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第二十三話 闇鍋パーティー

街に戻った僕ら三人は、昨日レストランで頼んでおいた「ウナギのから揚げ?(前日までに注文で、注文後、捕まえて生捕にしてある鰻を取りに行く)」を食べに行く。

注文してから捕まえて捌く。
そしてそれが食べられるって素晴らしい。

 さてそのレストランはというと、川沿いにあり、独立した小さなコテージのようなところにテーブルが一つづつある。厨房からそこまで料理が運ばれてくる。座敷に上がり、座布団のようなマットの上で料理が来るのを待つ。

長時間歩きっぱなしだったので、お腹も減る。

レストランに着いたのは夕方でしたが、いつのまにか日も暮れる。真上から釣り下がるランプに明かりが灯る。座敷でのんびりしていると子猫達が上がってくる。誰も動物嫌いはいなかったので、猫達と戯れる。このコ達、前髪がまっすぐ揃ったような毛並みをしている。しかもみんな。兄弟なのかあ。

 武三くんは四国の田舎の出身で、動物は常に身近な存在であり、かなり好きとの事。
牛や馬が沢山住んでいるところらしい。

しかし、この時、武三くんは25歳でしたが、結婚もしないでフラフラとアメリカやらアジアやらへ行ってばかりと、近所には噂され、肩身の狭い思いをしているとの話しでした。
田舎暮らしの経験のない僕にはなかなか理解し難い環境でしたが、そんな環境ながらも海外で働いたりたり(ワーホリで)旅をしている武三くんは、自分の意見もしっかり持ち、逞しく生きているように感じました。普通ならそこで周りの意見に流されてしまうだろうに。

 暫くすると料理が運ばれてくる。確かここはシャン料理(シャン州に多く住む、シャン族の料理)だったと思うのですが、どれを食べても非常に美味しかった。
膝の上からテーブルに乗ろうと企む子猫達。お腹が減っているのかな。魚料理をあげる。
 料理は素晴らしいし良かったのですが、ここで問題が。
このコテージの造り。窓も何もないので、上から下がるランプに大量の虫達が集まってくるのです。それが僕らの食べるテーブルのすぐ上にあるもんだから、ランプにぶつかって落ちてくる虫達が大量に料理の中に飛び込んでくるのです。自然の豊かな証しなのでしょうが(笑)
羽蟻、蛾、甲虫、ありとあらゆる虫達が飛び交う。
「ん?これ胡椒?虫?食材?虫?」
ランプも薄暗いので、ほとんど闇鍋状態でした。
時々、口の中で当たりを引く。
まあ、たんぱく質だし問題ないでしょう。

 そういえば、胡椒の「胡」の字。これが頭につくものって、中国の遥か西より伝えられた物だと言う話しを聞いた事があります。こんな漢字からしても分るように、日本の文化って、遠く、西から伝わるものが沢山あるんですよね。
思想も文化も、遠くから運ばれて、日本という島まで運ばれてきた。
それが日本で独自の発展も遂げるのですから、文化の交流って素晴らしいですね。
 
 さて、食事も終わりイギリス人の彼と別れ、宿に戻る僕ら。

すると例のユダヤ人(イスラエリー)の一人がレセプションに居ました。
「あれ?もう一人の彼はどうしたの?」と僕。
「あいつ、馬に乗って山まで行ったっきり帰ってこないんだよ。山でキマッってるんじゃないのか?明日出発だってのによ。」
すごく不機嫌そう。彼は吐き捨てるように言う。もう夜も遅いのに大丈夫だろうか…。

 その時、またまた動くものが目の前を飛来し、僕は無意識に手が出る。なんと捕まえたのはコウモリでした!
「ぎゃ~!」叫ぶ僕。

「どうしよう、コレ?どうしよう、コレ??」
レセプションに居た欧米人たちに近寄る。

イスラエリーの彼以外、皆叫ぶ。
(彼はコウモリごときで驚くなよという顔)
「あんた、早くそんなの離しなさいよ!コウモリなんて!こっちに持って来ないで!!」

逃げる、旅行者達。笑うホテルの従業員達。

仕方なし、僕は外に出てコウモリを放しに行く。
コウモリがどうしてそんなに嫌いなのだろう?ウイルス?吸血鬼伝説のせい??
 

さて、それでも結局帰ってこなかったユダヤの彼。僕らは気にしながらも、部屋に戻り寝ることに。
 
そして翌朝、事件は起こる_

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