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その言葉は建前から?あるいは本音から?

 こんにちは。創造的な人生のために、心に関することをつたえたく、カウンセリングルームK 〜心との対話アトリエ〜では便りを出しています。

 先日、「自分の気持ちを感じ、受け止めることについて」の記事を書きました。その続きです。

 本当の自分の気持ちを感じ、それを受け止めることをよしとしても、社会の中では、やたらめったら本音を表現することが良いとは限りません。というのも、私たちの世界には、本音と建前というものが存在します。これらを使い分けて、人との付き合いや社会的な適応に生かしていくのです。

 生きにくさを感じる人たちの中には、この本音と建前がわからないために、わざとでないものの、他人にはっきりと本音を言って相手によく思われなかったり、冗談や建前の言葉を本気に受け取って、言われたことと結果が違うので、何をどう信じていいかわからなくなったりします。つまり、建前と本音の使い分けを体得していないために、対人関係に悩んだり、人との交流で傷ついていくのです。

 本音と建前をどう体得するかは、生活していて、たとえば、父親はあんなに家では威張っているのに、外ではへこへこしている姿を見たり、母親は普段あんなに近所の人の文句を言っているのに、今日は長年の友人のように話していた、などという矛盾や違和感を見たり、聞いたり、感じたりして、体得していくものです。特に、思春期には、大人のやっていることと言っていることが違うな、などと、大人の世界(建前と本音のある世界)の矛盾に敏感になったり、嫌悪感を示したりします。

 しかし、このような矛盾や違和感を感じる環境がなかったり、テストの点や成績のみ重視される(気持ちより数字が重視される)親子関係にあったり、他人を感じることができない発達的な特徴があったりなどで、本音と建前がわかりにくいという人たちもいます。

 そういう方達とトラブルがあった時に、はっきりとこちらからの本音を言い、態度を改めてもらおうとすることは、あまり効果がありません。なぜなら、そのような人こそ傷つきやすく、言葉の直球への直球返しは、理由もない批判、自己否定と捉えられがちなのです。

 事が起こった時、これについてどう思ったか、どんな気持ちになったのか、丁寧に聞きましょう。相手の気持ちをきき、そして自身の気持ちについてもいう事が大切です。「自分は相手を傷つけたくなかったからこう言った。だけれど、このように捉えられてしまった」などです。言わなくてもわかっていると思われた建前と本音の説明を冷静にするのが良いと思われます。安心しながらの振り返りが行われると、相手にとっても、自分にとっても物事を客観的に見れるよい機会となります。

 もし、子どもが建前や本音がわからないようであれば、この場合は、こう、あの場合はこうと、細かく具体的に指示し、訓練する必要があるかもしれません。「訓練」という言葉が示す通り、こんなことも言葉にしなければならないのかと思うようなこともドリルをするように習慣的に言っていく必要があるかと思います。

 本人が繊細で傷つきやすいために、人との交流の中で傷ついていく人は多いです。しかし、様々なことを正直に表現しあえる関係を作っていくことで、それが生きやすさに繋がっているとも考えています。


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