素敵な民泊物件の収支を計算してみた。
先日、上海に行き民泊に泊まりました。
以下のツイートがバズったので、民泊について深掘りします。
このnoteを読むと民泊に泊まりたくなるし、民泊を経営したくなります。
前半は民泊に泊まった編、後半は民泊を経営する編です。
実際に泊まったことで、ユーザー目線の民泊の良さやメリットを紹介し、実際に民泊がどれくらい儲かるかを提示したいと思います。(@riseyoshioka)
前半:民泊に泊まった編
1. 立地が最高なのに割安(特に3人以上はお得)
2. 民泊は個性的でオシャレな物件が多い
3. 洗濯機とキッチン付き最高
4.宿主不在なので気兼ねない
5. ローカル体験が心に残る
1. 立地が最高なのに割安(特に3人以上はお得)
この民泊がある場所は、上海のオシャレエリア「四明邨」。東京で例えるなら、原宿や渋谷かな。
通りにはオシャレなショップやカフェが立ち並び、流行に敏感な若い子たちが集まるエリアです。
こんな最先端のエリアでホテルに泊まると、普通に高いですよね。
なので今回、Airbnbを利用してこのエリアの路地裏の民泊に泊まってみました。こちらです。
宿泊料金は合計で16,526円でした。
支払い内容は以下のようになっています。
民泊は場所によっては、清掃料金を別で取ります。これはホテルと異なる点ですね。サービス料とはAirbnbに支払う手数料です。(後述しますが、Airbnbはユーザーとホストの両方から手数料を徴収しています。)
この料金が高いか安いかは人それぞれだと思うんですが、自分は非常に安いと思いました。
民泊は基本的に一棟貸切タイプの宿です。なので、人数が増えれば増えるほどお得になります。
今回は2ベッドルーム(ダブルベッドの部屋とシングルベッドの部屋)のお家でした。
一人で泊まっても16,526円ですが、3人で泊まると一人当たり、たったの5,500円です。
今回の物件は定員マックス3名ですが、民泊によっては6名とか10名で泊まれる民泊もあるので、家族やグループで宿泊先を選ぶ際は民泊がおすすめです。
ちなみに日本では顕著なのですが、定員が3名以上になると極端に宿泊先の選択肢が少なくなります。
というのも日本の都市部の主な宿泊先であるシティホテルやビジネスホテルは、ダブルやツインもしくはシングルがほとんどで、3名部屋や4名部屋はありません。
なので4名で泊まるところを探すと、ツインやダブルを2部屋取る必要があり、結果割高になってしまいます。3名以上で宿泊先を探すときは、ぜひ民泊を選択肢に入れてみてください。
2. 民泊は個性的でオシャレな物件が多い
民泊物件は、現地の人が日常的に使っていた古いアパートや古民家をリノベーションしている場合が多いです。
今回泊まった民泊も、古い趣のあるアパートをすごくいい感じにリノベしてます。きっと経営者はアーティストなのかな?アート系の本がたくさん飾ってありました。
一般的なホテルのデザインって画一的だと思っていて、そんなありきたりな滞在に飽きたら、民泊の個性的なデザインは面白いと思いました。
ちなみに以下は、日本の原宿にある民泊物件です。
これはこれで、ぶっ飛んでますね。
最近は、京都や金沢にも古い町家を利用したオシャレな民泊物件も増えてきています。海外には、お城やツリーハウス、トレーラーハウスに泊まれる民泊もあるようです。
3. 洗濯機とキッチン付き
普通の家庭にあるようなキッチンがありました。もちろんお皿やグラス、カトラリーも用意してあります。(民泊によっては、調味料が置いてあるところもあります。)
スーパーで現地の食材を買ってきて、宿泊先のキッチンで調理して食べたら、安上がりだし楽しいですよ。
そのほかにも、洗濯機があるので、面倒な旅先の洗濯も簡単です。洗濯物をベランダに干せたのも良かったです。
今回は1泊だけでしたが、数日間泊まるとなると、キッチンや洗濯機は本当に有難いです。
Airbnbでは、長期で泊まるとお得に泊まれようなプロモーションを設定している場合もあります。長期の海外出張にも良いですね。
4.宿主不在なので気兼ねなく滞在
