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【展示替えされた物とは?】再訪クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展

Dior展2回めの突撃。

23年1月に訪れたクリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展。
あの空間が忘れられず再び体験したくて3月にもう一度行ってきた。

初見より落ち着いて見れるはず、という予測通り幾分冷静にじっくり見ることができた。
展示の感激、初動の興奮は先に書いた記事に及ばないので、前回触れずにいたけど面白かったことをいくつか。


Diorと日本のかかわりについての項目


Diorの日本進出初期は今で言うライセンス販売という状態だった。
本国で作られた洋服を輸入していたわけでなく、ライセンス契約をした会社が国産で縫製していたのだ。その縫製を担っていたのはカネボウ。

カネボウ。

はい。みなさん化粧品のイメージが強くあると思う。
「なんでカネボウ??」「化粧品だよねぇ?」という声がちらほら聞こえる。カネボウかKANEBOのイメージなんだろう。
現在40代ぐらいの方でもカネボウの漢字表記がわかる方は少ないかもしれない。
「鐘紡」なんですよ。紡績のボウの字が使われていますね。

鐘紡の由来

東京府南葛飾郡墨田村鐘ヶ淵(現・東京都墨田区墨田北部[2])で創業した紡績会社であるため。後に略称の鐘紡(カネボウ)が正式社名となる。

Wikipedia


元は紡績業の会社なんです。
だからDiorの服の生産に名乗りを上げたのも不自然ではないのですね。

和室でドレスの仮縫い


現在もミシン糸の生産は続けていて、ユザワヤなどに行けば白に金色文字の糸巻きに巻かれたカネボウのミシン糸を見ることができ…


と思ったら、ついにこちらからもカネボウの文字が消えていた。
洋裁、ファッション系出身者、アパレル生産業経験者なら一度は目にしているはずのカネボウ糸。。。しかしユザワヤさん旧カネボウの説明文字が切ない。

そもそも、カネボウ株式会社はいろんな問題を抱えた結果、すでに消滅しているのですよね。
化粧品ブランドとして名は残っているけども管轄は花王な訳で。

B'zがLADY NAVIGATIONを楽曲提供をしたのもカネボウ「ナビ」のファンデーションだったなぁ。'91夏のイメージソングだった。
1991年…。(筆者はB'zファンです)
そんな事も思ってしまう1コーナーでした。

展示替え?


歴代デザイナーのイヴ・サンローランのコーナーに、前回記憶の無かったドレスがあった気がした。あれ?でもこの展覧会って展示替えとかそういうのなさそうだなと思っていた。
ので前回の記憶違いだったかしら?とその場を後にしました。

その後、地下のお気に入り展示室、スターの部屋に飾られているウォーホルのモンローが!

2023年1月下旬


2023年3月中旬


色が変わっている。
展示替えが行われたのですね。これはモノクロの一枚が出品されていたので一目瞭然。
このウォーホルのマリリンは東京都現代美術館の所蔵品で合計9枚からなる作品です(マリリンの作品自体は10枚ある)。係員の方と目が合ったので「展示替えしたのですね?」と確認したところ、「このマリリンと、1階のサンローランの作品が1点変更になってます」
とのこと。

あぁ、そうかさっきのサンローランのコーナーも記憶違いではなく、やはり展示品が違ったのか。
再入場はできないので戻れなかったが、複数回行っても発見のある、1回目とはまた違った視点も楽しめる展覧会。

現代美術館の所蔵品検索結果とこのnote記載の↑写真で確認すると既出の6枚がどれなのかわかりますが、もう一度展示替えがあるのだろうか。
最後の3枚も出るのだろうか。
……。
会期の終盤にもう一度確かめに行きたい気もします。完全に沼だ。


ちなみに最後の3枚はリンクの検索結果から推測すると

フュージョンピンク背景×赤フェイス、
緑背景×黄色髪×赤シャドウ
ピンク背景×ブルーフェイス

もちろん既出のマリリンと未出のマリリンの組み合わせもあるかもしれない。いや、そもそも展示替えはもうないのかもしれない。

マリリンがモノクロ版に変わったことにより、スターの部屋の明度がやや落ち着きを増した気がします。こちらのほうが服に目が行きやすいのかな。

これ一つをマジマジと見る機会が無かったので楽しい



色合いの組み合わせとしては初期の展示の3組が好みですが、マリリンの存在感が大きかったのも確か。

今季コレクション展とのリンク


Lady Diorのコーナでは様々なアーティストがそのアーティストならではの素材でLady Diorを表現している。
ここで、作品を見る前にアーティストの名前で作品イメージがピンときてしまったものを2点。

名和晃平氏と宮永愛子氏である。
お、これはあの作風が炸裂するのでは??と期待を込めて見たらやはりそうだった。

名和晃平氏は水晶のようなセルの集合体をLady Diorで。
名和晃平氏といえばセルのバンビ。鹿の剥製を包み込んだ作品が有名ですね。東京ミッドタウン乃木坂にはバナナが包まれた作品も常設されている。

ビー玉の様なつぶつぶが付いてる。

これは見た瞬間にわかってちょっとうれしかった。ふふふ、となった。因みに夫に「名和さんの作品もあってね」と話したら「粒々のガラス玉みたいなアレか!」と即答したのでやっぱりそのイメージなんだろう。

現在、現代美術館のコレクション展では名和晃平氏の代表作、バンビが展示されています。セル版Lady Diorを見た後はぜひコレクション展のバンビも見て欲しいですね。


大きいのです!




宮永愛子氏はナフタリンを用いた彫刻作品を東京都庭園美術館で見たばかり。その際も旅行かばんがモチーフだったので、Lady Diorのナフタリン版は違和感なく見ることができた。


タンスにGo…


ナフタリン、、、、あれですねタンスにGON的な、、防虫剤的な素材ですけどもこれがまた作品になるとすりガラスのような不思議な質感なのです。これを彫刻の素材にする、というのもなんとも不思議。
でも高級ブランドと防虫剤素材といってしまうとなんかブラックジョークのような組み合わせです。
他の作品は結晶になってくものもあるらしいのですが…このLady Diorも結晶化するのでしょうか?

こちらは昨年の東京都庭園美術館での宮永さんの展示。




何度見ても楽しめるなぁと、鼻息荒く展示室から出てくる訳ですが、なんか感想を読むと美術よりの話ばかりでしたね。

本家デザインに関しては今回はラフ・シモンズのデザインはやはり抜きん出ているな、と実感しました。
自分が若い頃に深夜見てたファッション通信ではジョン・ガリアーノが全盛期だった気がするのでその頃のデザインは懐かしいものとして見てしまう。

さて…会期はいよいよ終盤の1ヶ月です。
やはり終わってしまうのは名残惜しい。
もう一度観れるか。見た方が良いか。
5月の連休明け後の土日は臨時夜間開館も予定されているらしい。
うーん、現美の夜間開館というのも魅力なんだなぁ。チャンスがあれば(かなり前向き)

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