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私が一人旅をする理由

どうも。

ついに9連休が終わってしまう。鬱。

この9連休はほとんど家を空けていた。
実家に帰ったり、旅行に行ったりした。

今回はその旅行の話をしようと思う。

今回、私が目指したのは長野県の白馬村と野沢温泉。
贅沢にも2泊3日で満喫してきた。

京都の暑さに音を上げた私は避暑地を求めた。
そこで山に近い場所を選んだのだ。
白馬村も野沢温泉も山の麓で、温泉もあり、求めているものが十分すぎるほど揃っていた。

今回の旅も一人で行ってきた。
一人で行くと、誰に気兼ねをすることもなく時間やお金を使える。
周りの目などは一切気にならないし、周りもそれほど他人のことを気にしていなかったりする。

まず、初日に白馬村に向かった。
京都から敦賀までJRで向かい、そこから新幹線で糸魚川まで。
そこから電車の代わりに増便バスに乗り白馬村まで向かった。
今回の旅に持参した本は東野圭吾の「手紙」。
移動時間は大体それを読みながら過ごした。

白馬村駅

長野は滞在期間中、一貫して涼しかった。
最高気温が28℃ほどで、それより10℃ほど高い京都にいるよりも居心地は最高によかった。

私はまず、ホテルに向かった。
荷物を預けてから白馬マウンテンビーチに向かうために。

ホテルに着いて、私は5度見した。
「本当にここで合ってる…?」
と、思うほどに建物は古く、サイトに載っていた写真とは程遠かったからだ。

看板の文字も昭和を思わせる字体で、不安でいっぱいになりながらホテルに入った。
「あの…荷物を先に預けたいんですが…」
出てきたのはお婆さん。
「チェックインは15時からなんですわ」
「あ、荷物だけ置いておきたいんですけど、可能でしょうか?」
「ピアノの横にでも置いておいてください」

と、受付の隣の部屋を指さした。
そんな対応は初めてで、誰かに取られたらどうすんねん!という気持ちがないこともなかったが、貴重品は自分で持っているので、仕方なくピアノの横に置いて外に出た。

そして向かった白馬マウンテンビーチ。

ネットでは良い天気の写真しか観ていなかったが、今の季節は天気が悪いことが多いらしくその日もかなりの曇天だった。
それでもゴンドラに乗って、山頂まで行きたかった私はゴンドラの受付に向かった。

眉毛が変なおばさんがいる。嫌な予感がした。

「できる限り山頂に近いところまで行きたいんですけど」と私が言うと、おばさんは、何回説明させるんだよ、とでも言うように軽くため息をつきながら説明した。それがあんたの仕事だろという言葉を飲み込んで説明を聞いた。

「ゴンドラに乗って、その後はリフトに2回乗ると上まで行けます。でも、上の方は雨が降っているかもしれないので、リフトは濡れると思いますよ。服が濡れたくなかったらやめといた方がいいかも」とのこと。

迷ったが、服が濡れる程度なら乗りたい!という気持ちが勝ち、チケットを購入。
そして、ゴンドラ乗り場に行くとおじさんから「リフトに乗るの?」と再び言われた。
「はい。服が濡れるくらいなら大丈夫です」と言うと
「ん~でもけっこう降っているかもしれないから、多分考えているより濡れるよ。帰ってくる頃にはずぶ濡れになっているかもね。ゴンドラだけに変えてもらったら?」と言ってきた。
再三そのように言われるとさすがに不安になってきた。
「これ…ゴンドラだけに変えてもらうことってできるんでしょうか…」と、そのおじさんに聞いたところ、
「受付に行ったら変えてもらえると思うよ」と言われた。
またあの眉毛おばさんのところに行かないといけないのか。
忠告してもらったのに聞かなかった自分が悪いよな、と思い、受付に再び向かった。

「すみません、やっぱりゴンドラ乗り場のおじさんにもすごく濡れるからやめといた方がいいと言われたのでゴンドラだけに変えてもらってもいいですか?」と言うと、眉毛おばさんは「ほれみたことか」と言わんばかりの顔で「だから言ったじゃないですか。今回は払い戻ししますけど、今度からはやめてください」と言われた。
自分が悪いので何も言えないが、そんな言い方する必要があるのだろうか。
ここに来る人はきっと観光客が多くて、そんなに何度も何度も来る人はそういないだろうに、人生で一回きりの体験なのだからもっと愛想よくしてくれよ、と心の中で叫んだが「もう二度とこないので大丈夫です」と言わなかった自分を褒めてあげたい。
よく見たら眉毛が変なだけではなくて、歯も黒くてガタガタだった。
こんな人にマイナスなエネルギーを使うのはやめよう、せっかくの旅行だしなと気持ちを切り替え、ゴンドラに乗った。
まぁでも冷静になると、払い戻しをしてくれただけありがたいと思おう。
一応忠告もしてくれてたわけだし。
自分のことは棚に上げて、旅を満喫する私だった。

