見出し画像

ポケモン世界における「太陽」(後編)”カロスにおける「太陽」と「太陽の一族」”

(承前)

前稿の続きとして、ふるいポエム20にいう「太陽」に該当しそうなポケモン、また「Z-A」での伏線回収がある場合、重要となってくるカロス地方における「太陽」の要素に触れていく。


ソルガレオ

「ポケモン サン」のパッケージを飾る伝説の「にちりんポケモン」。ポケモン界で太陽といえばこのポケモンや「サン」「ウルトラサン」を抜きには語れないだろう。

その生態からしてUBの一種であり、古代アローラ王朝の時代から崇拝の対象となっていたポケモンである。崇拝の対象となった「太陽」として注目できるポケモンだが、「ふるいポエム」の「太陽」と考えるのは難しい側面も大きい。このポケモンをわざわざ婉曲表現する理由が不明なこと、そしてウルトラホールは原則アローラ地方で確認されるのであり、遠く離れ、関係性のにおわせがないヒスイ地方にウルトラホールが開いてUBがやってきた形跡はないからである。

(一方、他地方に絶対ウルトラホールが開かないとの確証はない。ガラル地方のカンムリ雪原では、近年マックスダイ巣穴からソルガレオ/ルナアーラが出現し、その影響で化石ポケモンが生息し始めたり、コスモッグがフリーズ村で発見されたりした。また「ポケモンΩRαS」のバトルリゾートで発見された刑事ハンサムは記憶喪失状態であり、別次元からウルトラホールを通ってホウエン地方に流れ着いたとの説もある。)

また、前稿で触れた「おやじ」については、このポケモンとは関係ないと考えている。ソルガレオを手持ちに入れてもイベントは進行しない。ソルガレオの故郷はウルトラスペース、「おやじ」の故郷は一般的にイメージされる宇宙(デオキシスやレックウザがいるほう)といえるだろう。

いずれにせよ、このポケモンは将来発売されるであろう「サン・ムーン」のリメイク作、あるいはそれに準じた作品で深く語られることになるとみてよく、そこでさらなる位置づけが可能となるだろう。


カロスにおける「太陽」

「ポケモンX・Y」での「太陽」の要素は、大体二点に集約されると考えている。

 ⅰ)カルネ

カロスの大女優であり、カロス地方のチャンピオンでもある人物。直接のモデルはおそらく実在の女優オードリー・ヘプバーンと思われる。
この人物、どことなく「太陽」らしい印象を受ける人物でもある。
髪型もギザギザしており、どことなく太陽を連想させるものになっている。


公式サイト画像。


彼女の「太陽」らしいイメージは、作中でも確認できる。

ポケモンリーグ内でカルネが待ち構える「光の間」では、強い光がさしこんでいる。

この光、夜に訪れても同様である。(これは太陽光ではないのか…)
なおこの太陽光っぽい光は、カロスのポケモンリーグ全体でステンドグラスから差し込んでいるものでもある。そこまでして「太陽」を印象づけているともいえる。四天王の間もかなり大がかりな仕掛けがいちいち作動するので、とんでもないエネルギーをつぎ込んで人工的に生成していてもおかしくはない?


カルネの「太陽」らしい印象を決定づける要素はもう一つある。


「カフェ・ソレイユ」と聞いてピンとくる方は多くないかもしれない。
ミアレシティのサウスサイドストリートに位置する、カルネの行きつけのカフェである。「ソレイユ」=soleil はフランス語で「太陽」を表す。

どうやらソルロックの存在は都合が悪いらしい


ミアレシティに初めてやってきた際にストーリー中で訪問することになる。
クリア後にはカルネが常駐しており、カルネとポケモン交換が可能となる。カルネは「サーナイトナイト」を持っているラルトスをくれる。
このようなカルネと関係の深いカフェが「ソレイユ」の名を冠していることは注目すべきであろう。
そして何より大事なのが、このカフェでカルネとフラダリ様に初めて会うことになる点だ。


 ⅱ)フレア団

https://www.youtube.com/watch?v=g_2bmg3kwV0

上に掲げた公式アニメ動画の1:32~のカルネとフラダリ様が会話を交わすカフェも、おそらくゲームのストーリーに準じた「カフェ・ソレイユ」なのだろう。


フラダリ様の外見の特徴世間でネタにされている一番の要因といえば、やはり髪型だろうが、これは炎を表現しているものとみてよいだろう。見方によってはこれも太陽の表現ととることもできうる。

