水を身体に浴びせる、自分の連れを見ると、周りに申し訳なくなる。その気持ちのよい男らしい仕草をみると、いつも彼を通して周囲に申し訳なさを感じてしまう。


彼らの豪快さは魅力であるにも関わらず、自分の心はいつもざわつく。

そんな彼らだから、スキでキライでスキなのだ。


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そんな気持ちにとても合うイラストを、発見。

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