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【コミュニケーション手段の階段】を乗りこなそう。

ビジネスを進める上で、仕事に関わる "他者とのコミュニケーション" は必須です。コミュニケーション手段の階段をイメージして、場面に応じて各手段やツールを使い分けると、作業効率と成果のアップが図れます。それぞれの場面に応じた、各種手段やツールの特徴と、その”段階的”な利活用、についてご説明します。

■ コミュニケーション手段の種類

(1) メール
報告、共有、依頼、クレームなど、伝えたいことの主旨にそって、論点や文章の構成をよく考え、校正をかけた上で送信する。作成には時間はかかるが、十分に配慮のされた文章となり、クオリティは高い。複数人への同時配信や添付により書類の共有もし易い。また記録として残り過去情報の検索が容易。ただし、相手がどう受け止めたか、その反応、感情面は伝わり難い。

(2) チャットツール
リアルで会話をするかのように、文字ベースでコミュニケーションを取る。最大のメリットは、その会話スピード。メッセージの1往復かかる時間はメールに比べて格段に速い。1対1でもグループでも、複数のスレッドを立てて同時に会話を進めることも容易。ただし、つい感情が入ってしまい、失言や間違いを起こすリスクには注意。

(3) 電話
生の声、というのはやはり文字とは伝わり方が違う。緊張や興奮、歓喜や落胆、などの感情が伝わり易い。相手の考え、反応をリアルタイムで確認できる。ただし、文字ベースと異なり、言い回しによって受け止め方が違うことがあるので要注意。お互いの母国語が異なる場合には特に。

(4) ビデオ会議
電話とほぼ同じ手段。だが、顔の表情まで見て感情を読み取ることができるので、音声のみの電話に比べても更に言外の情報量は豊富。ただし回線環境が悪く、時々落ちることがある。特に複数人で会議している時にキーマンが落ちると、中断せざるを得ないので、話の腰が折られる。

(5) 直接面談
コミュニケーションとしては、最も感情や思いが伝わり易い。また、声の調子、顔の表情、だけでなく、首から下、特に手のしぐさや姿勢、などから、その他の手段の何倍もの言外情報が入ってくるし、相手にも伝わる。交渉のテーブルは直接面談が最も相応しい。ただ、肝心のコミュニケーションを始めるまでに調整の時間を要する。特に海外の相手との直接面談は移動時間がネック。

(6) 別の階段
一連のコミュニケーションで、得たいもの(要求に対する回答、提示条件の承諾など)が得られない場合、取り得る手段として、何度も(1)~(5)を行き来する方法のほかに、もう一段上の大きい階段、もしくは別の階段に移る、という手段も活用する。すなわち、相手の上長にコンタクトする、別の組織の人物にコンタクトする、ということ。
ただし、頻繁にこれをやると、当初のコミュニケーション相手からは嫌われるので、その覚悟が必要。もし失敗すると、高い階段から転げ落ちることに…。(苦笑)

■ マルチタスク率の観点からの解説

階段の低層の手段を使う程、マルチタスクレベルが上がる。メールは即答を求めるものではない。投げたら、相手の都合によってある程度の時間経過後に戻ってくることしか期待してはいけない。逆に言えば、異なるトピックスの多数のメールを出しておいて、自分は他の仕事に頭を切り替える、と生産性が高くなる。

チャットは複数スレッドを走らせられる。メールの原稿を書きながら、真面目なものカジュアルなもの、複数のチャットスレを回せる。そうこうするうちに電話がかかってきて、少し話して、またチャットに戻る、などと複数手段を使いこなせば、同時に5人くらいと其々異なるトピックスでの会話が可能 。頭とキーボード上の手が階段を行ったり来たり。これにより、相当なマルチタスクをこなせる。ただし、うっかり、スレを間違えると、大変なことになる場合があるので、要注意。

ビデオ会議においても、チャットの同時利用は可能。自分側のチーム内でチャットで意見のすり合わせをしながら、相手方との話し合いを進める、ということも可能。しかし、直接面談の場合は、マルチタスクは厳禁だ。シリアスな交渉テーブルで電話がかかってきて緊張の糸が切れたりすることのないよう、スマホ電源は切ってから挑むべし。

■ 時間占有性の観点からの解説

階段の高層の手段を使う程、相手の時間を占有する割合、強さが上がっていく。一般的に重要度が増すにつれて、上層階にコミュニケーションの手段を変えていくと良い。また、相手からの反応、回答までのターンアラウンドタイムも上の層になる程短い。緊急性を要する案件、早急に回答を得たい、伝えたい、場合には、メールよりも電話、最終的には直接面会するのが最も効果的。これを怠って、緊急問題が発生した、という時に、ゆっくりとメールの下書きを始めて報告が上がったのは数時間後だった、なんていうのは問題を更に大きくする。

一方、情報を受け取る側、の立場から見れば、メールを受けてもすぐ返信する必要はない。メールで出してくている以上、そこまでの(緊急性の低い)内容なんだ、と割り切って、目の前の重要なタスクに集中することも、生産性を高く保つためののコツの一つ。交渉上のメールの場合、既に回答内容は決まっているが、期限ギリギリまで回答をせず、考え込んでいるフリ、をする、というワザ、もある。

また、重要なディールの場合、如何にターゲットのクライアントに自社側に時間を使わせるか、というのも戦略の一つとなる。重要な条件の提示は、メールで済ますのではなく、極力直接面談に持ち込んで、相手方の空気を読んだり、文字に落とせない情報をゲットする機会を狙う。競合相手方が得る面談時間を大きく上回る、コミュニケーション時間を取れた時点で、ディールは大きく有利に働くもの。

■ 階段構造としている理由

ピラミッドと違って、徐々に上がっていくもの、とは限らない。例えば交渉相手との初めてのコミュニケーションが、いきなり直接面談となるケース。事前にメールでお互いに紹介しあって、大体様子が分かっている場合とは異なり、交渉テーブルで初めて登場する "大ボス" と、空気読みながら駆け引きをせねばならない、というシチュエーションだってあり得る。

そのため、どの階段からでも飛び乗れるよう、日頃からコミュニケーションの鍛錬を続け、会話中に流れる空気を読む力、を養っておく必要がある。

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長くなりましたが、GenZeeの【コミュニケーション手段の階段】の概念をご説明しました。今日からでも使える、生産性向上のコツとしてお役立てください。また、【情報のピラミッド】の記事とも読み比べてみて下さい!

以上、老兵の『実戦!キャリアアップ ノート』 "侍編" でした。

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