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『認知科学』鏡映反転―高野vs多幡 論争
『認知科学』 2008 年 15 巻 3 号に「小特集-鏡映反転:「鏡の中では左右が反対に見える」のは何故か?」という特集があった。https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jcss/…
鏡映左右反転の謎(キーポイント1)
「どうして上下でなく左右が反転しているのだろう」
文字が書かれておらず、目盛りがあるだけのアナログ時計が壁にかかっているとしよう。それは、真後ろ(南側)にあり、真正面(北側)に鏡がある。
見えるのは、反時計回りの鏡像だけだ。左右に反転しているように見える。
(鏡像は一方向だけが反転することは経験的にしっているが…)
問い:なぜ、左右が反転しているのか?
答え:実像と鏡像を上下をそろえた向きで見
『認知科学』鏡映反転―高野vs多幡 論争
『認知科学』 2008 年 15 巻 3 号に「小特集-鏡映反転:「鏡の中では左右が反対に見える」のは何故か?」という特集があった。https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jcss/15/3/_contents/-char/ja
その誌上討論で、高野陽太郎、多幡達夫、小亀淳の3氏による自説の紹介、他説への批判、批判への回答がなされた。
この記事では、高野説、多幡説そ
鏡映左右反転の謎(いや前後反転だ⁉)
「どうして上下でなく左右が反転しているのだろう」
文字が書かれておらず、目盛りがあるだけのアナログ時計が壁にかかっているとしよう。それは、真後ろ(南側)にあり、真正面(北側)に鏡がある。
見えるのは、反時計回りの鏡像だけだ。左右に反転している。
いや、反転しているのは、前後であって、左右ではない。
という見方について、コメントしたい。
確かに、鏡が反転するのは、まさしく前後である。
鏡による左
「多重プロセス理論」について(感想)
高野は言う:
当初、これを読んで驚愕し、反感を―いや怒りをだったかもしれない―覚えた。鏡映反転は、物理で原理がわかっており、それを3つの異なる現象だというのだから。
しかし、なんとなく、味わい深いと思えてきた。自分の身体の鏡像に自分の心的イメージを重ねることや、たとえ2次的だとしても表象との比較もあることに納得したからである。
そうして、高野陽太郎『鏡映反転』を手に取ってみた。
子供のころの記
鏡映左右反転の謎(キーポイント5)
「左手を伸ばしているのに、どうして鏡の中では右手を伸ばしているのか」
.…(**)
に答えたい。
まずは、文字での答え(キーポイント3)と全く同じように答えよう。
ここでは、人(身体)の視点から前後・上下・左右という方向を使う。ごく日常的に行われていることだ。「右手」「左手」とか言う、見方だ。
鏡の中では身体の像は、実像に対して一つの方
鏡映左右反転の謎(キーポイント4)
この謎、つまり「鏡に映すとどうして上下でなく左右が反転するのか?」という問いは、
はたして何を問うているのか?
何を答えれば納得できるのだろうか?
について考えたい。
実際に鏡に映ったアナログ時計や文字を見て感じた素朴で具体的な問いであると同時に、何か普遍的な、あの状況でもこの状況でもあてはまるというような答えへの期待がこの問いにはあるような気がする。
物理は、「鏡映反転の原理」を答え
鏡映左右反転の謎(キーポイント3)
「文字は、どうして上下でなく左右が反転しているのだろう」
丸いテーブルの上に丸い鏡が置いてある(特定の方向がない設定)。
文字を鏡に映した。どの文字も左右に反転しているように見える。
いわゆる鏡文字だ。
問い:どうして、上下でなく左右反転になるのですか?
答え:上方向を合わせて見ているからでしょう。
文字とか見慣れたものを鏡で見ると、つい見慣れた向きから見てしまう。そうして、左右が逆になった
鏡映左右反転の謎(キーポイント2)
「どうして上下でなく左右が反転しているのだろう」
文字が書かれておらず、目盛りがあるだけのアナログ時計が壁にかかっているとしよう。それは、真後ろ(南側)にあり、真正面(北側)に鏡がある。
見えるのは、反時計回りの鏡像だけだ。左右に反転しているように見える。
問い:キーポイント1で、理由はわかったが、しっくりこない。
重力関係なく、視線の向きを基準に、上下左右を決めたとき、
上下左右が
「鏡映左右反転の謎―物理と心理―」
初版 2023/7/17
発行 2023/7/23
プロローグ「どうして上下でなく左右が反転しているのだろう」
鏡に映った時計や文字を見て、こう感じたことは誰もがあるのではないだろうか。
これが、素朴な鏡映における左右反転現象への問いだろう。
文字が書かれておらず、目盛りがあるだけのアナログ時計が壁にかかっているとしよう。一番上の目盛りが12時だ。その一番上の目盛りは、太く強調されている。これ