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貨物の種類によって船の速力が違う? 造船のおもしろ豆知識集#7

導入編はこちら↓

貨物船は、船の種類(貨物の種類)によって速力が違います。一般的に積み荷の単価が高いほうが船の速力が速いです。聞いた話ですが、速力は海上保険料によって決まるそうです。海上保険というのは、貨物を船で移動させるとき、もしも事故が起こったりして沈没したり、貨物を海に落としてしまったときに保障する保険です。積み荷の単価が高いほど保険料が高く、海上を移動している時間が長いほど保険料が多くかかることになり、船のスピードが要求されます。つまりは海上にいる時間をなるべく短縮させたいということです。

そして、船は速く走ろうとするほど、速力の3乗以上に比例して馬力が必要となり、それだけ大きいエンジンが必要で、燃料消費量も多くなります。馬力(kW)は単位時間の仕事量(=エネルギー)なので馬力と燃料消費量はおよそ比例の関係でもあります。
速力に反比例して安くなる保険料と速力の3乗以上に比例して高くなる燃料代、つりあうところで速力がきまるというワケです。
船種ごとの速力はだいたい以下のようになります。
コンテナ船:約24ノット
LNG船:約19ノット
原油タンカー:約16ノット
ばら積み船:約15ノット
コンテナ船が速いもう一つの理由は運航のしかたが定期船で到着時間を決められているからというのもあります。

メガコンテナ船と呼ばれる大型のコンテナ船には10万kW近い巨大なエンジンが搭載されています。VLCCと呼ばれる長さ約300m越え30万トンクラス原油タンカーではメガコンテナ船の2倍程度の積載重量にもかかわらず2.5~3万kWのエンジンです。スピードを出すにはいかに馬力が必要か、と同時に速く走れば燃料も必要という例でした。

まとめると、貨物船は、積み荷の種類からくる船の種類の違いによって速力が違います。そして、速力が少し速いだけで大きな馬力を必要とし、大きなエンジンを搭載しています。

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