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いきなり大型バイクは危険なのか

バイク系YouTuberの方々がそれぞれの思いや考えを動画の中で語られています。
議論が分かれるところではありますが、二輪免許を取っていきなり大型バイクに乗るのは危険なのかそうではないのかと言うお話です。
かなり多くの動画でこのことが語られているので、僕もこれを取り上げてみました。



◆僕なりの結論

賛否両論、皆さん意見がおありのようですが、良い悪いは別にして僕は他の皆さんとは少し違う視点から見ているのではないかと思います。
あくまでも条件付きではありますが、

大型であろうと小型であろうと、事故のリスクに大きな違いはない

これは二輪車の特性が他に類がないほど特殊なもので、乗り手の方がその辺をきっちり理解/対応した運転ができているかどうかにかかっているのです。
ある条件が満たされるのであれば小型でも大型でもリスクに大きな違いはありません。
でも、ある条件が満たされなければ小型だろうが大型だろうが事故のリスクは一気に高くなります。

この「ある条件が満たされる」とは何か、以下に詳しく書きたいと思います。

◆操作の違い

まず最初に念頭におくこととして、
大型も中型も原付も操作自体はなんら変わらない
という大前提があります。

スクーターは別として、バイクは排気量に関係なく左手でクラッチレバーを握り左足でギヤチェンジする。
右手を捻ってアクセルを調整し、右手右足で前後のブレーキ操作。
排気量が違うとアクセルを操作した時に一定の速度に達するまでの時間が大きく異なるのが通常ですが、唯一ここだけが大型と小型の違いではあります。
これについては『加速の違い』の中で触れましょう。
体重移動、重心移動という点では車種によって違いがあるともないとも言えない部分があるので「車重の違い」の中で触れることにします。

◆加速の違い

「大型はすぐに速度が出る」、一般的に加速が良い表現されます。
すべてにおいてそうだとは断言できませんが、普通に考えれば排気量が大きくなればなるほど加速も良くなります。
問題はこの事が、「免許を取っていきなり大型は危険」ということにつながるか? ということです。

仮に、50km/hで走ろうと思う人がいたとします。
この人が250ccのバイクで6、7秒くらいかけて50km/hまで加速します。
同じ人が大型に乗ったら4、5秒くらいの時間で50km/hへ加速することができるのだと思います。
この道路を50km/hで走ろうと思ったら125ccだろうと1400ccだろうと50km/hで走るわけです。
確かに50km/hに達するまでの時間は大型の方が早いかもしれませんが、
それは乗り手の意思でコントロールするわけで、大型バイクなら常に早いわけではありません。
ですので、乗り手のコントロール次第で早くできたり遅くできたりする加速の違いが危険であるとは考えにくいと考えられます。
もっと言うなら、50km/hで走りたいのに100km/hになってしまうような、速度も満足にコントロールできない乗り手だったとしたら、大型小型を語る以前にバイクに乗ることそれ自体が危険なのでやめた方が良いって話ですよね。

◆車重の違い

オートバイならではの運転する上での特徴として体重移動、重心移動ということがあります。
50cc と 1000cc を超えるバイクを比べればその差は歴然です。
60kg, 70kg のバイクなら簡単に振り回せますがさすがに200kgを超える車重だと原付のようにはいきません。

ただ、この車重の違いが初心者にとって本当に危険なのかというとどうなんでしょうか?
僕には車重があるから危険が大きくなるという根拠になるようには思えません。
実際に僕が以前乗っていた400cc、250cc、今現在乗っている 1300cc を比べた時に切り返しや急な旋回などで不都合があるかと聞かれても不都合があるとは全然思っていません。
むしろCB1300の方が軽く動いてくれていますし重心や体重移動による車体の
挙動や姿勢コントロールは楽です。
確かに狭い道路でのUターンや取り回しなら圧倒的に400や250の方が有利ですが、それらはどれも走行中というよりは動かしているに近いか、限りなく停止している状況に近い状況でのことですので無視して良いレベルだと思います。

また立ちゴケを心配する人もいます。

・発進時に大型車でエンストすると立ちゴケの可能性が高い
・足着き性が悪いと立ちゴケする可能性が高い

大型バイクではこういう不安や心配をするバイク乗りが多いのは事実です。
しかし、中型バイクとしての400cc のバイク、大型バイクとしての1000cc 以上のバイク、もちろん車種にもよるので一概に比較することはできませんが、中型バイクの方が足つきが悪いとか車重が重いということが実際にはあります。
ですので一概に大型が不利だとも言い切れません。

