#創作大賞2022
【小説】人欲(1/10)
探しているものがある。いつから探し始めたのかはわからない。あのときかも知れないし、それよりずっと前かもしれない。それはあまりにも漠然としていて、頭に描くことはできない。もとより、文字にすることも。
わたしは快楽の奴隷になり、余計な想像から切り離され、夢のようにすべてが曖昧になる。彷徨い続けて伸ばした手の先にあった感触が、現実に引き戻してくれた。
いつも、他人の体の上を深く泳ぐ。きょうの相
探しているものがある。いつから探し始めたのかはわからない。あのときかも知れないし、それよりずっと前かもしれない。それはあまりにも漠然としていて、頭に描くことはできない。もとより、文字にすることも。
わたしは快楽の奴隷になり、余計な想像から切り離され、夢のようにすべてが曖昧になる。彷徨い続けて伸ばした手の先にあった感触が、現実に引き戻してくれた。
いつも、他人の体の上を深く泳ぐ。きょうの相