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『職業遍歴』#32-2 酷すぎる「派遣切り」

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返る「職業遍歴」シリーズ第32弾。今回は、大手企業でWeb編集者として働きはじめたものの、たった8ヶ月でひどい切られ方をしたというお話です。

32.大手企業のWeb編集

大手電気通信会社の社内報の編集の仕事をはじめたものの、8ヶ月で切られたという話をこちらに書きました。↓

切られた本当の理由は、今となってもよくわからないです。派遣の場合、契約終了の連絡をしてくるのは派遣先ではなく派遣会社です。良心的な派遣先の場合は、直接説明をしてくれることもあります。が、今回の派遣先は、直接話をしてくれることはありませんでした。

リーダーからは、退職にあたっての引き継ぎなど、事務的な連絡がSlackで来ました。リーダーは、私を辞めさせておきながら、契約期間中は目一杯働かせようとしていました。私が有休消化で3/14までと派遣会社を通して伝えると、それまでに終わる新規案件を入れようとしてきたのです。

私は、今後就職活動で面談などが入った場合に急に休むこともあるかもしれないので、と言って、新規案件を断りました。辞めさせられる会社の仕事なんて、やりたくありません。私はもう、その時点で決まっている仕事しかやる気はありませんでした。

その後のリーダーのSlackも、退職にあたっての返却物についてとか、事務的な連絡ばかりでした。最後まで「お疲れ様でした」の一言もありませんでした。

最終出勤日の前日の定例で、私が明日までで辞めることがほかのメンバーにも周知されました。私は、誰かからSlackのDMで「お疲れ様でした」というメッセージが来ることを期待していました。今まで辞めた会社でも、最終日には必ず誰かが労いのメッセージをくれたからです。ところがこの会社は、誰からもDMがありませんでした。いくらリモートといっても、関わった編集メンバーも何人かいるにもかかわらず、です。

この会社は、リーダー以外のチームメンバーは全員派遣社員でした。おそらく、私が自分の意思で辞めるのではなく会社によって「切られた」ことは、ほかのメンバーも薄々気づいていたのでしょう。「切られた」人に声をかけることで、自分に火の粉が降りかかってくることを避けたのだと思います。逆の立場に立って考えればわかります。私がもし契約を更新されて今後も働き続けようと思っている職場で、ほかの派遣社員が辞めさせられたことを知っても、その人に声をかけようとはしないでしょう。うっかり声をかけて、ネガティブな情報が入ってきたりするのは避けたいと思うでしょう。派遣社員は皆、自分のことで一杯一杯なのです。ほかのメンバーを気遣う余裕はありません。

最終日には派遣先に出勤して貸与物を返却する必要がありました。が、驚くことに、この派遣先は「別件対応」が入ったとかで返却物を受け取ることさえ派遣会社任せにしました。その「別件対応」が何かというと、リーダーが子供の保育園に行かなくてはならなくなったそうです。リーダーは最後まで私と顔を合わせることもなく、なぜ切ったのかの説明もしてくれず、最後に労いの言葉一つかけてくれるわけでもなく、ものみたいに簡単に私を切り、退職処理まで派遣会社任せにしました。

私は最終日に、貸与物一式を持って派遣会社に行きました。派遣会社の営業担当に貸与物を返却し、誓約書にサインすると、私のこの会社での仕事は終わりました。

「お疲れ様でした」。派遣会社の営業担当が、最後にそう言ってくれました。8ヶ月の間働いたのにもかかわらず、派遣先の人は誰一人、私にこの言葉をかけてくれませんでした。私はうまく仕事を回していたのになぜ切られなければならなかったのか。誰にも何も言えず、誰からも声をかけてもらえず、地道に真面目に仕事をしていた私はじつにあっさりと切られ、最後の退職処理まで派遣会社任せにされて、まるでボロ雑巾のように捨てられました。

この会社は、日本の通信業界最大手の巨大企業です。そこで働く社員は皆、リモートワークや分断勤務など、自由に働いています。しかし、末端の派遣社員に対するあまりにひどすぎるこの仕打ちを、私は忘れません。この会社の携帯を使うことは、未来永劫ありません。

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