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【15歳の。】

 顔も覚えぬ内に父が蒸発。代わりに15歳年上のお兄さんが、家によく出入りした。
 私を捨てた父が憎いとこぼすたび、渋い顔をされたものだ。

 時を経て私は同級生と結婚。
 授かった男の子は兄さんそっくり。

「孫の顔だよ」

 全て察した私は兄さんへ詰め寄る。
「黙っててごめんな」
 と、渋い顔をした父が言う。

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