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武田一成「先生のつうしんぼ」

2022年4月ラピュタ阿佐ヶ谷で、武田一成「先生のつうしんぼ」 原作は宮川ひろ。  脚本は加藤盟と吉原幸夫の共同。

かつて養蚕の盛んだった八王子を舞台に、爽やかでドジな角刈りのイケメン先生(渡辺篤史)が、生徒の一人が持参したカイコの飼育から始まった課外授業は、反目していた生徒たちの心を結び付けた。及第の通信簿を貰った渡辺先生の目に涙が溢れる、感動の傑作。

途中から感動の涙でワンワン泣けて仕方がない、児童映画の枠を超えた少年少女の瑞々しい思春期を描いた傑作と断言できるのだが、それは原作にあった部分なのだろうか?主人公の少年少女、わんぱくでガキ大将の吾郎君と内向的で影のある転校生玲子ちゃんの胸キュンデート。

ザリガニ釣りが趣味でニンジンが食べられない25歳新任の渡辺篤史先生のことが、わんぱくガキ大将の吾郎君はじめ全員大好きで、渡辺先生がお見合いすんだってよ!に隣のクラスの24歳白井節子先生が強烈に嫉妬する場面までは、先生が主役の児童映画かよwと思っちゃった。

本作にはちょっと児童映画っぽくない所があって、クラスで集合してこんな映画見せられたら、小学生当時の自分だったら恐らくモジモジドキドキして仕方なかっただろうなあと思わせる。子役が素晴らしい演技を見せる吾郎(木村政彦)と玲子(菊地優子)の淡い初恋のようなもの。

まず、吾郎君のキャラだけど、父親が玉川良一(笑←笑うとこじゃないだろw)吾郎は腕っぷしは強いけど勉強は苦手らしく通信簿は0ばかり(←通信簿に0ってあんのかよw)でも、怒っている父親の玉川に酒を勧めたり肩を揉んだり、気配りを怠らず雷が落ちるのを回避したw

一方、玲子は転校生で友達と上手く馴染めないコミュ障っぽい所があるかと思えば、周囲の子供たちより一歩先に大人になっているような成長の早さも感じる。彼女の母親が宮下順子で(笑←ここはもう笑うしかねえw)玲子ちゃんの魅力に、吾郎君は虜になってしまうのだ(笑)

玲子ちゃんはいつも頬っぺたが赤らんでいるようなエッチな雰囲気の子で(←こらこらw)吾郎はドッジボールで玲子にボールが当たらないように壁になってあげたり、あまりにパフォーマンスが目に余って、クラスの女子たちに「玲子ばかり贔屓して」反感を買ってしまう程w

カイコの飼育が取り持つ縁というかw八王子は元々、養蚕業が盛んな所で、クラスのある子がカイコを持って来たことでみんなで飼育し始めるんだけど、玲子ちゃんはある日、吾郎君を「絹の道に行きましょ」と誘う。この展開、児童映画というよりも大林宣彦を観てる感じだw

玲子は凄く養蚕のことに詳しい。八王子には「絹の道」があって、そこには桑の葉があってカイコの餌になる。ホントはクラスのみんなと行くはずなのに、吾郎は誰も誘わない。玲子には友達がいないので、チャリで二人だけの秘密の「絹の道旅行」の旅に出た、なんてロマンチックな展開。

この作品、1976年なので私も小学生の高学年の頃。吾郎と玲子がチャリで走る八王子の山中の道は未舗装の砂利道。昔はこんなとこばっかりだったよなあ。私も田舎出身ですから、舗装されて無い道の方が多かった。砂利さえ敷き詰められて無い道の方が多かったような気がする。

玲子ちゃんが吾郎君のことをずっと「吾郎ちゃん」と呼ぶのがツボに入ってwこれ絶対にお母さんの宮下順子の受け売りだろ(笑)宮下順子が持つような妖艶さを「吾郎ちゃん」の一言で表現する演出、ステキ!小学3年生にしては妙に大人びた玲子ちゃんが吾郎君には眩しい!

玲子ちゃんの囁き「吾郎ちゃん、これ二人だけの秘密よ♡」これまで私を守ってくれたお礼をしてあげる、絹の道を案内される吾郎君のテンション上がってドキドキ感がこっちにまで伝わって来る(*'▽')玲子ちゃんはキレイな百合の花を見つけてこれを摘み、ますますテンション上がる吾郎君wウェディングドレス着た玲子たんをエスコート妄想する付け髭タキシードの吾郎君は妄想癖危なすぎw

吾郎君は小川の向こうの崖に咲いている百合の花を見つけ、玲子ちゃんのために手折ろうと頑張って手を伸ばし川に落ちちゃったwでも、ずぶ濡れになった吾郎君の姿を見て「ありがと、吾郎ちゃん」初めてキャッキャとはじけるような笑顔を見せてくれた吾郎君、もうロマンチックが止まらないモード!

玲子ちゃんが桑の葉を見つけ「これがカイコの餌になるの」二人して桑の葉をもぎり、クラスの誰も知らない秘密を共有して夢見心地の吾郎君だったが、翌日とんでもないことが起きる!大切に飼っていたカイコが死んでしまったのだ!クラスは騒然となり、女子が色めき立つ。

恐らく吾郎君に片想いしていて、玲子ちゃんばかり贔屓する吾郎君に文句ばかり付けて来た、クラス内カースト最上級の女子が「あんたがこの桑の葉食べさせたんでしょ」玲子ちゃんを詰問。じっと黙っている卑怯なw吾郎君。ついに玲子ちゃんはワーンと泣き出してしまった。

でもこの女子、玲子憎しと吾郎スキが交錯して、「泣いたって済むもんじゃないわよ!」小学3年生とは思えない発言に、ついに吾郎君も遅きに失したとは思うがw「俺も桑の葉を食べさせたんだ」ここで「玲子と吾郎はなんで二人きりでデートしたのよ」別の話でクラス騒然w

渡辺篤史学級の隣、密かに渡辺先生を想う白川節子先生学級でもカイコを飼っていて、吾郎君が良い悪ガキとすれば悪い悪ガキが農薬のついた桑の葉を食べさせてカイコを殺してしまい、こっそり渡辺学級のと入れ替えたという、子供では思いつかないようなトリック犯罪発覚!

カイコの幼虫が脱皮する神聖な儀式が行われるのは深夜。渡辺先生は校長から命の次に大事なw8ミリフィルムカメラ(エルモ社製)を借りて撮影してクラスのみんなに見せた。隣のクラスの悪ガキが呼ばれ、渡辺クラスの代表者として吾郎君が呼ばれ、握手をすることにより、この抗争は手打ちとなったw

渡辺先生のお見合いは、前日に急に体調を崩してお流れになり、隣の白川節子先生(←この役名、絶対に白川和子+小川節子の合体ネームだろw)もホッとした。そして聖なる儀式。渡辺先生が徹夜で書き終えた通信簿を生徒一人一人に手渡すと「先生!」の声がかかった。

吾郎君は日頃からずっと渡辺先生の通信簿を付けて来た。ニンジンが食べられない問題は学級討論会で取り上げられ、最初は評価の低かった渡辺先生の通信簿。でもカイコの一件で評価は爆上がり。渡辺先生は吾郎の書いた通信簿を聴きながら「吾郎の奴、こんなに良く俺のこと見てたんだ」感激に堪らず涙した。

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