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分子整合栄養医学って何?~発展と歴史をみる~

誰かの役に立ちたい

これは2020年の記事を改めて
ノートに分かりやすくまとめているものです。
分子整合栄養医学を勉強されている方や
アトピーに困っている、
アレルギーがある方へ
参考になれば嬉しいです!

分子整合栄養医学って何?

分子整合栄養医学って何か?
どのように発展してきたのか?
歴史を語ることで、
通常の血液検査との違いや、
精神疾患との深い関係など
理解が深まると思っています。
そこで、血液検査の結果を書く前に、
私自身、どのように分子整合栄養医学と
出会ったのか?書きた位と思います。

私とオーソモレキュラーとの出会い

分子整合栄養医学(Orthomolecular Medicine)
との出会いは、
新宿溝口クリニックの溝口徹先生の
「最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門」と
物理学者の三石巌先生の
「分子栄養学のすすめ〜健康自主管理の基礎知識」だった。

オーソモレキュラーと一般栄養学の違い


特に三石先生の
「分子栄養学のすすめ〜健康自主管理の基礎知識」は
「健康自主管理の基礎知識シリーズ」として
シリーズ化されており、どれも面白い。
2019年のゴールデンウィーク中に集中的に読み、
学ぶことが多かった。
通常の栄養学は、食事をエネルギーとして捉え、
自動車におけるエネルギー源(ガソリン)と
エンジン(動力)のように
人間の身体を機械的にみる。
何カロリーのエネルギーがあるのか、
食事の成分(炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル等)
を調べることで、最終的に
「どれだけの食事の量をどれだけの比率でとったのか」
で判断していく。

一般的な栄養学・・・・
「どれだけの食事の量どんな栄養バランスの比率でとったのか」


一方で、分子整合栄養医学は、
「人間の身体の構成する物質
(コラーゲン、ホルモンを含めたタンパク質)等を
自分たちで作ることができるように、
材料(栄養素)を補給すること」に着目している。
人は、十人十色。それぞれ適した量が存在する。
「人間の身体を構成する物質がどのように作られているのか?」
という視点で血液検査をみる。

分子整合栄養医学(オーソレモレキュラー)
「人間の身体の構成する物質(コラーゲン、ホルモンを含めたタンパク質)等を自分たちで作ることができるように、材料(栄養素)を補給すること」

通常の血液検査は、
「基準から外れると病気と判定する」が、
分子整合栄養医学の血液検査の見方は、
「健康」=「人間の身体を構成する物質が正常に作られること」
を基準にしているところが面白い。

分子生物学も取り入れている分子整合栄養医学


更に、1950年代から劇的に発展した
分子生物学の成果を取り入れており、
私自身、分子生物学者として研究していた時代もあるので、
「このように分子生物学を使って栄養学を見ているのか!」
と感激した記憶がある。
分子整合栄養医学は、
精神科医のエイブラム・ホッファー(Abram Hoffer)
によって始まったと言われている。
ホッファーは、元々生化学の研究者。

ホッファーはLSDの研究をしていた!

マイケル・ポーランの
「幻覚剤は役に立つのか 」によると、
何と!!ホッファーは、
製薬会社のサンドが開発したLSD(幻覚剤)と
精神疾患との関係について調べていた。
そして、長きにわたってホッファーと
共同研究をしていた
ハンフリー・オズモンド(Humphrey Osmond)が
LSDを含めた幻覚を示す物質のことを
「幻覚剤」という名前をつけている。

なんとLSDには精神疾患に効果があった

面白いのは、アルコール依存症を含め、
様々な精神疾患に対し、
ある一定の効果があることを明らかにしている。
残念ながら、LSDは
1960年代に麻薬に指定され、
原則的に使用禁止になる。

統合失調症とビタミンの関係の研究

実は、ホッファーは、
統合失調症とビタミン(ナイアシン)
との関係についても、
1950年代から研究している。
(詳しくは「統合失調症を治す:栄養療法による驚異的回復」)

ナイアシン不足は、
ペラグラ(皮膚病の一種)を起こすことが、
以前から知られていた。
ビタミンは必須栄養素であり、
不足を補うためのものとして。
ホッファーがすごかったのは、
ビタミンは一人一人違った適量=至適量があり、
統合失調症を治療するには、
大量に投与する必要がある、といったこと。

