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私の脳みそ

先日、脳神経外科に行ってきました!

私は筋金入りの偏頭痛持ちなのですが、その中でも前兆アリの、症状が激しいタイプです。偏頭痛には市販の鎮痛剤が全く効かないので、いつも病院で処方してもらっています。

今までは、お盆で帰省したついでに、高校時代から通院している地元の病院へ行って処方してもらっていたのですが、コロナ禍になってから帰省できておらず、お薬のストックも無くなりつつありました。

ここ数年、特に冬に起こりやすくなっているので、今のうちにお薬をもらっておかないとなぁ・・・と思い立ち、近隣に評判の良い病院を見つけたので、行ってみることにしました。

最初に偏頭痛を発症したのは10歳のとき。小学校の教室で、5時間目のあとだったと記憶しています。視界に、太陽を見たあとの残像みたいなものが、チラチラ邪魔してくる。目をこすっても治らない。おかしいなぁと思っているうちに、経験したことが無いような激しい頭痛と吐き気がやってきました。

お腹が痛いことはよくあったのですが、頭痛を意識したのは、あのときが初めてだったと思います。

以来、近くの個人病院→市内で一番大きい病院→県の脳血管センターと、紹介状片手に通院する病院をステップアップしてゆき、高校生のときにようやく「典型的な偏頭痛持ち」ということが分かりました。太陽を見たあとのような光のチラチラ、視野が欠ける、といった症状は頭痛の前兆であるということも分かりました。

今回は、そのとき以来のMRIもやっていただき、約30年ぶりに自分の脳みそとご対面!

脳みそと、血管と、両方の画像を見せていただいたのですが。

見とれてしまいました。

先生のご説明を聞きつつも、キレイだなぁ・・・と、己の脳みそと血管にすっかり見入ってしまいました。と同時に、これが私の頭の中に詰まっているのかと思うと、とても不思議でした。自分のものだという実感がまったく湧かなかったのです。

ここが常に何かを考え、悩み、指令を出し、喜びも苦しみも悲しみも司っている。この、ロールシャッハテストみたいな、しわしわの、むちむちの、塊が。

ほかの内臓の画像。肺とか胃とか、そういった臓器の画像は見る機会も多いですし、「動いている」「機能している」という実感も日々の生活の中で感じられるので、一体感があります。自分と一緒に頑張ってくれている、という感覚です。なんか息苦しい、とか、お腹すいた、お腹いっぱい、とか、メッセージに存在感があるのです。

でも、脳からは感じたことがありませんでした。

一緒に頑張っている、というよりも、ここのやり口に翻弄されている、と思っていますから、なすすべもない存在、という感じで捉えていました。

「奇跡の脳」という本があります。脳科学者である作者が、脳卒中で倒れ、回復するまでの実録です。印象的だったのは、左脳の機能が失われていくときに自分を包んだのは幸福感であった、ということです。もたれかかっていた浴室の壁や、自分の体の外にあるものとの一体感を感じ、時間の感覚もなくなり、頭の中のおしゃべりが止み(左脳は情報処理する側なので)、ただただ静かな空間に溶け込んでいく。そんな感覚だったのだそうです。

私の脳みそ画像は、私があまりにも凝視しているので、なんとなく、恥ずかしそうに見えました。バレちゃった、みたいな顔してそうでした。

頭痛ももちろんですけど、これまでの人生、私を厳しく見張り、常にダメ出しをし、安心するなと責め立ててきた、血も涙もない鬼検察官は、ここにいるはずなのです。どんな悪い奴かと思ってました。

でも、私の脳みそはとてもきれいで、血管も地下鉄路線図のような複雑さを華麗に走り巡り、どちらも美しく存在していました。

あれ・・・っ???て思いました。

先生も、評判どおりの良い先生で、なーんだ、もっと早く来れば良かったなぁと思いました。今はもっといろんなお薬があることや、症状によって使い分けられること、前もって抑えられるお薬もあること等々、偏頭痛薬も日々進化していることが分かりました。帰省したときに通院していた病院も悪くはなかったのですが、お薬をもらいに行くだけになっていたので、じっくり診療していただくのは久しぶりだったのです。

帰りのバスに揺られながら、自分の脳みその画像を思い出していました。

あそこに、鬼検察官はいなかった。

マボロシー。

異様にお腹がすいて、マックでお持ち帰りして死ぬほど食べました。のどを詰まらせながら、すごい勢いで食べました。マックも久しぶりでした。そして翌朝、起きるなり偏頭痛になりました。朝イチかよ~・・・って愕然としながらも、病院行っといてよかった、と思いました。

処方していただいたばかりの新しいお薬を飲み、もう一度ベッドに横になりました。これも脳の存在感アピールなのか。偏頭痛になったら、その日の予定はすべておじゃんです。もう寝るしかない。

「何もするな。考えるな。休め。以上」

もしかしたら、シャイなあんちくしょうからの優しいメッセージなのかもしれないです。やっぱりあなたは、コントロール不能です。でも痛いのはヤメテ!













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