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不穏な日常/るるるるんvol.4-付箋-

手に取ったのは1年ほど前だったと思う。
よく行く書店でこのZINE自体は何度も見かけていたのに、私には合わなそうと、誰が書いていてどんな内容かも知らないのに一方的に食わず嫌いを決め込んでいた。
ルルルン、っていうパックと名前が似ているな。
というか“る”が一つ多いだけだな。
るんるんしてるな。
るんるんな内容なのかな。知らんけど。
なんて思っていた。
今は使っていないが、パックのルルルンは私の肌質に合っていたようで、肌がもっちり潤い気に入っていた。

存在自体は知りながらも決して試し読みすることもなく過ごしてきたが、ある時、最新号のvol.4についてSNSでこんな文言を見かけた。

「世界初!付箋アンソロジー」

付箋アンソロジー??
なんですか、それは。

付箋の気持ちを代弁した付箋トークが収められているのか。
溢れんばかりの付箋愛が語られているのか。
気になりすぎる。
そういうわけで、あれだけ頑なに見過ごしてきたのに、付箋の誘惑に勝てず、ついに購入したのであった。

タイトルの「るるるるん」というのは、かとうひろみさん・3月クララさん・UNIさんの3人から成る文芸ユニットの名前である。
さぁ、お待ちかねの付箋アンソロジー!
と読み始めてみるも、思ってたのと何かが違う。
付箋アンソロジーとは…付箋…ふせん…。
結論を言うと、初めから終わりまで不穏の嵐だった。
付箋がこんなにも不穏さの象徴として用いられることがあるなんて思ってもみなかった。

ある種の執着や登場人物の自意識過剰な言動の中に自分を見たり、本音を押し殺しちぐはぐな関係を継続する姿にぞっとしたり。
あぁ、こんなことありそう…という纏わりつくねちっこい感じ。

どんどん体温が下がっていくのがわかる。
るるるるんという名前と中身のギャップ、ありすぎだろう。
けれど、人間の闇に触れられてぞくぞくする自分がいるのも否めない。
黒い感情と向き合うのは案外嫌じゃないんだよなぁ。

不穏な話が好きな私はすっかりるるるるんの虜になってしまい、バックナンバーのvol.2とvol.3も購入してあっという間に読み終えてしまった。
こちらも期待を裏切らず不穏づくしで最高。

唯一、創刊号だけ入手できていないので、それも読みたくて仕方がない。
もう販売されていないのかな。
まだ在庫があるといいのに。

それはそうと、メンバーの1人の3月クララさんの3月の読み方が未だにわからない。
無難に“さんがつ”なのか、それとも“みつき”なのか、どうなんだろう。