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モチベーションを高める理論 Part 5

以前、目標に関する動機づけ理論で、「達成目標理論」お話しました。

達成目標理論は、目標観とその目標が行動や感情に影響するという考え方でした。

今回は目標設定理論ですが、前回とは異なる切り口となり大変面白いと思います!今回も具体的な動機づけが高まる目標設定の仕方を示していますので、是非最後までご覧ください!

目標設定理論(Locke,1968)では,意識的な目標は、行動の持続やパフォーマンスに影響すると考えられています。

本人が納得している目標については、曖昧な目標よりは明確な目標のほうが、また難易度の低い目標よりは難易度の高い目標のほうが結果が高いと報告されています(Hall and Kerr,2001)。

また、目標設定とパフォーマンスの関係とその要素として、個人の能力、コミットメント(行動に価値や楽しさを感じ自分を束縛しながら多くのエネルギーをやす関わり方のこと)、フィードバック、課題の特性、阻害要因が影響を及ぼすと報告されています(Hall and Kerr,2001) 。


困難な目標の効果(⚠️参考文献の手前までしっかりと読んでください)
人間は、時間に余裕があったり簡単な課題に対して無意識のうちに自分のパフォーマンスを調整してしまうという性質があります(パーキンソンの法則)。時間の制約を付けたり、努力の工夫をし困難な目標にすることで自分に枷をつけ、行動にメリハリをつけることができます。しかし、ここで重要なのは、自身がその目標に対してちゃんと納得していることです。意味づけを理解していなければ、制御の効果も弱まってしまいます。

明確な目標の効果
例えば、「とりあえず、素振りをしよう」よりも「100回素振りをする」という目標の方が、具体的であり自身の高い動機づけに繋がります。さらに言うならば、作業興奮(やりだしたら止まらない!)を使うために、「10回だけ素振りする」とするのもいいでしょう。

フィードバックの効果
フィードバックを行うことでモチベーションの効果は更に出てきます。遅い時期のフィードバックよりも早い時期のフィードバックの方が目標設定の効果を高めます。要は、PDCAサイクルが早く回りやすくなるってことなんです。

Locke & Latham (1985)は、産業心理学などで様々な研究分野を基に、スポーツにおける目標設定の仮説を打ち出しました。

①明確な目標は一般的な目標よりも行動を明確に制御する

②質の高い明確な目標は十分な能力と目標への深い関与があれば、目標が高ければ高いほどパフォーマンスを向上させる

③明確で困難な目標は、「ベストを尽くす」という目標や目標がない場合よりも高いパフォーマンスをもたらす

④短期目標に加えて長期目標の利用は、長期目標だけを利用するよりも高いパフォーマンスをもたらす

⑤目標は活動の方向づけ、努力の喚起、持続の増進及び適切な課題方略の探索への動機づけによって、パフォーマンスに影響する

⑥目標設定はに関する進歩の程度を示すフィードバックがある時、最も効果的となる

⑦目標が困難である場合、目標への関与が高ければ高いほどパフォーマンスが高くなる

⑧目標への関与は、目標の受け入れ。サポートの提示、目標設定への参加、トレーニング、選択および報奨や報酬が関わることによって影響される

⑨目標の達成は特に課題が複雑で長期に渡る場合は、適切な活動プランすなわち方略によって促進される

⑩競走はより高い目標の設定や目標関与の増大の程度に応じて、パフォーマンスを向上させる

しかし、スポーツ場面における短期的または長期&短期的な目標が、パフォーマンスに効果的である研究は立証されているものの、具体性と困難度における研究では、支持するものと支持しないものがあり、この仮説を裏付ける物はありませんでした。

Locke & Latham (1985)が、作り出した細かい仮説が裏付けなくとも、目標を立てることに悪いことはありません。むしろ、目標を立てることが行動への第一歩になります。

〜参考文献〜
Hall, H. K. and Kerr, A. W. 中島,宣行(監訳)(2001)スポーツと身体活動における目標設定. モチベーション理論の新展開-スポーツ科学からのアプローチ-. 創成社: 226-294.
Locke, E. A. and Latham, G. P.(1985)The application of goal setting to sports. Journal of Sport Exercise Psychology 7: 205-222.

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