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【上級者編】ホテル運営の自動化に挑戦した話

先日so, KANAZAWAという宿泊施設を開業しました。

全8室の小さな宿ですが、完全無人かつ予約からチェックアウトまで自動化&非対面を実現しており、たまたまですがコロナ時代のホテル運営の見本となるような形となりました。

コロナ時代のホテル運営は、①コスト(特に人件費)がかからず②感染のリスクが少ないことが必要です。

特に大きなシステムの開発など必要なく、既存のサービスの組み合わせで実現可能です。

コロナの影響で、これからのホテル運営は自動化&非対面が主流になるかもしれません。

苦難のホテル業界にとって今後のホテル運営のヒントになればと思い、ここにその実現方法を書き記します。

予約はオンラインのみ

so, KANAZAWAの予約は、すべてオンラインのみで受け付けています。

ホテルの予約チャネルは、おおむねこの3つ(①電話 ②リアルエージェント ③オンライン宿泊予約サイト)ですが、①と②を捨てることで、予約管理の手間を省きかつ人為的なミスをなくします。

後述しますが、ホテルシステム(PMS)を導入しているので、すべての予約・変更とキャンセルを自動で処理しています。

予約チャネルは以下のオンライン宿泊予約サイトと公式サイトです。
-Booking.com
-Airbnb
-Expedia
-Agoda
-楽天バケーションステイ
-自社公式サイト

②チェックイン2日前に事前決済

チェックイン時に現金やクレジットカードでの支払いプロセスがあると、レセプションの人件費がかかります。今はコロナウィルスのため、現金のやりとりは感染症リスクも伴います。

またホテル側としても現金のやりとりがあると、「レジ締め」という結構めんどくさい作業が発生します。

さらにレジ金が合わないと悲惨です。記憶をさかのぼり、他のスタッフにあらぬ疑いをかけ、挙げ句の果てには監視カメラで確認したり。

so, KANAZAWAはチェックイン2日前に、予約時に登録して頂いたクレジットカードから自動で宿泊料金を引き落とします。決済完了後、ゲストに自動でレシートメールが送られます。

Stripeという決済代行システムを使い、全て自動で行うので、決済忘れもないし宿泊料金を間違えることもありません。(そもそもExpediaやAirbnb、Agodaはホテル予約サイト側がゲストから料金を徴収した後、ホテル側に支払うので何も心配ありませんが。)

Stripe公式サイト
https://stripe.com/jp

蛇足ですが、Stripeにはオーソリ機能が付いているので、登録したクレジットカード情報に誤りがある場合は、自動でキャンセルしたり、アラートを出すことも可能です。

③チェックイン前にオンライン台帳

ホテルチェックイン時に紙の宿泊台帳に名前や住所書くの、面倒極まりないですよね。しかも職業まで。

あれ、旅館業法で義務付けられてるんです。
なのでホテル側も無駄と思ってても、やらざるをえない。

so, KANAZAWAは、チェックイン2日前に自動送信メールで、ゲストのメールアドレスにオンライン台帳のリンクが入っているメールを送っています。(こんな感じで↓↓)

チェックインする時間までに以下URLから、エントランスとお部屋のパスワードを発行してください。
https://hotelsystem.in/register/?uid=8&bookingid=[BOOKID]&t=p_k

ゲストはホテル到着前までにオンラインで記帳。自宅や電車の中でじぶんのタイミングで記帳できるので、ずいぶんと気楽じゃないですか。

オンライン記帳は紙の台帳と同様、氏名や住所、電話番号を記入する欄があります。加えて外国人の場合は、パスポートの写真をスマホで撮りアップロードできる仕様です。

利用しているシステムは、Hotelsystem.inというシステムTwitterで知り合ったKOHEI(@koheiimazu)さんが作っています。料金も良心的なのでオススメです。
https://hotelsystem.in/