このようにして、50年代からすでに、
至適量のナイアシン・ビタミンCを中心とした
栄養素の補充によって、
統合失調症に効果があったことを示していた。
米国の精神医学会では、
ビタミンは役立つはずはない、と
完全に無視されたが・・・。
強力なサポーターが登場する。

ライナス・ポーリングの登場

蛋白質のX線構造解析で、
ノーベル化学賞(1957年)を受賞し、
世界的に名声を得ていた
ライナス・ポーリング。

ホッファーの愛弟子の
アンドリュー・サウル(Andrew W. Saul)が
 編集した「Orthomolecular Treatment of Chronic Disease – 65 Experts on Therapeutic and Preventive Nutrition」(未邦訳)によると、
1941年、ポーリングは当時致死的な
腎臓疾患と言われたブライト病(Bright’s Disease、腎臓炎)
と診断されたそうだ。

そこで、ロックフェラー研究所の
医師からのアドバイスを聞き、
スタンフォード大学の腎臓内科医の
Thomas Addisに治療を依頼。
十分な水と、低塩分と低蛋白質の食事に
プラスして、ビタミンとミネラルの
サプリを処方され、
14年かけて完治することができた。

食事の大切さに気が付いたポーリング

ポーリングは、食事が
疾患の治療に対しての効果を初めて実感する。
それが影響したのか、1950年以降、
蛋白質の構造解析から研究に
方向性を変える時、
精神疾患は公衆衛生の最も大きな問題であり、
科学者の間で問題提起されていないことに気づく。
1945年に、ポーリングは、
鎌状赤血球貧血(Sickle-Cell Anemia)の原因は、
ヘモグロビンの変異にあることを突き止める。
研究の軸足を精神疾患に移し、
精神疾患も蛋白質=酵素の異常
によって引き起こされるのではないか、
と仮説を立てて研究を進めていく。


その後、ポーリングは、
1965年にホッファーの統合失調症の論文
「Niacin Therapy in Psychiatry(1962年報告)」
に出会い、衝撃を受ける。
そして、ポーリングはホッファーと一緒に
研究するようになる。

分子整合栄養医学(オーソモレキュラー)
の名前の由来

「適切な分子を適切な量を投与する
(Right molecules in the right amounts)」
考え方を言葉にするため、
ポーリングは、
対処療法的な薬治療と区別するため、
新しい医学を、
Ortho(=ギリシャ語で「正しい、Right」の意味)
-molecular(分子)Medicine(日本語訳:分子整合栄養医学)
と名前をつけ、考え方を広めていく。

1930年代までに様々なビタミンが発見され、
ミネラルと共に酵素を助ける補酵素として
働くことがわかってきた。
酵素の働きの異常は、
補酵素不足から引き起こされると考える研究者が
いるのは自然だと思うが、
ホッファーやポーリングの考えは、
当時革新的な考え方だった。

ポーリングは、
様々な分野で画期的な成果を上げており、
分子整合栄養医学についても、
様々な科学論文として残しているが、
どういうわけだが、
分子整合栄養医学については、
米国精神医学会(APA、American Psychiatric Association)
のみならず、主流の医学会は受け入ることなく、
現在に至っている。

分子整合栄養医学はトンデモなのか!?

私が、分子生物学を勉強していた頃、
ポーリングの業績の素晴らしさを学んだが、
一方で、分子整合栄養医学を唱えた以降、
ポーリングは科学者として
頭がおかしくなったのではないか?と
学んだことを覚えているが、
改めて「Orthomolecular Treatment of Chronic Disease
 – 65 Experts on Therapeutic and Preventive Nutrition」を読むと、
ポーリングは論理的に栄養学を語っており、
おかしなところが一切ない。

分子整合栄養医学の背景を知っておくと
1)個人個人の体質に合わせて適した量で治療していく
2)精神疾患との関係が深い
ことがわかる。

次回、これらの知識を念頭に、
ナチュラルアートクリニック四ツ谷での
血液検査の結果に書いていきます。

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