ひとりきりクリスマス

初めまして。
歌ってみたとボカロ作曲をYoutubeに上げて活動しているインターネット音楽マンの朧(https://twitter.com/ron_obo)です。

インターネット活動を始めたのはだいぶ前だが、最近作曲活動の頻度が上がってきた。
あまり作者が語りすぎるのは野暮だと思っている派だが、思うところあって曲を書くたびに、noteを残すことにした。

目的は2つ。

  1. DTM備忘録として。日記にしたい。思い返してこんな思いで作ったな~となりたい。案外忘れるから…。参考にした音源とかも記載していきたい。

  2. 娯楽の中でも音楽は特に供給が飽和している現代。1回聴いてリピートされない曲が大半を占める中で、もう一度聴くような動機を作りたい。この記事と見比べながら聴く楽しみもあればいいんじゃないかという狙い。

というわけで12/17に公開した「ひとりきりクリスマス」という曲について早速書いていこうと思う。
公開から約1週間が経った。聴いてくれた人ありがとうねえ。


■書き始めたきっかけ


10月中旬ごろ、ボカコレが終わり何を書こうと考えていた。
制作期間を考えるとせっかくなのでクリスマスソングがいいなと思った。
作詞作曲とは面白いもので、否応なくその曲を歌うボーカルを想定しながら書いてしまう。
自分のボーカルは可不ちゃんしかいないのだが、
可不ちゃんはハッピーに振り切るよりも陰っぽい曲が似合うと思っていて、
彼女にはどんなクリスマスがいいだろうなどと考えていた。

そしたらちょうどその時期、身近に毎日泣いている男がいた。
付き合っていた恋人と別れたらしいが、その後毎日のように夢に出るらしい。
というところに着想を得てしまったが最後、妄想が膨らみに膨らんで、
その日のうちに曲と詞の大枠を書ききった覚えがある。
妄想力は創作において一番大事だ。そう最近よく思う。

そんなモチーフを元に歌詞を展開したが、手前味噌ながらほどよくフィクションに落とし込めた気がする。
おかげさまでクリスマスでありながら陰っぽい曲をうちの可不ちゃんに提供できたが、
なんか多少後ろめたい思いがあって未だに本人には伝えられていない。

■作編曲について

まずクリスマスになぜかワルツのイメージがあり、拍子は3/4に決めた。
前作が多少テンポ遅めなのでファスト(BPM:♩=177)にした。あまり難なくメロディが降りてきたのはよかった。

作曲とはそのメロディを書いた楽器の特性によりかなり変わってくるものらしい。ぼくはこれが作曲の面白さの一つだと思っている。
自分は歌とトランペットしか楽器ができないので他の楽器のことはわからないが、
歌で作れば歌いやすく、そのキーのスケールに則ったシンプルなメロディに、
トランペットで作れば半音を多用したり勝手に転調したりと、複雑でテクニカルなメロディになる。(あとB♭の移調楽器という特性上、メロディのキーが♭系に寄る)
自分はありきたりなメロディになるのを避けたく、極力最初はトランペットを手に取るようにしている。今回はほぼ全編トランペットでメロディを書いた。

JPOPにありがちなABC(サビ)構成ではなく、ジャズスタンダードや昔の歌謡曲によくあるAABA構成を取った。
Bパートの作曲に多少手間取ったが、ジャズミュージシャンであるLee Morgan氏の名盤「Candy」の収録曲である「Personality」のBメロを参考にした。

0:30~くらいのあたり。

トランペットなら、歌では絶対思いつかないメロディを書ける。楽器やっててよかったなーと思う。
多分転調しまくりな上にどう転調しているのか自分でもよくわからなかったためここはコードをつけるのに苦労した。

次に編曲についてだが、実は当初楽器編成をピアノだけの想定で書いていた。ちょっと寂しいクリスマスを演出するのに音数は少ないほうがいいと思ったからである。
完成形からは思い浮かばないが、実は最初に参考にした音源としてOrangestarさんの人気ボカロ曲「回る空うさぎ」がある。