そして乗ったゴンドラ。
実は高所恐怖症気味なところがあり、乗っている間は気が気ではなかった。
目の前に広がる光景に胸を打たれながらも、「ここで上のワイヤーが切れたら死ぬしかないだろうな…」という考えが頭の中の9割を占めていた。
時たま揺れるゴンドラに恐怖を覚えながらもなんとか中腹に到着。

白馬マウンテンビーチから見下ろした景色
パノラマで撮影

山の中はさらに涼しく、景色も綺麗だった。
その時には雨が止んでいたが、おそらく直前まで降っていたせいか、外にあるベンチはほとんど濡れていて座れなかったので、立ちながら景色を眺めた。

長野と言えばアルプス山脈だ。
関西では見ることができない、雄大な景色を拝みたくて長野を選んだ。
また、本当であれば少し前に父も長野に来る予定だったらしい。
父の趣味は登山で、一人で長野まで来て山に登ろうとしていた。
しかし、巨大地震のこともあり、また父の体力的にも長野の山を登るのは少し不安があったらしく中止になった。
「山の写真を撮ってきてくれ」
父からのミッションを受け、張り切って写真を撮りまくった。
だが、実際にはかなり雲が多くあまり綺麗な写真を撮ることができなかったのが悔やまれる。

写真には残せなかったが、私の記憶の中には雄大な山の景色が刻まれた。
たくさんの山々に囲まれて、改めて自分が小さな存在であることを再確認した。

帰りのゴンドラはコワさを忘れたくて、音楽を流すことにした。
曲はアルプスの少女ハイジの「おしえて」。
我ながら最高の選曲だったように思う。
一緒に歌いながら下山した。

そしておんぼろホテル(失礼)に帰った私はチェックインを行ったのだが、そこでも事件は起きた。
受付の外国人と思われる男性の体臭がたまらなくキツかった。
最近、どこかの女性アナウンサーが男性の体臭にSNSで言及して仕事の契約を打ち切られたことがあったが、正直その女性アナウンサーを擁護したい気持ちでいっぱいになった。
しかも、ここは宿泊ホテル。接客だ。
臭いだけで客を不快にさせることがあっていいのだろうか。
あのおばあさんは何も言わないのか。
息をするのも辛く、その男性が笑顔で話すたびに嫌悪感を覚えた。
きっと人間的にはいい人なのだろうと思うが、そんな気持ちを凌駕するほどの悪臭だった。

チェックインをさっさと済ませ、部屋に入る。
そこはかとなく感じるおんぼろ感。
写真を撮る気にもならず、夕飯の時間まで温泉に入ることにした。
洗い場には古さを感じたものの、露天風呂はなかなかよかった。
ひとつしかないのだが、どの時間帯も私一人の貸し切り状態で満喫することができた。

夕食は美味しかった。
男性従業員だけで切り盛りしているのか、中には先ほどとは別の外国人がいた。
正直、さっきの外国人がいたら食事どころじゃねーぞと思っていたので心底安心した。
しかしながら、フレンチドレッシングが容器に入って置いてあったのだが、これがどうにも信用ならない。
これはそのホテルだから、というわけではない。
少し前に、これまたSNSでどこぞの派遣社員の男が女性従業員の愛飲しているハチミツに自分の体液を混入させていた事件があったが、それが思い出されて仕方なかった。
そんなわけがないと思いながらも、もし入っていたら?という疑念が残り、サラダにかけることができなかった。
これは私の心の問題だが、あの事件を目にしてこういう気持ちになった人は少なからずいるのではないだろうか。
こういった二次被害も含めてしっかりとあの派遣社員を罰してほしいものだ。

そして再び温泉に入り、夜は読書をしてから眠りについた。

朝は4時に起きて、最近毎朝行っている運動をしてから温泉に入る。
朝食まで読書をし、朝食後チェックアウトをして、今度は白馬五竜高山植物園に行った。

ここでもゴンドラに乗って、山の中腹に行き、そこからは今度こそリフトに乗ってさらに上まで行った。
ゴンドラの中では再びハイジの曲を流し、恐怖を軽減させた。

ゴンドラの中から見た景色

高山植物園には私の見たい花があった。
それは『コマクサ』。

コマクサ

最近読んだ湊かなえさんの「花の鎖」という作品に登場したのだ。
コマクサを見ることができただけでも、かなり大満足だった。
そして何より涼しい。さらには空気が澄んでいる。
いつも淀んだ空気を吸っているので、浄化される思いだった。

