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無事是貴人【4/30-5/6】

4月30日 日曜


遅く起きて、YouTubeで動画を眺めて過ごす。本棚を整理しようと思ったが、手にとった1冊の頁を繰っているうちに読み進んでしまい、時間が経ってしまった。次にテレビをつけたのだが、ここでも競馬中継とK-POPアイドルの番組に見入ってしまい、ぼんやりして過ごす。スピッツのPVが始まった時の反応の速さに、自分の年齢を実感した。
近所のコンビニへ行き、食料調達をして帰る。

深夜、新日本プロレスの試合配信を観て唸る。潰し合いという言葉しか、まさに形容できない試合内容。その場では潰されなくても、いつか脳や全身の骨格に蓄積されたダメージが何かの拍子に現れるというのが分かる。
次に、ふと思い立って十代の頃に敬愛していた文筆家の松村雄策さんはどうしているかと検索したら、ちょうど一年前に亡くなっていたと知り、衝撃を受ける。
高校生の時、この人の文体を真似て作文を書いたら担任の先生に結構褒められたことがあり、その後も文体の手本としていたのである。そんなに長生きする人ではないだろうと思っていたが、やはりそうか、という感じがする。そう言えば、この人も永ちゃんや達郎さんと同年代だ。何か特別なものを持っている世代なのかもしれない。

Sportifyのアプリで以下の音楽を聴く。
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWTC99MCpbjP8?si=a02acc7a9bce4d06

5月1日 月曜


再度、本棚からもう読まないであろう本を取り出して整理する。古書店で入手した全集本もどうしようか迷ったが、結局は場所をとるだけなので、処分することにする。
かわりに日本語を教える授業のリソース本が出てくる。やはり片付けものをする時には発見があるという伝説は、毎回生きている。
しかしながら、あまり前進を感じない一日。

5月2日 火曜


ドームで野球観戦。
テレビでの試合中継は滅多に観ないし、WBCですら一試合も観なかった。
それでもドームへ出かけてしまうのは、屋根付きで気温が管理されているのと、バックスクリーンの映像が凝っていて劇場型だからなのだろう。見せ方がよく分かっている気がする。それから周囲に座った観客の興奮ぶりや呟き、ビールの売り子の女の子とのやりとりが面白い。何となく生きている感じがする。

5月3日 水曜


流行りのブックカフェへ行ってみる。HPでは綺麗に整理整頓されている感じがしたが、実際に訪れてみると少し狭い。ブックストアでもないしカフェでもないような印象。店内の本を一通り眺めただけで外へ出る。
スーパーへ行って買い物をし、柏餅を買って帰ってくる。

5月4日 木曜


髪の毛を切りに行った足で、よく行く古書店へ行く。もしかして、あの店だったらあるんじゃないかと密かに期待した本があったのだが、何もなかった。山口瞳の小説が手頃なサイズの版で売られており、文字も読みやすかったので食指が動きかけたが、読む時間がなさそうなので諦めた。整体の指圧へ行く。
家に帰り夕食をとりながらお笑い番組を見ていたら、ジェラードンが出ていた。メンバーが1人お休み中ということであるが、ネタの展開と会話の入れ替わりは面白かった。元々地味な個性のメンバーが残った気がするが、逆境ということを感じさせない笑いであった。天才ピアニストもものを見ている目と日常の記憶力が高いのだという気がした。

5月5日 金曜


5月5日ということで、数字の並びが良好な日。一年で一番、この日が幸福というイメージがある。
外に出て歩いてみたら、日差しが強いせいか、結構暑い。早い時期に初夏が来たなと思う。
コンビニに寄り、買い物をする。レジの店員がいつもと違う人だなと思っていたら、胸元の名札に【派遣社員】とあった。最近では派遣の人材会社からコンビニの店員を調達する時代に入ったのかと思う。GWに入り、アルバイトの学生たちが大量にシフトから抜けてしまったためだろう。にしては、客の店内分布・移動の把握や客さばき、品物の袋詰めなど、手際、テンポ、礼儀の良さは、通常のバイト店員をかなり上回っていた。

そこから駅前の方まで、のんびり足を伸ばしてぶらりと引き返して帰宅する。駅の近くまで来ると、さすがにマスクをしている人が大半だが、何もなにエリアへ来るとノーマスクで歩いている人が大半になる。都知事の「不要不急会見」や緊急事態宣言から3年も経ったかと思う。

5月6日 土曜


親類を訪ねる道すがら、根岸の子規庵へも行きたくなり、足を運んでしまった。あちこち歩き回ったが、特別なことは起きない一日。
家に帰り、子規庵で買った絵葉書、子規が筆をとって描いた野菊の絵を眺める。ガラスの瓶に生けられた野菊の茎が曲がってしまい、瓶の口からガラスの表面に花や葉が垂れさがっている。
正岡子規は花瓶と植物の歌や句が多いが、この絵では葉に塗られた色が重い気がする。

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