北海道白老町で開催中!白老文化芸術共創の展示会場を巡るツアーを開催しました!
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北海道白老町で開催中!白老文化芸術共創の展示会場を巡るツアーを開催しました!

白老文化芸術共創 -ROOTS & ARTS SHIRAOI-

白老文化芸術共創-ROOTS & ARTS SHIRAOI-が10月15日(金)にスタート。会期初日、新聞社などのメディアの皆さまを対象に、各展示会場をバスで巡って作品を解説するプレスツアーを実施しました。ツアーに参加したライター中田芽衣がレポートします!

吉田みなみさんの「樽前のひと・Mt. Tarumae of People」

まず初めに訪れたのは、白老の市街地から国道36号線で海沿いに約5km北東へ移動した旧社台小学校。樽前山がとてもよく見えるロケーションです!

小学校の敷地内に、樽前山を眺めるかのように設置されているのは、彫刻家・吉田みなみさんの彫刻作品です。吉田さんは、作品をつくるにあたって、樽前山を実際に登山し、旧社台小学校から樽前山を粘土でスケッチするなどリサーチを重ねてきました。そして力強く生きる女性3人をモデルに、人と自然がもつ普遍的な美しさを彫刻で表現しました。

また、白老を代表する歌人・満岡照子も歌集『火の山』で樽前山と自身を重ね、こう詠んでいます。「火の山は雪を被ぎて静かなり我にも堪ふる念ひあるとき」。満岡照子が歌で表現した、樽前山のどっしりと忍耐強く構えた姿にも重ね合わせた作品です。

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次に、国道36号線を逆方向(登別方向)へ竹浦地区まで移動し、アンティークショップ36号線 白老店へ。ここにも吉田さんの作品が展示されています。

到着するとまず目に飛び込んでくるのは、外壁に大きく楽し気に描かれた女の子のイラスト。これは、アンティークショップ36号線 白老店がオープンする際に、高校生の時の吉田さんが描き、店主が気に入ってずっと残してある壁画です。

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お店の庭や屋内のいたる所に、アンティークな雑貨がぎっしりと並んでいます。その多さは「どうやって こんなに たくさん集めたの!?」と誰もがびっくりするほど。じっくり回ってお気に入りの一品を見つけたくなります。

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屋内に入りアンティーク雑貨が陳列する店内を進むと、吹き抜けの壁に、たくさんの子供たちの顔を描いた絵画が展示されていました。この作品にも「樽前山のように力強く生きて欲しい」という願いが込められています。

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大西 洋さんの「炭となる素」つながりと距離 その2

続いて訪れたのは、ブウベツの森キャンプ場。市街地からは約4km、ブウベツ川沿いに森の方に少し入った所にあります。休日にはたくさんの人が訪れる人気のキャンプ場です。

キャンプサイトの中で、木々が生い茂る幾つかのエリアを見渡すと、紋様が描かれた木綿の布が木々に巻き付けられていたり、木炭がティピの様に束ねられ数カ所に配置されていたりします。

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こちらは大西 洋さんの作品です。大西さんが今回テーマにしたのは「炭」。白老は、明治期の炭窯の跡が残っていたり、今も炭を生産していたりと、昔から炭焼きが盛んな地域です。

大西さんはリサーチ活動の中で気づいたことがあります。炭の素となる「木」が描き出す切り株や年輪などの有機的な紋様には、渦を巻くようなアイヌの紋様に重なるものがあるということ。木は、幹や枝先が渦巻くように曲がっていて、完全な対称から少しずれた形をしています。そしてアイヌの紋様も、機械でつくるような完全な対称ではなく手でつくられた自然な歪みがあるのです。アイヌ紋様にどこか親しみがあるのは、そのゆらぎが影響しているのではないかと考えました。

そこで、今回は炭を使って自然の中から抽出した紋様を描き出しました。

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炭を構成する元素である「炭素」は、私たちの体の構成要素でもあり、人は二酸化炭素を吐き出しています。また、人は生活の中で木に火を起こして調理をしたり、木炭で絵を描いたりしますが、その素材となるのが「木」。私たちが吐いた息に含まれる二酸化炭素を酸素に変えてくれるのも、また木の役割です。

今回の作品では、人と木の間でも炭素の循環をおこなってバランスをとっていることや、自然と人がつながっていることを表現しています。

会場の木々全体を眺めると、布がつながって大地とのつながりを、ひとつひとつの紋様を見ると、木肌や自然の生命感を感じることができます!