ピアノひとつだけで聴かせる曲を作り上げてしまう編曲力を盗みたかったからである。
結局は物足りずベースを足し、ビブラフォンを足し、可不ちゃんのスキャット(コーラス)を足し、最後にブラックフライデーで買ったドラム音源まで入れてしまったのだが…。
しかし場面ごとの展開力の重要性は楽器が増えても同じこと。ピアノ一つをじっくり作ったのは曲の完成度を上げる意味でも、ノウハウを積む意味でも意義があった。

まあ編曲についてはあんま書くことはない。最後にドラムを入れるのを最後まで迷ったが入れてよかった気がする。
ドラム音源「Addictive Drum 2」はいいぞ。とにかく使いやすくてよかったです。

あ。巷で噂のハーモニックマイナーパーフェクト5thびろ^~んスケールがメロディのどこかに隠れています。

■歌詞について

前述の出来事を元に手が動くままに書ききったのでこだわりポイントがあんまりない。
詞については聴き流した時に違和感を覚える韻の置き方をしてなければそれでおっけーという持論がある。

内容面では、説明的になりすぎなかったのはよかったという手応えはある。
キラキラしたクリスマスの一日に、ほんのり切ない思い出で影を差せればそれでよかった。
冒頭部のトーストやらコーヒーやらのワードを最後にも持ってきたとこは
「ふ~ん…我ながらオシャレやん?」とはなった。
これ以上歌詞に関してはあんま言いすぎたくないな。細かい裏設定があるのかどうかというと、どっちとも言わな~い。

■MVについて

素敵なイラストはciElo様に描いていただいた。

歌やMIXもできるマルチクリエイターさんである。
最初は歌の方で仲良くなっていたため今回の依頼はイラストレーターと依頼者というよりは友人にお願いする感覚だった。もちろん対価は支払った。
割と気兼ねなく話せるくらいの交流があるのでDiscordを使い、会話を通じて、そして制作画面を見せてもらいながら描いてもらった。かなりやりやすかった。
本来は付き合いのまだない絵師様に依頼するケースが大半なのだろうが、意思疎通が億劫でとてもじゃないができない。

動画を編集したのは自分だが、まあ未熟だ。動画編集の技術も、それを得たいと思うほどのモチベもないので正直困っている。
音楽がやりたいだけだということに気づいた。ただ動画師を探すのも意思疎通も億劫で依頼できず自分でやってしまう。

最近気が付いたが、自分は誰かを巻き込むことが苦手だ。
大風呂敷を広げてみんな一丸で畳むみたいなことができず、自分が畳める範囲の風呂敷を自分で畳みきることしかできない。
その風呂敷そのものを自分の成長次第で大きくできはするが、限度はある。
分野それぞれのすごい人たちを巻き込んで広げる風呂敷の大きさにはならない。
創作難しくない?

あとこれは気付きだが、動画の完成形を考えてから絵師に依頼しないといけないなと思った。
シーンに応じて絵(構図や差分込み)を依頼するのだからそりゃそうだ。
正直一枚絵で済ませたいが、ある程度の見栄えは欲しい。
ボカコレで上位取ってる人とかほんと凄いと思う。

■総括

自分なりには満足いく曲が作れたと思っていて、満足している。現状ある力は出せた。
作曲についてのこれからのビジョンですが、とりあえず2023年、2か月に1度の投稿(年間6本)を目標にする。
2022年に力を入れた歌ってみた活動は減るが、ここで得た経験は大きい。
可不ちゃんに多声スキャットさせるとか…こういう発想は自分が歌ってみたをやったからこそだと思う。
それはもちろんMIX技術もね。MIXはここ一年でかなり成長した気がしている。来年は依頼を始めようかと思っている。

思えば、作曲におけるMIXやDAWの操作を覚えるためにとりあえずで始めた歌ってみた活動だった。
得たもの全部使って自分なりの音楽を来年もやっていきたい。次は動画編集のクオリティかな。
これを自分で技能を得ていくのかはたまた外注を増やしていくのかはどちらでもいいが、1年後には劇的にクオリティが上がっているといいな。
とにかく楽しんでいこ~!

なんだかんだ曲の解説から始まり、一年を総括してしまった。
長文すぎる。最後まで読んでくれた人ありがとう。


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