というのも、「フレア」という団の名称は太陽に関係する言葉である。

太陽フレアとよばれる太陽表面の爆発現象が存在し、周りより温度の低い黒点の周りで起こるらしい。特に明るいフレアは白色光フレアというそうだ。詳しい知識は私にはないが、ともかくフレアと「太陽」との密接な関係が確認できるのである。

対照的な立ち位置にあるカロスチャンピオンとフレア団が同じく「太陽」を印象付けることは、カロス地方にとり何か意味のある事ではないかと思う。

備考・私見

なお、外見という意味では、前稿で少し触れたアデクにも注目したい。彼の髪型も炎を表すようなもので、フラダリ様にやや類似している。

https://www.pokemon.co.jp/ex/b2w2/koryaku/koryaku08.html


以下は私の憶測をふんだんに含むが、
「たいようポケモン」ウルガモスを相棒にしており、ふるいポエム20の「太陽」、そしてヒスイに伝わる「コダイノエイユウ」との関係も示唆されている彼と、ここまで述べたカルネ・フレア団はみな「太陽」のイメージを持つ点で全くの無関係には思えない。

私は旧稿で複数回にわたりイッシュとカロスの関係の深さに言及したことがあるが、それらを踏まえると、特に見た目の似ているアデクとフラダリ様が同じ血族とするのも、荒唐無稽な話ではあるまい。
すなわち、

・「ふるいポエム」20の「太陽」はのちに「コダイノエイユウ」とよばれる人物で、彼はアルセウスの加護を得て10のポケモンを従え、ギラティナの反逆を退けた優秀なポケモン使いであった。
・彼はどこかの時点で彼を慕う人々とともにヒスイを離れ、別地方(おそらくイッシュ)に移住した。
・その子孫がアデクの一族であり、同系統の一つにカロス王弟の末裔とされるフラダリ様の流れがある。

という筋書きだ。私はこの「コダイノエイユウ」の子孫と支持者集団を想定し、仮に「太陽の一族」とでも呼んでおきたい。
こうした人々の移動が、文化的折衝を引き起こして戦争を誘発し、イッシュ・カロスの歴史を大きく動かした存在なのではないかと考えている。すなわち、

  1. イッシュの海底遺跡の王(Nの一族)
    約3000年前、すぐれた文明と不思議な力をもって●●●●(レシラム・ゼクロム・キュレムの分裂する前の完全体?)を従え、人民に支持されていたらしい。おそらく王の子孫はイッシュ建国神話に現れ、理想・真実という思想的兄弟げんかを起こし、●●●●はレシラム・ゼクロムに分裂したという。

  2. カロス王AZ
    フラエッテLOVEなアイツ。時代を超えた科学力を以て史上初めてカロス統一を成し遂げた。約3000年前の戦争の際、戦死したフラエッテをよみがえらせ、最終兵器による破壊で戦争を終わらせた。

両者とも現時点では情報が少なく決め手を欠いているきらいはあるが、N・ゲーチスとアデクの関係、そしてAZとフレア団との関係は、ヒスイの銀河団とシンオウ地方のギンガ団のような、歴史的背景をもって理解されなくてはならないものだとにらんでいる。これ以上は考えがまとまっていないし、話が脱線するので立ち入らないが、機会があれば別稿にて言及したい。

むすび


以上雑多に述べてきたが、カロス地方をとりまくこうした「太陽」のモチーフが、「Z-A」において回収される可能性は大いにある。
現時点での情報では、ミアレシティの再開発事業を行う団体が存在することが示唆されている。「Z-A」でフレア団には何らかの形で触れることになることは確実だろうから、この団体もフレア団、「太陽」との関連があるかもしれない。

加えて、「太陽」というと、やはり対となる「月」、そして「サン・ムーン」の存在も見逃せない。この点は「Z-A」が将来のアローラリメイクともつながるかもしれない要素であろう。

「Z-A」が過去の話なのか、現代~近未来の話なのか、あるいは両者を行き来できるのか、それ次第で言及・回収されうる内容もおのずと変わってくる。さらなる続報を待ちたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?