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僕が鬱の時、何をしていたのかvol3.「和楽の人びと」


僕が和楽荘に引っ越したのは大学4年生になるタイミングだった。
それまではフォレストというワンルームマンションに住んでいたのだが、更新料の高さや、母からの仕送りが断たれることになったために、この昭和40年代に立てられた木造2階建てのぼろアパートに住むことにした。もちろんお風呂はなく、トイレはボットン式だったが共同でないだけましだった。
家賃は京都でありながら2万。8畳でキッチン付きなので、見た目を気にしなければ、それほど悪くはなかった。


もう一つ、引越しした大きな理由は、当時の彼女と別れたからだった。
彼女とは同期だったが、僕たちが4回生になる年に彼女はイギリスへ一年間留学することになった。
彼女と過ごした2年と少しの間で、お互いのことを信じられなくなってしまっていたので、僕は彼女がイギリスにいる一年もの間、遠距離恋愛を続けられるとは微塵も思えなかった。

それは彼女と付き合っている間に、僕自身が浮気を繰り返していたからだろう、彼女に対しても同じ心を投影してしまい、いつでも彼女が他の相手と浮気をしてしまうのではないかと疑心暗鬼になり、ほんの些細なことで嫉妬して、彼女を束縛し、当然彼女は息苦しくなり、一人の時間を欲しがったりする。そういう態度を取られると僕は更に不安になってしまうという辛い状態に陥ってしまっていた。正に自業自得なのだが・・・これをカルマというのだろう。今なら分かる。

他にも、彼女がカナダに留学している友達のところへ遊びに行った時、なんとその友達とその彼氏と三人で一緒にお風呂に入っている裸の写真を見てしまったという理由もある。

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