スクリーンショット 2020-04-16 20.17.36

④客室の鍵のパスワードを自動送信

客室の鍵の受け渡しがあると様々なトラブルが発生します。

よくあるのが、ゲストが鍵をなくしてしまうことですね。くどいですが、鍵があることでコロナの感染リスクも高まります。

またホテル側も大量の鍵を保管・管理するの、地味に面倒なんですよね。

so, KANAZAWAは「リモートロック 」というWifi型のスマートキーを導入しています。

リモートロック公式サイト
https://remotelock.kke.co.jp/

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このリモートロックを、エントランスと全客室に設置しています。

リモートロックが優れているのは、ゲストの予約毎に自動でパスワードを発行してくれること(しかもパスワードはランダム)。

またエントランスと客室のパスワードが同じになるよう設定しているので、ゲストは1つのパスワードを管理するだけでOKです。

またわざわざ専用アプリをダウンロードする必要がないのも、素敵な仕様です。(スマートロックでゲストにアプリをダウンロードさせる仕組みはダメですよね。)

これを前述のオンライン台帳と組み合わせています。記帳を完了させるとパスワードが表示されますよ。

⑤勝手にチェックイン&アウト

あとはチェックイン日を迎えるだけです。

と言っても特段何もすることはありませんが。

ゲストは発行済みのパスワードで入室し、一晩過ごし、勝手にチェックアウトしていきます。(パスワード式の鍵なので鍵の返却もないし、料金は支払い済みなので清算も必要ありません。)

滞在中何かトラブルがあれば、エントランスに置いたiPadでGoogleハングアウト(Zoomみたいなビデオ会議システム)に繋ぎ、サテライトオフィスのスタッフと通話することができます。

サテライトオフィスからso, KANAZAWAは自転車で2分、走れば3分なので緊急事態でも対応可能です。

これで人を介するチェックイン/チェックアウトが完全になくなりました。

全体を統括しているホテルシステム(PMS)について

この自動化&非対面のホテル運営の中心にあるのは、Beds24というホテルシステムです。ホテル業界ではPMSと呼ばれています。

顧客管理や予約の管理、清算、レポートなどホテル運営に必要な仕組みが揃ったシステムのことです。

Beds24のサイト
https://co-reception.com/

このBeds24はAPIを公開しているので、決済システムのStripe、鍵のRemote Lock、オンライン台帳のHotelsystem.inを繋げています。便利ですね。

図解するとこんな感じです、下手ですみません。

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このBeds24の機能に、「Auto Actions」というものがあります。

「A」が起きれば「B」を行うという設定をする箇所です。

例えば、
-予約が入れば(A)、ありがとうメールを送る(B)とか
-チェックイン2日前になったら(A)、Stripeでカード決済する(B)などです。

上記で説明した予約からチェックインまでの工程に必要な項目を、このAuto Actionsで設定することで、自動化を実現しています。

(間違っていたら教えてください、長坂さん(@sohtanagasaka)。長坂さんはBeds24の代表です。)

おまけ:AmazonのEcho Spotでビデオ通話も

so, KANAZAWAはエントランスにiPadを設置してハングアウトで繋げていますが、他の店舗(金沢でいくつか宿を運営しているので)ではAmazonのEcho Spotを使ってる店舗もあります。

こんな感じで↓↓、宿のレセプションとオフィスにそれぞれEcho Spotを置いて常時ビデオ通話で繋げています。

スクリーンショット 2020-04-16 20.43.35

これで、非対面でも相手の顔を確認して音声通話をすることが可能です。

Echo Spotはメルカリで5,000円前後で売っているので、Amazonのアカウントさえあればすぐできます。

終わりに

繰り返しますが緊急事態なので、できるだけ①コストがかからず、②感染のリスクが少ない運営方法を模索しています。

何か他に良い情報あったら教えていただけたら嬉しいです。また、このnoteに書いたことで相談に乗って欲しいことがあればZoomで説明します。

気軽に連絡してください。

追記

このnoteを書いてから2年が経ちました。今ではさらに良い方法を思いついて実行しています。



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