体の中を澄んだ空気でいっぱいにして、植物園を堪能した私は1時間ほどで退館し、野沢温泉村に向かった。
JR大糸線で再び糸魚川まで行き、そこから新幹線で飯山まで。
そしてバスで野沢温泉村に到着。
移動時間は3時間ほどだったが、昨夜には本を読み終わってしまったので、「手紙」の実写映画を動画配信で見ながら過ごした。

兄役が玉山鉄二で、主役の弟役が山田孝之だった。
何という濃い兄弟なのだろう。
だが、感動した。

初日のホテルのことがあるので、あまり期待はしていなかったが、今回のホテルは最高に良かった。
まず建物が綺麗で、中も綺麗。
そして従業員の女性の説明もかなりよかった。
本当はこのホテルでは観光などせずに、ほとんど部屋で過ごそうと思っていたのだが、外湯の話やミニ縁日の話などをしっかりしてくれたので、どうしても外を歩きたくなった。
後から思えば、絶対に外を歩いてよかったと言えるので、この女性には心底感謝している。
そして部屋も最高に広くて綺麗だった。
また、部屋の場所も角部屋で景色がよく、ご褒美旅行にピッタリの部屋だった。
思わず動画を録ってしまうほどに私のテンションは上がっていた。
昨日の宿は前哨戦に過ぎなかったのだ…とさえ思えた。

部屋から見た景色

雨の中ではあったが、早速外湯巡りをしてあちこちの湯に回って入った。
そこまで遠くには行けなかったが、宿の近隣を中心に回った。
まずは3カ所。
「真湯」「麻釜湯」「河原湯」
麻釜湯は熱すぎて、少しお湯をかけた程度で出たが、それでも満足できるぐらい全体的に良いお湯ばかりだった。
温泉街なので、基本的には硫黄の匂いがそこら中からしている。
この温泉特有の匂いが好きだった。

3カ所を回り、満足げに宿に帰った私は宿のお風呂にも入ってから、夕食を食べた。
大体の宿がそうなのだが、なんせ量が多い。
これはたくさん食べる人を基準にして作っているのだろうか。
少ないよりは遥かにいいのだが、どうにも食べきれない。
だが、すべての料理を味わうようにはしている。

お腹いっぱいに夕食を食べ、また外湯巡りをする。
「上寺湯」「熊の手洗湯」
計5カ所を堪能して、さらにミニ縁日も見て回った。
大雨の後だったので、本当に少しだけだったが、夏を感じた。

宿に帰り、今度は東野圭吾繋がりで「白夜行」なるドラマの配信を見始めた。
それを見ながら気分が良くなった私は買ってきた缶チューハイを飲む。

白夜行の存在は知っていたが、どうしても見る気にならなかった。
しかし、見てよかった。
何とも引き込まる話だった。
家にいたら永遠にドラゴンボールしか観ていなかったので、これも旅行に来たからこその出会いだったと思う。

そうして二日目の夜も堪能し、翌朝同じように運動をしてから温泉に浸かった。
朝食を食べ、チェックアウトし、京都に帰る。

本来であれば、もう少しゆっくりするとつもりだった。
しかし、一人旅をしているとやはり「寂しい」という感情も少なからず芽生える。
これは一人で家にいてもあまり感じない感情だったりする。

「ああ、そろそろ家に帰りたいな」
「あの部屋が恋しいな」
「誰かと会って話したいな」
「彼の顔が見たいな」

こういった感情は一人で見知らぬ土地にいるからこそ、湧き出る。
この感覚を味わいたいから、私は一人旅をしているのではないと思う。

もちろん、それだけではない。
ただただ贅沢がしたかったり、今回のように雄大な山を見たかったり、温泉に浸かりたかったり、他にも一人旅の目的はたくさんある。
しかし、最終的にこういった気持ちになることで、普段の生活や彼に対しても感謝が生まれるのも確かだったりする。

だからこそ、刺激は必要なのだろうなと改めて思った。

家に着く間際に彼から電話がかかってきた。
「まだ帰ってないの?」
彼も寂しかったのではないかなと思う。

そして家に帰ったばかりだったが、洗濯と片づけをして、彼と会うことになった。
無論、いつも以上に感謝し、その時間を大切にすることができた。
彼からも別れ際に「早くまた会いたい」と言われた。

今回の旅も非常に有意義であったように思う。
実は地震の件がなかったら、静岡にも行こうと思っていた。
次回はぜひ静岡にも行きたい。

こうして私の9連休は幕を閉じる。
あっという間だったが、やりたいことを全部できた9日間だった。

また次の年末年始に向けて楽しい計画を立てながら、日々を過ごしていきたい。


それでは、また。

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