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阪元裕吾「黄龍の村」

2022年4月目黒シネマで、阪元裕吾「黄龍の村」

チャラい男女8人がキャッキャはしゃぎながらワンボックスカーでキャンプ。頭に包丁刺さった案山子の立つ呪われた人肉喰村へようこそ!ホラー映画テイスト満載からまさかの展開の連続に唖然。アクション映画として良く出来てる、低予算を逆手に取った、人を喰った様なw快作にして良作。

これ、村の決まりやから(←お前、関西人やろw)っておい!あんまりネタバレ云々すると、SNSの発達した情報社会で「最強殺し屋伝説国岡」「ベイビーわるきゅーれ」「ある用務員」みたいに「これ面白そうだ、観てみたいな」の輪が広がらないのでは?と要らぬ心配。

ネタバレ厳禁度は私がこれまで観た映画の中でも最高ランクにあることは保証しますが、あっと驚く仕掛けがあるというよりは、話がどんどんスライスしていって撒いた種が刈り取られないだけとも言える。傑作をモノにした阪元監督の手腕からすれば、66分と尺も短めでチャーミングな小品。

ネタバレ厳禁っていう売り文句自体が既にネタのような気がして(笑)じゃあその喧嘩、買ってやろうじゃないの!と思ったりもしますが、あらすじが分かっちゃうとさっぱり面白くないのは確かなので(つまり二度見にはあまり適さない)ここにこっそり浜村淳的に楽しくテキトーに振り返るw

まず注目すべきは登場人物です。イケメンの水石亜飛夢と松本卓也、クラスカースト高い女子の鈴木麻由と秋乃ゆには、この作品がホラーテイストで始まった瞬間から「こいつら、氏ねばいいのに」殺意しか湧かないと思う。一方、正義の味方ともいうべき村人は、でも全然正義ではないw

実はこの村が人肉を食べてると分かった時点で、チャラ男やヤリマンは村人に食い殺されて別に構わんけど、それで映画が終わっちゃうの?とヘンな心配したりして(笑)でもそんな心配はご無用です。ワンボックスカーの最後列にだるそうに座っている男たち三人組、彼らが真の主役。

大坂健太、伊能昌幸、ウメモトジンギ、彼らのやる気無さそうなあくびや居眠りにただならぬ妖気を感じてこそホラー映画ってもん(←違いますw)更に、いざ親切な村人の陸野銀次郎が案内してくれた家に上がってみれば、石塚汐花、上のしおり、藤井愛稀の若い女性三人が三つ指ついてお出迎え。彼女たちは村人に捕らえられた奴隷なのか?別の意味でワクワクするけど、これ成人映画じゃないですから(笑)

エロ的に見どころはあることにはあって(←こらこらw)冒頭、リア充たちのバカ騒ぎを写すスマホカメラにチャラ男がバーべキューでウィンナーの付け根に椎茸を置いてふざけたら、秋乃ゆにちゃんが夜を待ちきれなくてウィンナーを口に含んでフェラ真似wwwさすが吉本の人、観客の期待を外さないよなあ(*'▽')と感心していたら、物語はズンズン進み、村に入ったら気が付けばスクリーン画面はフツーサイズに戻っていた。

陸野おじさん凄く親切で「泊まってけよ」でも気になるのは、愛稀が肉の煮え立ったスープを入れた土鍋を素手で持って「アチチ!」「村では土鍋は素手で持つことに決まってんのじゃ」村長の海道力也が満を持して登場!「村の決まりやから」を連発。当然、伊能たちは反発(笑)

ここで既に戦いの予感をさせつつ、肉を奉納して「あれ?これって誰の肉?」イケメン松本が殺害された肉で、ここまでは予告編に出て来るからセーフ(笑)こっからがネタバレです(←こらこらw)リア充の水石、麻由、ゆにの三人は「私も人肉として食べられてしまう!」

リア充3人組は逃げまどうがあっさり殺されてしまいwwwこの時点で例のワンボックス最後列組3人と、村人の屋敷で三つ指ついた3人組のうちスパイで潜入していた2人。つまりリア充と一線画した男三人、女二人が物語の主役に躍り出て「ガンバレー!」応援したくなる。

実は伊能のお婆さんがこの村の人肉食の犠牲になったらしいがそんなことどうでもよくて(笑)5人の男女が人肉食いの悪しき風習を残している村人たちを打倒して殲滅せんとするサバゲーに早変わり。この発想、天才的と思うと同時に、アクションシーンは画も音も劇場で観るから面白いのであって、こんなの家のテレビやパソコンで観ても全然面白くないやろ、これ、村の決まりやからw

だからこの映画は劇場で観ましょうね、みなさん(笑)さて(←さて、じゃねーよ)ネタバレは大概にしたいので、最低限の書きたいことだけ書くと、大坂君だけ虚弱体質で、銃で武装してバランスとってる。伊能君はまるっきり国岡君キャラで喧嘩メチャ強いのに同時に愛すべきヘタレキャラ。そんな中でウメモト君だけが「俺、ホントにワルっすよ」感を出してる。

中村龍介が村人軍の中でひときわ目立つ、イケメンかつヤバイ奴で、伊能&ウメモトとの河原での決闘は本作のハイライト。なのに大坂君が拳銃であっさり始末「武器で簡単に殺せるのに何で手を使ってんですか」この考え方、イクナイwww

本作でサイコーに見ごたえあるのは、海道村長が3人の前に立ちはだかり「武器を捨てろ!」かがんで降参のフリして伊能がコロコロと手りゅう弾を転がし「くだらない決まりに縛られたこんなムラ、ぶっ壊してやる!」「老害ども、氏ねや!」海道村長もろとも、村が吹っ飛ぶシーンが白眉!

でもラスボスは更にいて、人喰いで栄養取って生きて来たおびんたわら(一ノ瀬ワタル)の登場に悶絶www彼は肉を食えないので草食って生き延びて来た見るからに狂人。この最終バトルも、常に2人vs1人の状況を作っている、格闘シーンは滅茶苦茶カッコいいけどよくよく考えれば卑怯なw伊能&ウメモトの大勝利。

ここに香港映画っぽく「劇終」と出てエンドロールが回りながら再びスマホカメラで勝利の祝杯上げる男子3人女子2人は、まんまリア充じゃねえか!お前らよおwwwウメモトの「これからどうすんの?」に伊能が「便利屋、やる(←国岡のことかな?)」その背後からおびんたわら君(一ノ瀬ワタル)が「俺、助手でーす」人を喰ったように登場するラスト、反則www

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