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読み物をどこで入手するか

毎週、猪の様に美術館へ突撃しているが緩やかなターンに来たので今回は違う話を。

先日、「読書」の話になった。
読書、と言われるとあまりしない。
が、図録(展覧会カタログ)の話をしていた時、その前のめり具合から「それも読書では?」と言われて「あぁそうか」と思った。
読書というより文献を読むということだ。文を読むこと自体はポジティブに思ってる。

性格上、子供の頃から長い物語が読めなかった。
連続ドラマが追えない。映画館の2時間が辛い。
その代わり短編集はなんとか読めた。
一話完結のドラマなら見れるから刑事モノが好きだった。
映画でもオムニバス的なものなら見れたのでタランティーノのパルプ・フィクションとは好んで何度も見ていた。

きっちりした本(ハードカバーを指す)だと赤瀬川原平さんの著書を中心に読み物を読んでいると思っているが、趣味趣向に非常に偏りがある。
趣味趣向なんて偏ってなんぼ、か。
随筆とかとりとめのない日記的な話、個人の記録、インタビューを読むのが好きだ。
そういえば学生の頃、徒然草が好きだった。
冒頭文、
「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」
この気持ち、すごいわかる。800年前ぐらいの人と同じ気持ちになれる。
「硯にむかひて」が今は「PCに向かいて」だ。noteというシステムも徒然草の延長にあると思ってる。あぁ、これは書き手側の話だ。

話が逸れた。
ビジネス書も仕事で必要ならばと3年に1冊程度読む(一番最近読んだものが「アフター・デジタル」なのでお察しを。それもコロナ禍前だ)。あとはデジタルツールのハウツー本、デザイン関連書など辞書的な役割のものに必要な時に目を通す程度。

というわけで、本屋で読み物を買うことは少なく、美術館のミュージアムショップで読み物を購入することが多い。
美術関連の書籍も多く、開催している展覧会にあわせた本棚になっていたり「今これ読んだら面白そう」がぎゅっと詰まっているミュージアムショップの書籍コーナーが大好きだ。

図録を購入することが多いが、文庫本だったら財布の紐が緩んですぐ買ってしまう。そして帰りの電車で読み耽る。

さて余談

私自身は、読書が好きとは言えなかったが図書室、館という「場」は好きだった。システムが好きなのかもしれない。小学生から高校までずっと図書委員にこだわってやっていた。

しかし、読書が好きとは言えない自分が親になって立ちはだかった壁が
「読み聞かせ」である。
はっきり申し上げて苦手だった。同じ本を何度も繰り返し読まされる。
そもそも文章の繰り返しの多い絵本は本当に読み聞かせることが苦行だった。
眠い。一日PCで仕事して目はショボショボ、預け先2箇所にお迎えに行き、風呂にぶち込んで夕食作って食べてさぁ寝ろーー!頼むから寝ておくれー!という時に文字なんて読めない。なので私は諦めた。
どうやら次男の保育園でも長男の幼稚園でも一日の中で読み聞かせの時間があったみたいなのでもう先生に任せた。
そんなあまり読み聞かせのない家庭で育った二名の男児のその後は。

すごい、本を読む。
図鑑、物語、伝記漫画、写真集、随筆など様々な本を借りてくる。
文字数、ページ数が少ないものから多いものまで様々。1週間で1,2冊消化している。
図書の時間に誰にも指図されず好きな本を選んでどうぞ、という状態が最高なんだろう。そりゃ親が用意した本より「自分で選んで借りた」本の方が魅力的だ。それとも単に本に飢えていたのかもしれない。災い転じてなんとやら、である。

そんなに読書するならさぞかし「読解力」がつくだろう的なことを言われるが、我が家の場合は全く問題が別である。読む力と理解する力は別だ。語彙力も…以下略。でも本人が楽しいことをしているならもうそれで十分なのではないか?いろいろ関連付けて副産物を期待するのは悪い習慣である。

だから今、幼児をかかえ、日々忙しくすごいしているお母さんの中に「読み聞かせ」ができてないことに罪悪感を抱く人がいるなら、「大丈夫、読み聞かせの量と本が、読書好きになるかは関係ない」と言いたいものだ。
育児に於いて読書体験が美化・推奨されすぎている気もする。「我が子が自発的に本を読むようになる〜」「本を読むだけじゃ読解力が〜」とかいう広告を見ると、正直(チッ)と思うのだ。

たくさんある趣味の選択肢の中の一つに過ぎないからどうかそればっかりに拘らないで、推奨し過ぎないで、情報に踊らされないで欲しい。

そして本好きはメリットだけではない。実際、長男には弊害も起きた。その辺は動画もゲームも本も並列だ。過ぎたるは及ばざるが如し。


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