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空海の胎蔵界曼荼羅、四国お遍路と円環

NHK司馬遼太郎「空海の風景」の番組で、山折哲雄さんが以下のようなことを話されていた。(一部補足もしている)

エルサレムには狭い範囲に、ユダヤの聖地嘆きの壁、キリスト教の聖地イエスが生まれたところ聖墳墓教会がある、すぐ近くにはイスラムのモスクがある。ユダヤ教徒は嘆きの壁に直行、キリスト教徒は聖墳墓教会へ直行、それ以外に行かない。イスラム教徒もモスクだけに行きそのまま帰る。つまり行って帰る、直線。だが日本人が行くと、全部回る。ぐるっと回る。円である。これはどういうことか?

厳格な一神教が、排他性、無知、嫌悪、争いを生む。隣人を愛せというイエスは言ったはずだがその逆で、この一神教的な教えが今の社会を作ってきた。日本人は良くも悪くも全部受け入れる、そして順番に回る円環の思想。それぞれいいよね。それぞれあるよね。これが四国のお遍路に、空海の胎蔵界曼荼羅にもつながっているらしい。そもそもが円環の思想。そこに帰っていく。

とても大切なお話を聞いた気がした。
正統ユダヤの方々は、隣人であるパレスチナのイスラム教徒の方々と何世紀も仲良くやってきたと言っていた。こんなに戦争をしなくても良い時代もあった。

全部の聖地を回り、お隣の神様も仏様も大事にする、そういう精神は節操がないのでも無宗教なのでもなく、あらゆるものに神や仏の心が宿るという、れっきとした、原初の信仰心なのだと思う。


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