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コーヒー豆の自社輸入って難しいけど面白い!(本文1/2)

今回の私のプロジェクトである『コンゴ民主共和国(以下、DRC)からのスペシャルティコーヒーの自社輸入と教育支援』についてご説明します。

なぜDRCなのかという理由と、取組み意義を3つあげたいと思います。

〇なぜ:人との繋がりがきっかけとなったDRCへの興味〇

プロジェクト対象国を決めるきっかけとなったのは、いろんな「人」との出会いです。例として、ルワンダやDRCで活躍する一人の若い女性起業家の方を挙げたいと思います。4年程前、アフリカの産地で活躍するアジア人女性を紹介する写真を見かけました。その女性の活動に興味を持ち調べると、お世話になっている輸入商社が日本のパートナーということで、早速お話をお伺いしました。

当時、彼女は若干20代半ばにして、ルワンダでコーヒー生豆の輸出会社を立ち上げ、その後隣国DRCでの生産指導や組合組織の指導、現地コーヒーステーションの修繕など生産者に寄り添う形で品質改善に取組んでいました。その後ブルンジ、エチオピアなどにも活動範囲を広げ、いまではアフリカのコーヒーを世界中に届けています。

私が初めてDRCのコーヒを飲んだのは、まさにその彼女の活動について話を伺った際でした。とても風味豊かで余韻が長く、味わい深いものであったのを覚えています。まだあまりコーヒーの生産地として有名ではない国でこれほど美味しいコーヒーができるのだと驚き、DRCのコーヒー豆に強く興味を持つきっかけとなりました。そして、彼女の活動にとても刺激を受け、アフリカでのコーヒー産業が、現地の人々に与える影響を考え、私自身のプロジェクトも意識し始めました。

その後、彼女とは展示会やセミナーで会うことがあり、来日した際には私のお店を訪れてくれました。その際に『コーヒーはアンバサダー(大使)である。』と話してくれたことを覚えています。

コーヒー豆は、生産者の想いや産地の特性/背景など、色々なものを含んで消費国に送られます。そして私たち消費者は個性豊かなコーヒーを飲むことで、その生産地について知ることができるからだと言っていました。

≪取組み意義1:依然として残る多くの課題の発信≫

DRCにおける社会問題を簡潔に省略してお伝えするのは非常に難しいものです。

抗争の原因となる鉱物資源に関していえば、リチウムイオン電池に使用されるコバルトの産出量は世界一で、世界の供給量の実に6割を占めていますし、これから需要が増えるであろう電気自動車などにも使用される他の鉱物資源なども多く産出されます。またDRCには世界有数の熱帯雨林もあります。DRCでの自然破壊が進むと、地球環境へも影響がでるでしょう。

このように資源が豊富な国であるにも関わらず、多くの社会的課題を抱え、世界最貧国のうちの一つとなっている現状ですが、日本ではあまりニュースに挙がってくることはありません。地理的に遠いということも一つの理由なのかも知れません。資源問題、環境問題という観点だけでも世界とのつながりが大きいはずです。

コーヒーを通じてDRCについて興味を持つ人が増え、コーヒーのみならず、上記のような社会問題へ関心が集まるきっかけとなれば嬉しいです。

≪取組み意義2:環境破壊への予防/対策≫

高品質なコーヒーを栽培するためには、直射日光を避けること目的として、周りに他の樹木を植え、日陰を作って栽培を進めることが多くあります。そうすることは、自然環境の保護にもつながります。

しかし、DRCでは豊富な鉱物資源が原因として抗争も多く、山を簡単に切り崩して資源を採取します。その為、コーヒー栽培を支援することはDRCで軽視されがちな自然環境を守る活動にもつながります。

そして、栽培における環境負担の軽減という意味では、DRCの組合の多くは、有機認証(ECO CERTなどの欧米の認証)やフェアトレード認証の取得が進んでいます。欧米では倫理的消費行動をとる消費者の割合が比較的多く、認知度のそれほど高くないDRCのコーヒーへ少しでも注目を集める手助けをしてくれます。

≪取組み意義3:持続可能な発展のための教育支援≫

少し前のデータにはなってしまいますが、INS(2014国家統計院)の報告書によると、DRCの初等教育就学率(2012)は男児69.4%/女児63.8%(Annuaire statistique 2014:Tableau 2.61 : Taux net d’admission au primaire par sexe et par province entre 2009 et 2012、中等教育卒業率(2012)は男児35.2%/女児18.0%です(Annuaire statistique 2014:Tableau 2.79 : Taux d’achèvement du secondaire par province entre 2006 et 2012)。

開発途上国の持続可能な発展において、教育が重要な役割を果たすことはいうまでもありません。上記の数値データをもとにすれば今後、この分野の支援が必要なことは容易に想像がつくかと思います。

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(つづく)

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