この民泊は完全に宿主不在の無人型民泊。一棟貸切かつ家主不在なので、自分の家のようにリラックスできました。
宿主不在なのにどうやって部屋に入ると思う方もいるかもしれませんが、めっちゃ簡単です。
宿泊日の前日に、ホストからメッセージでお部屋への入り方を教えてもらうだけです。
エントランス左手に黒いキーボックスがあり、教えてもらったパスワードで開けると、中にエントランスの鍵が入っています。(チェックアウト時も鍵をここに戻します。)
今回は友人2人と一緒に泊まったので、買ってきたお酒を飲みながら、夜遅くまで気兼ねなく話すことができました。
5. ローカル体験が心に残る
上海の原宿とはいえ、道を一本入ると、老人たちがチルっています。(中国人が道端に椅子出して、井戸端会議してるの好き)
行き交う地元の人たちと言葉を交わしたり、観光地では見られない景色を見ることができるのが、民泊の醍醐味。
Airbnbのコンセプトである「暮らすように旅する」とは、まさにこのことだと実感できます。
これ、長い間同じ街に住んでるとあまり気付かないんですが、地元の人にとって何気ない日常ですら旅行者にとっては非日常なんですよね。
後半:民泊を経営する編
ここからは実際に民泊経営について、考えてみたいと思います。
1. 民泊の収支
2. 民泊のマーケティング方法
3.民泊の運営方法
4. 民泊の始め方
5.さいごに:民泊の可能性
1. 民泊の収支
上記の民泊を参考に、売上とコスト、そして利益がどれくらい出るか予想しました。
まず、売上。
民泊の売上の方程式は、簡単。
客室単価 x 販売日数 x 稼働率です。
今回泊まったお部屋は3人で約16,000円でした。2人で泊まるとその分安くなるので、客室単価は14,000円とします。
毎日販売しているとして、販売日数は30日、人気エリアでレビューも高いので稼働率はざっくり8割とします。
14,000 x 30 x 0.8 = 336,000円
これが月間の売上です。
次はコスト。
民泊経営で大きなコストは2つ。
家賃と清掃料金です。(賃貸で民泊経営する場合)
このエリアで一棟の家賃を、仮に10万円としましょう。
清掃は一人が3時間かかるとして、仮に時給1,000円の場合1回あたり3,000円になります。
今回は8割の稼働なので、月24日清掃する日があります。
よって、合計72,000円です。
そのほかに、1家族が1ヵ月に費やす水道光熱費はざっくり50,000円とすると、稼働8割で40,000円です。
トイレットペーパーや掃除用品など日常的に使用する消耗品が、5,000円。(適当)
またAirbnbに支払う手数料があります。
3%です。
この手数料は成約手数料なので、掲載自体には一切お金は必要ありません。
(Airbnbはユーザーとホストに手数料を課していて、ユーザーには~20%、ホストは3%です)
売上336,000円に対して3%なので、11,520円です。
そのほかに、もろもろ雑費が10,000円だとします。(適当)
これらコストの合計を売上から引くと、手元に残る利益となります。336,000 - (100,000 + 72,000 + 40,000 + 5,000 +11,520 + 10,000) = 97,480円
どうでしょうか?
思ったより多いでしょうか?
ちなみに、稼働率を60%にした場合は以下のようになります。
252,000 -(100,000 + 54,000 + 30,000 + 5,000 +7,560 + 10,000)= 45,440円
稼働率を50%にした場合は以下のようになります。
210,000 -(100,000 + 45,000 + 25,000 + 5,000 + 6,300 + 10,000)= 18,700円
稼働率を40%にした場合は以下のようになります。
168,000 -(100,000 + 36,000 + 20000 + 5,000 + 5,040 + 10,000)= -8,040円
この前提条件のもと計算すると、損益分岐点の稼働率は40%ほどです。
なかなか赤字になりにくいと思いませんか?
