#洋書
優雅な読書が最高の復讐である/Either/Or
読んでから少し時間が経ってしまったけれど、The idiotに続いて読んだエリフ・バトゥマンのEither/Orについて書いておこう。
The Idiotと同じく作者のアルター・エゴ、セリーンのハーバード大学2年目の物語だ。
「その人たちはHotmailというものの存在を知らないの?」という台詞やフージーズのKilling me softly with his songのシングルカセット(そう
優雅な読書が最高の復讐である/The Idiot
エリフ・バトゥマンの「イディオット」は、ミランダ・ジュライが激賞していて、グレタ・ガーウィグもお気に入りの一冊に選んでいたので、気になっていた本。
ピューリッツァー賞の候補にもなったし、そのうちに翻訳されるだろうと思ってリストには入れていなかったが、インスタのコメントでお勧めしてくれる人がいたので読んでみた。
舞台は1996年のハーヴァード大学。主人公のセリーンは(作者と同じく)トルコからの移
優雅な読書が最高の復讐である/レイチェル・カスク
11月。
朝、レイチェル・カスクのJusticeという短編を読んだ。
この作品におけるJusticeという言葉を訳するのは難しい。正義や道理、というのとも、報いというのとも違い、その全部の意味であるかのようでもある。
レイチェル・カスクの小説の特徴である、長い独白が占める割合の大きな小説だ。話している人間はカスク本人らしき作家にインタビューをしに来た女性の記者。カスクは何年か前にもこ
優雅な読書が最高の復讐である/Marie Calloway
10月。
レナ・ダナムのツィートで、BuzzFeed Newsにマリー・キャロウェイについての長い記事が出たのを知った。
今から十年ほど前、マリー・キャロウェイはインディ文芸とインターネットの蜜月期が生んだトリック・スターだった。
タオ・リンが主宰していたMuuu Muuu Houseのウェブに彼女の「エイドリアン・ブロディ」が発表された時のスキャンダルを覚えている。
それはマリー・キャロウェイ
優雅な読書が最高の復讐である/Lonely City
(2016年にFbに書いたテキストを転載)
ただ一人でいるだけでは、人は孤独を感じない。
孤独は他者との関係性の中で生じる。拒絶された時。無視される時。誤解された時。肉体的な触れ合いが持てない時。当然の権利を迫害された時。仲間として認められなかった時。居場所を見つけられない時。そこから生まれる苦痛、疎外感、被害妄想、渇望、悲しみが孤独となる。孤独は他者が多く介在する場所、都会において生まれる
優雅な読書が最高の復讐である/Paris Reviewのポッドキャスト
1月。
ナイキで買った新しいランニング・シューズでラン初め。
走りながらParis Reviewのポッドキャストを聞いた。アレクサンドラ・クリーマンという作家が朗読する「Fairy tale」という短編が面白かった。
ふと気がつくと主人公は両親と見知らぬ男と一緒に食卓についている。男は彼女の婚約者だという。それから彼女の恋人や元恋人を名乗る男が次から次へと現れる。この中から誰か一人、