自販機にて
自販機のコーヒー。
キャッチコピーは、「挽きたてのカオリ、閉じ込めました」。
それを読んだ息子が、ポッケから100円を取り出す。
「カオリさん、可哀想だから出してあげよう」
健気な優しさは、彼の閉所恐怖症から来るものだろう。
100円を入れて、コーヒーのボタンを押す。
ガタガタと音を立て、落ちてきたコーヒー。
さっそく手にとって、息子はプルタブを引いた。
自由になったカオリが、幸せそうに息子の鼻の穴に吸い込まれて行った。
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