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ウォッカねえさん応援:ロシア語の詩

突然のタイトルでウォッカねえさん応援とかになってしまい、失礼します。

唐突感が半端ないですね。

ロシア語の詩の朗読などを公開してくださっているウォッカねえさんのツイートを見て、応援することにしたのですが、外国語のガジェットやマニアックなネタを扱っているうちらしい切り口での投稿をしてみました。

昨日の記事で書いたように、一見、外国語学習においてはそれほど役に立ちそうに見えない「詩」の朗読。実は割と重要なのではないか?と思っています。

それが正しいと主張するだけのデータなどは提示できないので、あくまで主観的な意見に留まるわけですが。

私のように素人と言いますか、初歩のロシア語学習者であっても、いや、ロシア語に限らず、例えばアン・シャーリーが詠唱する詩や、プーシキンの詩、日本語でもプロの声優の録音による古典の朗読などがもたらす心地よい響に身を任せている事がどれだけ幸せなことか、と思うときが一度や二度ではありません。

ロシア語の父 プーシキン

昨日の記事では「詩の力」として長々と書いた最後にプーシキンを読むを持ってきたわけですが、ロシア人にとってのプーシキンは日本語で言ったら...

と思って考えてみたのですが、『ロシア文化55のキーワード』に次のような表現を見つけてしまいました。

日本・日本語でそんな役割を果たした人物はいるのだでしょうか?

トゥルゲーネフの言葉を借りれば、プーシキンは「標準語と文学を創り出すという、他の国なら100年以上かかるであろうふたつの仕事をたったひとりで成し遂げた」
『ロシア文化55のキーワード』 162ページ(古賀義顕)より引用

ロシアビヨンドという割とロシア界隈では有名なサイトがありますが、プーシキン特集の記事で次のように言及しています。(強調は管理人)

プーシキン(1799〜1837)は間違いなく、現代ロシア語の確立者とされている。それまで代々の皇帝に捧げる頌詩を書くのに用いられていた古典的規範文体を放棄し、高踏的な文体と生きた会話語の境界を克服した。彼の作品は、現在もなおロシア人が書き、話している言葉で書かれている。

プーシキンが生きた1799年から1837年は日本では江戸時代。

彼が決闘で命を落とした1837年から30年後の1867年にようやく「大政奉還」があって明治維新の幕が切って落とされたとされています。

その時代に現代日本語を確立し、その時の日本語が今でも使われているか?今の私たちが当時の日本語を読んで読めないことはありませんが、「今でもその日本語を使っている」とは言えません。

それほどまでにプーシキンが作り上げたロシア語は美しく、また十分にロシア人の言語生活を満たし、現代においても普通に読み書きされるロシア語として使われている、というのは素晴らしいことです。

プーシキンの詩や作品を学ぶことが、現代ロシア語、現代ロシア文学の学習そのものであり、またロシア人との交流の文化的通奏低音とでも言うべき、共感の土台を築いてくれるに違いありません。

ウォッカねえさんによる詩の朗読

本投稿のタイトルが「ウォッカねえさん応援」となっていますが、うちで記事を書くのなら、ということで他の人とはたぶんちょっと違う切り口でウォッカねえさんのチャネルを紹介したいと思います。

ウォッカねえさん。

日本在住のロシア人OLで、現在はたぶんつくば市にお住まい。

ロシア人による日本語YouTubeチャネルは結構な数がありますし、すべてをフォローしているわけではないので、フォローするに至ったのはTwitterでたまたまフォロー・フォロワーだった、という偶然の結果でしかありません。

そんなウォッカねえさんがチャンネルを開設して、日本のロシア語YouTuberの中では珍しいロシア語の詩の朗読を始めた時、感動したものです。

『ルスラーンとリュドミーラ』

ウォッカねえさんが一番最初に選んだのはプーシキンの「ルスラーンとリュドミーラ」でした。プーシキンが1818年から1820年にかけて執筆した物語詩。今から200年も前の作品ですが、なんと日本語訳が出版されたのは1973年だそうですから、今からわずか48年前のこと。

日本語訳は、河出書房新社によって1973年(昭和48年)2月9日初版が出版された『プーシキン全集 1 抒情詩・物語詩 I 』に川端香男里訳の本編が収められている。(ウィキペディアから引用)

プーシキンや『ルスラーンとリュドミーラ』の名前は聞いたことがあっても、読んだことがある人はそれほど多くないかもしれません。

あるいは、グリンカのオペラで先に見たという方がいらっしゃるのかもしれません。

こちらには日本での初演について記載されていませんので、実際にいつから日本で演奏されているのかはちょっと分からないのは残念です。

YouTubeではいくつかのバージョンが公開されています。

なぜ書籍が『ルスラーンとリュドミーラ』で、オペラは『ルスランとリュドミラ』なのかは不明です。たぶん、最初に日本に持ち込んだ人の表記に従っているのでしょう。ロシア語のアクセントを考えると書籍の表記が正しいようです。

オペラの台本もプーシキンが執筆する予定が、決闘で受けた傷がもとで亡くなったとありますが、あらすじとしてはどちらも同じように思えます。

キエフ大公国のスヴェトザール大公の娘・リュドミラ姫と騎士・ルスランの婚礼の宴席の途中、魔術師・チェルノモールが現われ、リュドミラをさらっていく。大公は、ルスラン、およびその場にいた若者ら(やはり姫に恋している)に、娘を無事に取り戻した者に娘を与えると宣言する。そのため、ルスランを含む若者3人(元の物語では4人)が助けに行く。最終的に、3人のうちのルスランが、魔術や誘惑、他の若者の妨害などを切りぬけ、娘を連れて帰り、2人は無事に結ばれる。
オペラ『ルスランとリュドミラ』のウィキペディアの記載より抜粋。)

なぜ一番最初にプーシキンの『ルスラーンとリュドミーラ』?

ご本人に聞いた訳ではないので、推測での記述になりますが、『ルスラーンとリュドミーラ』はプーシキンの一番最初の作品であり、物語が持つスケール、そしてなによりロシア人が詩の朗読と言った時、たぶん一番最初に思い浮かぶのが『ルスラーンとリュドミーラ』なのだろうと思います。

「ロシア語、知らないので」という方。そんな日本人の方が圧倒的多数でしょうし、私もそうなのですが洋楽だって歌詞が分かって聞いているわけではなく歌もたくさんあって、曲のイメージやリズムを名がしておくためのものだったりします。

そんな風に考えれば、たまに珍しいBGMとしてお聞きいただくのも乙ではないかと思います。BGMとしてでも最高です。ウォッカねえさんご自身が「作業用BGM」とつけているぐらいです。


不思議な波を打つようなリズム。

独特の抑揚。

日本語にはない子音・母音の響き。

個人的にはロシア語よりは英語のほうが何倍も理解できますが、詩の朗読を聞いて美しいと感じるのは、なぜかロシア語だったりします。

あくまで個人的な意見ですが...

ウォッカねえさんが、また続いてロシア語の美しい詩の朗読を公開してくれるように、ロシア語の詩以外の動画もお楽しみいただけたら幸いです。

個人的には旅行動画やロシア料理の動画は気軽に楽しめるのでおすすめ。


ウォッカねえさんのチャネルはこちらです。

ウォッカねえさんの動画もどうぞよろしくお願いいたします。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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