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上下関係の概念

海外の人達と仕事をすると、日本との違いに気付くことは多々ありますが、
一番衝撃を受けることのひとつに、英語の中に「上下関係の概念がない」
ということでしょうか。
英語の大きな特徴とも言えますが、そもそもの文化の違いが大き過ぎるということかもしれません。

日本の企業だと、自分を中心に考えると、

部門長や上司の更に上役
直属の上司
自分
部下
後輩

おおよそこのような上下関係があるのではないかと思いますし、
それは海外の会社でも外資系企業でもほぼ同じです。

仮に、直属の上司メールをしたとします。
メールの書き出しには、

〇〇課長
お疲れ様です。××です。
今朝の打ち合わせで・・・・・・・・。

こんな感じで書きだすのはほぼ一般的でしょうか。

これが英語になると、

Hi James,

I have concern about the costing of the XXX project as we discussed this morning・・・・

書き出しはこんな感じなので、この時点で日本とはかなり違います。

さて、問題の上下関係ですが、、、
このメールの James、例文なのでなんとなく思い付きで勝手な名前を書きましたが、もし僕が社長に宛てたメールだとしてもこのまま何も変わりません。
では、James という人が僕の部下だったとしたら?
これもまったく同じで何一つ書き換えることはしません。
まるで上下関係が無視されているかのように思えなくもありません。

「さすがにお客さんに宛てたメールならこんな書き出しはないだろう・・・」
いえ、お客様へもこの書き出しです。
まぁ、中には日本の文化を良く知っていて、
Hi Taro-san,
Hello Taro-san, 
のような山田太郎さん宛の書き出しをする人もいます。
が、、、なにしろ外国人は、相手によって呼び方が変わるとか文体や表現を変えるとかすることはほぼありません。
少なくとも僕は見たことがありません。

僕の場合、日本人、しかも昭和のオッサンですから、いまだに抵抗感はあったりするんですけど、
僕よりも40才くらい若い人からメールをもらう時でさえ Hi Taro, 
※仮名 太郎としておきます。
です。
22、23才の新入社員が自分の父親よりも年上の人に対して呼び捨てでメールするなんて、日本ではあり得ませんよね。
やはり英語の中では上下関係によって表現は変わらないようです。

もうひとつ、上下関係を無視するかのような表現があります。

あなた
お前
てめぇ
貴様
お客様

自分が対話をする相手を指す時にはその人との関係性によって表現は変わります。
メールする相手が自分の弟なら、「お前の方で払っておいてね。」 となるでしょうし、相手が仕事上のお客様であれば間違っても 「お前の方でお支払いください」 なんて言いませんよね。
「お客様にてお支払いをいただけますようお願い致します。」
って感じでしょうか。

さて、これが英語になるとどうか?
You need to settle the payment by 31st July.
7月31日までに支払いしておいてください。
お客様に対しても 「あなた」 はYouです。
相手が弟や妹だろうと子供であろうが孫であろうが、おじいちゃんおばあちゃんであっても二人称単数は You 以外にありません。
これもまた上下関係の概念がないと思わざるを得ません。

どうしても上下関係を明確しなければいけない場合もあるようです。
例えば軍人などはそうですね。
一番下の兵士と上官、士官とが会話をする時に

上の人が下の人に対して

Did you see that ?  (お前、あれを見たのか?)

というのは普通です。
質問に対する答えを下の人から上の人に対して言う場合には、

Yes sir.
No sir.
I didn't see that sir.

You という言葉はそのまま残りますが、文末に sir を付けることで、
階級や身分の違いを明確にしています。

一流ホテルでもベルボーイが使うことがありますが、
例えば男性の宿泊客が困っていたりすると、

May I help you sir?

と声をかけてくれることがあります。
sir を文末に付けることで、私はあなたに仕える身分の者ですよということを示しています。

僕が知っている上下関係はこのくらいでしょうか。
これ以外の殆どで、上下関係は会話の中でも挨拶の中でも見られないのが英語です。

典型的な日本人の僕は。慣れるまでに随分時間がかかりました。

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