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五藤利弘「美しすぎる議員」

2019年3月シネマノヴェチェントで、五藤利弘「美しすぎる議員」 助監督は森山茂雄。主題歌は秀吉「デクノボー」

人気タレントから地方都市の市議会議員に転向したヒロイン(川村ゆきえ)と、彼女を密着取材しNONFIXのような番組作りを試みるTVディレクター(青柳尊哉)を描いたフェイク・ドキュメンタリーの傑作。

TVディレクターの青柳が「美しすぎる議員」をちゃっかり宣伝文句にして政治活動する「田中愛」の密着取材をする。「愛の広場」に来る相談者は社会不適合者ばかりで、真面目な彼女は彼らと真剣に向かい合う中で、傷つき、疲弊していくが、タレントならではしぶとさもある。

取り扱う問題は、DVやLGBTなど重いテーマばかりだが、時として彼女の行動は正義感任せで問題解決にあたるまでの責任感は無く、当初は青柳の反感を買う。「売名行為」「同性からの嫉妬」などをインタビューに織り交ぜ、彼女をイライラさせるが。踏みとどまる力が強い。

物語の核をなすヒロイン自身が片親に育てられ寂しく育った思い出。家で学校帰りの少女と炊事する彼女を目撃し青柳は「本当は子持ち?」と疑うが、実態は相談者の中に夫のDVから逃れるため田舎に逃げてきた母娘がいたのである。母娘はDV夫に発見され自身の無力さを嘆く。

この作品の見どころは、市議会の議長を務める内藤忠司、ではもちろん無くw青柳が密着取材を通してどんどん田中愛(川村ゆきえ)の魅力にのめり込んでいくところである。それも外見的な美しさや知性でなく、内面的な純朴さや心の弱さ、人間的な魅力に惹かれていくのである。

青柳は取材を始めた当初、美人すぎる議員なんて、どうせタレントとしての知名度と美貌を武器に、美味しい思いをしてるんでしょwとたかをくくっていたが、素面の彼女の魅力に参ってしまう。ラストで農作業中の彼女を「一番美しく撮りたいんです」とカメラに収める純愛ぶり!

造形で最高なのは大田市議親子。父親は市議の有力者で娘は地盤を継いで国政に打って出る。ところが父親は美しすぎる議員を密かに呼び出し「分かってるね」とセクハラ。ブスな娘は美しすぎる議員の応援演説の人気に嫉妬し暴言を吐く。実際にはあり得ないような凶悪キャラ。

フェイクドキュメンタリーとして制作されたこの作品の意図は、マスコミ批判、政治家批判、社会的弱者(同性愛者やDV被害者)擁護のいずれにも立たず、取材対象とされる側も、それを取材する側も、番組にしてしまう時点で様々な問題点を抱えているという限界を示すものだ。

森山茂雄が助監督を担当しているのが本作を観たきっかけである。また、川村ゆきえのナイスボディについては(^^;ずっとスーツの下に隠されているが、後半も後半「愛の広場」受付で前かがみで相手の話を聞くときの胸の谷間の強調、これが青柳にどんな心境の変化を与えたのかw

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