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布に描かれた紋様は、ひとつひとつ異なる柄をしており、見ていると次の紋様、またその次の紋様へと、つい追いかけてしまい、森の奥へとどんどん歩き進んでしまう作品でした!


相川みつぐさんの「盗まれた文字」

バスは白老の市街地・大町に戻ってきて、白老郵便局の隣の空きテナント「創作一心」跡へ。

ここでは、アイヌ紋様にモチーフを得たような大きなイラストがお出迎え。ガラス張りの建物の、壁や床などあらゆる所にカラフルな線画や布が施されており、目にも鮮やか!相川みつぐさんの作品です。

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相川さんは、白老町に残る義経伝説を題材に、絵巻物のような展示空間を作りました。源 義経がかつてアイヌの首長の留守中に、留守番をしていた首長の娘を言いくるめて巻物を盗んだ。そこにはアイヌの文字が書かれていたので、アイヌの文字がなくなってしまったという物語。そこに、相川さん独自のイマジネーションを加えて展開しています。

建物に入ると、細長く伸びた通路の壁に義経伝説の物語が文字で書かれているので、ストーリーを読んで理解した上で会場の作品を観ることができます。会場には、物語を表現したフリーハンドの線画イラストのほか、白老の刺繍サークル・フッチコラチさんとのコラボ刺繍作品なども展示されており、様々な形で義経伝説を楽しむことができます。

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義経伝説の物語が面白いことはもちろんですが、たとえ義経伝説を知らずに鑑賞したとしても十分に楽しめてしまうほど、アート作品としても魅力的な空間でした!


森迫暁夫さんの「~地図。大なり小なり」「~型取りスケッチと影とりスケッチのカケラ図鑑」

「創作一心」跡を出て、徒歩約4分で大町商店街のcafe結へ。cafe結はとてもお洒落なカフェで、そのこだわりの内装はまるで小さなギャラリーのよう。

cafe結のこだわりの空間に可愛らしくちりばめて展示されているのが、森迫さんの「~型取りスケッチと影とりスケッチのカケラ図鑑」です。

森迫さんは「飛生芸術祭」への参加から数えると白老との付き合いは10年以上。過去には伝説や伝承など大きなテーマで作品制作をしたこともありましたが、今回は身近な話題をテーマにしました。白老で出逢った人との会話や道端で出逢った葉っぱなど、小さな物語の「カケラ」をたくさんの小さな焼き物として表現し、cafe結のあちこちにちりばめています。

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そして、cafe結から大町商店街を歩いて約3分のところにあるのが、森迫さんの2つ目の会場であるhaku hostel + cafe bar。

こちらはかつて旅館として使われていた建物をリノベーションして、多種多様な人が集うホステル兼カフェ・バーとして2019年4月にオープンさせた施設。cafe結に続き、こだわりのハイセンスな内装が光ります。

こちらに展示されているシルクスクリーン作品が「~地図。大なり小なり」。大きな布に小さなイラストがぎっしりと描かれています。これは、cafe結に展示していたひとつひとつの小さな物語の「カケラ」を集合させて、大きな物語として一枚の布に表現したものです。

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2会場どちらの作品も、思わず「可愛い~!」と声が漏れました。もしお土産商品として販売していれば、きっと買いたくなる程センスの良いものばかりでした。


磯崎道佳さんの「森の入口、森の出口、あるいは どちらでもない」

続いて大町商店街の(株)やまもと貸事務所へ。「ベーカリーショップななかまど」と「フルーツスタジオ 白老店」の間に挟まれた一棟貸しのレンタルスペースです。

到着すると、一棟をまるごと使って表現した作品が外からでも圧巻!窓から木の枝や葉がダイナミックに出ており、入る前からワクワクします。

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白老という土地を読み解くために、実際に白老の川を歩いてリサーチ活動をおこなった磯崎さん。かつて砂金を取りに白老の川を登った砂金堀り師の軌跡をトレース。そこで感じ取った人と森の入り組んだ関係性に着目しました。

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建物に入る前からワクワクしましたが、砂鉄などの素材を使って砂金堀りを表現するなど、建物の中の作品はさらに期待を超えてくれました!