これは、固定費がほぼ家賃だけだからです。(残りは変動費なので、売上が下がればコストも下がる)
もう少し詳しく宿泊施設の収支を知りたい人は、ここを見てください。
2. 民泊のマーケティング方法
基本的に民泊の販売は、ホテル予約サイトを通して行います。
民泊サイトの最大手はAirbnbです。
Airbnbのほかに、AgodaやExpedia、Booking.comでも民泊物件を扱っています。
国内では、楽天がLIFULLと組んでバケーションステイという名前で民泊物件を扱っています。
これらの民泊仲介サイトを利用せず、自施設のWebサイトとSNSで集客も可能ですが、めっちゃ大変なのでやめておいた方が良いです。
(フォロワーがめちゃ多い個人だったらできるかな。お家に呼ぶ感じで。)
で、民泊仲介サイトに掲載するためには、コミッションを支払う必要があります。
Airbnbの場合は売上の3%、そのほかのサイトの場合10-15%です。(前述したようにAirbnbはユーザーからも手数料を徴収しているので、ホストが支払う手数料は他サイトに比べて低い)
掲載当初は予約がなかなか入りませんが、来てくれたゲストに満足してもらいコツコツとレビューが溜まると、予約が入って来るようになります。
「前半:民泊に泊まる編」に書いたように、民泊に泊まるゲストがどんなニーズや課題を抱えているかを考え、どのようにアプローチできるか考えるのが肝ですね。(特に写真の撮り方やタイトルなどを意識する必要があります。)
3.民泊の運営方法
めっちゃ簡単です。
誰でもできます。
(無人運営の場合)
(語弊を恐れずに言えば)
プロセスはこうです。
宿泊希望者から予約が入ります。
宿泊日の数日前に入室方法をメッセージで教えてあげましょう。
こんな感じですね↓
民泊を使うのは外国人が多いので英語の知識はあった方がいいですが、Google翻訳でも全く問題ないと思います。
チェックイン前や滞在中に、ゲストから何か質問がメッセージで飛んでくる場合があります。適宜答えましょう。
また万が一、民泊物件内でトラブルがあった場合に備え、現場に急行できる体制は整えておいた方が良いです。
「お湯が出ない!」「鍵が開かない!」などのトラブルは、意外と多いです。
そしてチェックアウトが無事終われば、現場に行き清掃をして完了です。
4. 民泊の始め方
民泊の始め方を簡単に説明します。
とにかく物件を見つけましょう。
それもロケーションの良い物件を見つけましょう。
当たり前ですが、物件がないと民泊を始めることができません。
その街にどんな旅行者が来て、どんなロケーションの民泊であれば、旅行者の便益になるか考えましょう。
一度始めてしまうと、移転が難しいビジネスです。
物件の契約には慎重を期してください。
ロケーションの鉄板は駅近です。
それも5分以内です。
ただし、そんな物件が転がっていないのもまた事実。運良く見つけても家賃が高いです。どれくらいの売上が見込めるか、上記のようにシミュレーションしましょう。
また大家さんによっては、不特定多数の旅行者が出入りするのを嫌がる方もいます。近隣住民に反対されたことで、泣く泣く民泊経営を諦めざるおえなかった話もよく聞きます。
日本は法令関係も厳しいです。
きちんと役所(建築指導課、消防、保健所)を回り、設計士とともに、民泊経営が可能かどうか確認してから、不動産の契約をしましょう。
5.さいごに:民泊の可能性
長くなりましたが、最後に民泊の可能性について少し書かせてください。
日本は今後人口減社会を迎えます。
それに伴い、大量の空き家がますます問題になっていきます。
一方で海外からの外国人旅行者および移住者が増えていくのは間違いありません。
この2つのイシューを繋ぎ合わせる一つの打ち手として、民泊は最適だと思っています。
当然、ホテルやゲストハウスがすでに乱立して、運営側としてはこれ以上宿泊施設が増えて欲しくないという本音部分もあります。
ただ、現存する古民家や古いアパートを壊すことなく、より魅力的な民泊に生まれ変えることができれば、その街の観光資源としても有効活用されることとなります。
またホテルだけじゃない、新しい宿泊体験としての民泊が広まれば、より多くの旅行者が生まれ、旅行者のパイ自体が増える可能性だってあります。
今回自分自身が民泊の利用者になることで、その街をより好きになったし、より深い宿泊体験ができました。
民泊を通して、旅の素晴らしさが広まると嬉しいです。
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