受け入れよう。世の中は理不尽だらけ。
「何をやっとるんじゃ、お前は!」
パシッ! バシャ! どしゃ!
の、どれが適切か、何という擬音で表現していいのやら・・。突然、取り上げられた書類で頭を引っ叩かれた。
若かりし頃のGenZee、事業立ち上げの時期の、とある会社の若手社員。血走った目の先輩たちが走り回る、慌ただしいオフィスでのシーン。今でも頭にその感触が残っている。
紙だから全然痛くはないが、心はめちゃ痛かった。
その日は、早朝から一生懸命、とある稟議(りんぎ)書類を書き書きしていた。内容は全く覚えていないが。
ようやく完成し、印刷し終わった書類の束を前に、満足気に最終チェックをしていたGenZee。その後ろに、人の気配が。仲間内ではヒ◯ラーと呼んでいた、鬼部長さんが、ズン、と立っている。
嫌な予感がする・・
(鬼)「お、GenZee、何をやっとるんじゃ。頑張っとるの〜。」
(小生)「はい! 稟議書を作成しておりました!」
(鬼)「お? 何の稟議書じゃ? どれ、見せてみぃ。」
・・・
で、冒頭の、怒号と書類によるハンマー!
(鬼)「誰がこんなモノ、作れと言った〜!!」
(小生)「え、いや、あの・・」
と、前日、GenZeeに作成の指示をした、隣に座る課長さんの方に、チラッと目をやる。
(課)「・・・」(下を向く)
この日初めて、オトナの世界を知った。 ハシゴを外される、というやつだ。
GenZee、数々の戦を経て老兵となった今、この事件を思い出すと、きっと、部長さんには部長さんの事情があったんだろうな、と思えるようにはなった。
根回し中に既に、社長さんから却下されてしまっていた議案、だったのだろう。 その題名を見た途端、部長さんなりのフラストレーションが、爆発してしまった、のだろう。
今なら、パワハラだ、と話題になってしまう所だが、当時はそんな風潮は微塵にも無い。
心が折れそうになりながらも、また明日には変わってしまうかもしれない課長の指示に従って、別の作業に移ったのだった。 だが、その後何日も、何度も、心の中で叫んだ・・
世の中は、理不尽だ〜!
そんな事件以外にも、数々の理不尽な経験をしてきた。
✅ 一日中会議室に缶詰になり、戦略会議を開いていたある日のこと。 案が尽きちゃったね〜、と喫煙者数人がタバコの煙を、ぷっはー~、と天井に向けて吹いた、その時。 鬼部長さんが、ドン、と扉を開けた。「◯◯!何をさぼっとんじゃ〜!」、「◯◯も悪いが、傍観しておるGenZee、お前は重罪じゃ〜!!」と、また引っ叩かれる。 GenZeeは非喫煙者。だから、今でもタバコの煙が嫌いだ。
✅ まだ内密にお願いします、と添えつつ、社会人の礼儀として、最初に鬼部長さんに婚約の報告をした。 その翌日、何かのチョンボ(覚えてない)をしてしまった。そして、「お前みたいな出来損ないは、婚約破棄されてしまえ〜!」と怒鳴られる。 それが周りの皆さんへの、最初の報告となった。 幸い、婚約は破棄されず、結婚に至ったが。
✅ 桜の開花が近いある日、突如、「明日から札幌に長期出張せよ」、と命ぜられる。期限は未定。業務内容も、不明。 で、単身乗り込み二週間、 ようやく雪道の歩き方に慣れて、どっぷり腰を据えるぞ、と腹をくくった、その時、突如、「東京に戻れ」、と命ぜられる。 通勤用に買った自転車は、地元でお世話になった友人に、置いていった。
✅ 営業として、高い販売目標を背負わされた。 何とか担当顧客に頼み込み、3,000台の予約を取れた。が、会社がメーカーから仕入れることができた商品の、自分への割当は50台と、後で知らされた。 担当顧客の親分さんには、普通は指を摘めろと言われるもんだぞ、と言われた。(言ってる)
✅ 外資系だって理不尽だ。 とある企業の経営メンバーだった。ある日、突如、会社の売却が発表された。こりゃヤバイ、転職せねば、と動こうとしたGenZee。他の上級役員メンバー(お侍)は随分前から知らされていたようで、とっくに次のいい仕事を見つけており、発表と同時に移籍して行った。転職のタイミングを逃した下級役員のGenZeeは、減俸が条件の残留契約書にサインした。
✅ 一年がかりで論理的に条件を詰めてきた、大きなディール、最終段階、競合相手が提案先に白紙の小切手を提示し、契約を取られた。
久しぶりに思い出してみると、挙げきれない理不尽な事件。だが、これらもしばらくすると、楽しい思い出、酒のつまみ、話のネタ、になる、できるようになってきた。 そして、ある日、悟りを開いた。
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何事も、身に降りかかることを、受け入れよう。
そりゃ、つらい。その瞬間は決して楽しくはない。だけど、文句言っても、状況は変わらないし。言い返せる立場じゃないし。会社はやっぱり上下があるし。いつまでも後悔しても前に進めないし。
・・と、色々考えさせられる経験をいくつか乗り越えていくうち、徐々に自分なりの解決方法、解消方法が見えてきた。(それはまたいつか書きます)
と同時に、できるだけ、理不尽な目に合わぬよう、抜かりなく準備をしておく、情報収集しておく、流れを読む、空気を察知する、といった処世術も鍛えてきた。(これもまたいつか)
しかし、老兵になった今でも、見聞きする。実感する。
世界はそもそも理不尽だらけだ。 だが、受け入れよう。
これも、足軽から侍となるための修行の一つだ。
以上、GenZeeの 『実践!キャリアアップ ノート』、 ”足軽編” でした。
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こちらには、理不尽な仕打ちで落ちた、どん底から這い上がった話↓
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