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自分以外に興味がない人。

自分は仕事の場で「ホームページ」という言葉を使わない。

なぜなら「ホームページ」というのは本来、サイトのHOMEのページ、つまりTOPページを表すもので、サイト全体を指すものではないからだ。だからできるだけ、「Webサイト」という言い方をする。

もちろん、お客さんが「サイト全体」という意味でホームページという言葉を使っている場合、「それは誤用ですよ」とわざわざ指摘したりはしない(そもそもこれだけ浸透してしまうと、もはや誤用とも言えないし)。

とはいえ、自分から発信する場合は特に、「ホームページ」ではなく「Webサイト」という言葉を使うようにしている。

でも。

これが小説になると話は違う。

いま書いている小説(パンクス小説とは別)の主人公に、僕は「Webサイト」ではなく「ホームページ」という言葉を使わせる。

これは、主人公の性格や生活習慣を考えると、彼はあまりネットに詳しくなく、ホームページという言葉が(もともとは)誤用だということを知らないだろうと考えるからだ。

また、この作品の舞台設定が今から20年ほど前、今ほどにはネットが生活に入り込んでいなかった時代だということもある。

こういう状況で、普段PCにもほとんど触らない主人公が、周囲が当たり前に「ホームページ」という言葉を使う中、わざわざ「Webサイト」という言葉を選ぶのは不自然なのだ。

昔、まだ自分が小説を書き始めて間もない頃、作品を読んでくれた何人かに、「登場人物がみんな達郎くんみたい」と言われた。当時の自分は、「そんなの俺が書いてるんだから当たり前じゃん」と思ったりもしたが、今は考えが変わった。

登場人物がすべて自分に似ているということは、(自分以外の)キャラクターを造形できていない、ということだ。そしてそれは、「自分以外に興味がない」ということが原因なんじゃないか。

今思うに、当時の自分は確かに、自分以外に興味がなかった。だからキャラクター(他人)が書けなかった。

(ただややこしいことに、自分以外に興味がない人ほど、小説なんぞを書きたくなってしまうんだよな。そして早々に、「登場人物が全員自分」だという壁にぶち当たる)

あの頃を考えれば、主人公に迷わず「ホームページ」という言葉を使わせられるようになった今は、多少成長したということなのかもしれない。いや違うな。たぶんこれは「やっと小説のスタートラインに立てた」ということなんだろう。

他人を書けるかどうか、は、他人に興味があるか、に拠っている。まあ、言葉にしてしまえば当たり前のことなんだけど。


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