※磯崎さんの「森の入口、森の出口、あるいは どちらでもない」は、10月24日(日)で終了しています


磯崎道佳さんの「ハスカップからカンパーニュ」活動資料展示

続いて(株)やまもと貸事務所から、しらおい創造空間「蔵」へ、約1kmの移動です。

「蔵」では磯崎さんのもう一つの取り組みであるワークショップ「ハスカップからカンパーニュ」の資料を展示しています。ワークショップでは、参加者の皆さんと一緒に、北海道胆振地域に自生している果樹「ハスカップ」から自家製天然酵母を作り、そこからハード系パン「カンパーニュ」を焼くのですが、この資料展示では、発酵成長中のハスカップの自家製天然酵母の香りを嗅いだり、カンパーニュやハーブ入りのオリーブオイルを実物で見たりすることができます。


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また、ハスカップが発酵して天然酵母になる過程の映像も見ることができ、ポコポコと小さい音を立てて発酵する様子が面白いですよ!


文月悠光さんの「声の余白」

しらおい創造空間「蔵」の磯崎さんの会場の隣では、詩人・文月悠光さんの詩の作品を、朗読と映像で展示しています。

文月さんの曾祖母にあたる満岡照子は、白老を代表する歌人。自然などの物言わぬ対象を見つめ、その存在と人の営みを重ね合わせる歌を多く残しました。文月さんは白老を訪ね、満岡照子の短歌『火の山』の普遍性をすくい取り、『火の山』に対して答えるような形で、現代の人々に向けて、新たに詩を書き下ろしています。

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また、満岡照子直筆の短歌『火の山』や、与謝野晶子が満岡照子に宛てて書いた手紙などの資料も展示しています。

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今回のシㇽキオプロジェクトは、満岡照子の歌(特に『火の山』)の中に表現されている自然観や白老の情景を感じながら企画しています。各アーティストの作品の中で、それを感じ取ってみてください。

シㇽキオプロジェクトの冊子に書かれた満岡照子の歌を読みながら各会場を回って、各作品と照子の歌とのつながりを発見するのもおすすめです!


<開催概要>

【アーティスト・イン・レジデンス】
■磯崎 道佳(いそざき みちよし)

Instagram @iso_michiyoshi
➀「ハスカップからカンパーニュ」ドキュメント展示
会場:しらおい創造空間「蔵」(白老町本町1丁目7-5)
時間:10:30~17:30 休館日:月・火曜日
②ワークショップ「ハスカップからカンパーニュ」
日程:10月23日(土)、11月7日(日) ※両日参加
会場:しらおい創造空間「蔵」(白老町本町1丁目7-5)
時間:13:00~15:30、事前申込(先着10名)
詳細はこちらからご確認ください
※「森の入口、森の出口、あるいは どちらでもない」は10月24日(日)で終了


【シㇽキオプロジェクト】
日程:10月15日(土)~11月7日(日)

■吉田 みなみ
Instagram @minamiyoshida93
「樽前のひと・Mt. Tarumae of People」
会場①:旧社台小学校前庭(白老町社台100)
時間:10:00~17:00 休館日なし※野外につき常時観覧可
会場②:アンティークショップ36号線 白老店(白老町竹浦118-174)
時間:10:00~17:00 休館日:水・木曜

■大西 洋(おおにし よう)
Instagram @yoonishi_illustration
「炭となる素」つながりと距離 その2
会場:ブウベツの森キャンプ場(白老町石山110-2)
時間:11:00~16:00 休館日なし

■相川 みつぐ
Instagram @aikawamitsugu
「盗まれた文字」
会場:空きテナント・創作一心 跡地(白老町大町3丁目4-11)
時間:11:00~17:00 金・土・日・祝のみ会場  ※平日、時間外も窓越しにご覧いただけます

■森迫 暁夫(もりさこ あきお)
Instagram @pokuchiki
➀「~型取りスケッチと影とりスケッチのカケラ図鑑」
会場:cafe 結(白老町大町2丁目3-16)
時間:9:00~18:00 休館日:木曜
②「~地図。大なり小なり」
会場:haku hostel + cafe bar(白老町大町3丁目1-7)
時間:8:30~22:00 休館日:月・火曜

■文月 悠光(ふづき ゆみ)
Instagram @luna_yumi
「声の余白」
会場:しらおい創造空間「蔵」(白老町本町1丁目7-5) 
時間:10:30~17:30 休館日:月・火曜


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白老文化芸術共創 -ROOTS & ARTS SHIRAOI-
白老町でスタートした、新しいアートプロジェクトです。 町の人、訪れる人、表現する人が交差することで紡ぎ生まれる感情、文化、つながり。 新しい旅・地域のカタチを模索していきます。 10月15日(金)〜11月7日(日)、白老町内各所で作品展示やワークショップなどを開催。