また、立ちゴケと言えども200kg 近い或いは300kg 近いバイクが横倒しになれば怪我をすることがないとは決して言い切れません。
危険であることには違いないでしょう。
ですが、この記事のタイトルである「いきなり大型バイクは危険」の危険という意味はもっと違うところにあるはずです。
バイク乗り自身が転倒や事故で怪我をしたり命を落とす危険、
他の車やバイク、自転車、歩行者に対する危険、
そこが主体ですので、立ちゴケの話は無視しても良いレベルかと思います。

◆スピードに対する慣れ

僕自身にも覚えがあります。
18才の時、中型限定の二輪免許(当時の呼称)を取って最初に購入したのは400ccのバイクでした。
目がスピードに慣れていないので最初は40km/hでもドキドキでした。
少しずつ目が慣れて60km/hくらい出せるようになると、周りの動きに目がついていけるようになりますが、80km/hくらいではまだ少し怖さがありました。
1ヶ月も乗り続けると、100km/hでも怖いという感覚はほぼなくなりました。
こんな風に、スピードに対して、
・怖いと思う感覚 ・・・ 目がスピードに慣れていないということを自分で
                                           自覚できている証拠
・スピードに目を慣らす ・・・ 物や人の動きを的確に捉える能力の向上
                                                      目が慣れれば周囲の状況を把握できる
これらはとても重要なことで、バイクを運転する上では絶対に欠かせないことです。
自分のスピードだけではなく、他の車やバイクが自分との対比でどの程度の速さで走っているのかまでを読み取りながら走る必要があるので、
これらのことが欠落していると事故に直結します。

さて、「いきなり大型は危険なのか?」というお題に話を戻しましょう。
250cc のバイクで出す 60km/h 、1400ccのバイクで出す 60km/hとの間には何か違いがあるでしょうか?
排気量が違うと周りの見え方がガラリと変わるというのであれば別ですが、
僕には違いがあるようには思えません。
・怖いと思ったらそれ以上のスピードを求めない。
・常に周りの状況を目で追えて相対的な位置やスピードを正確に掴むこと
この2つがしっかりできていれば排気量の大小によって危険につながるとは考えにくいと思います。
逆に、これら2つのことが適格にできなければ小型バイクでも事故を起こす可能性は大きいと言って間違いありません。

◆何が事故を招くのか?

大型か小型かを一旦忘れ、バイク事故の内容ごとに原因になりそうなことを整理しました。
もしこれらの原因の中に、『大型バイクにしかない』という原因があるのなら、初心者のいきなり大型は危険であると言えるのかもしれません。

事故を起こす原因は何か?

★自爆・自損
よく聞く話としては
・コーナーリング中の転倒や直進中の転倒
・コーナーを曲がり切れずに壁やガードレールなどに激突
などが多いのでしょう。

転倒に関して言えば
・路面に落ちている落ち葉や小石、砂の上に乗ってしまった
・コーナーの深さに対して減速が十分にできていなかった
    これにより減速をしようとしてパニックブレーキで転倒
    または減速しきれずにコーナーの外側へ膨らんでガードレールや立木にぶ
    つかった
・直進している時に脇見をしてしまい路面の穴に気付かずタイヤがこの穴に
    ハマって転倒した
・濡れた路面を走行中、マンホール、橋のつなぎ目、グレーチング、白線
    などに乗ってしまい滑って転倒した
・走行中、急に車や人が飛びしたためパニックブレーキで転倒した

ほぼこれで出尽くしたように思えますが、この中に大型特有の原因はあるでしょうか?
どの事故をとってもバイクの大小や操作によるものではなく、乗り手の不注意が原因であるとは言えないでしょうか?

・路面の状況をしっかり見ていなかった
・自分のスピード感とコーナーを曲がれるスピードが合わない判断ミス
・脇見運転や前方/後方不注意
・単純な操作ミス(パニックブレーキでのブレーキロックなど)

さて、これらの運転者のミスや不注意、バイクの排気量が小さければなくなるのでしょうか?
大型バイクだとこういう不注意は増えるのでしょうか?
僕にはそうは思えないのです。
これらは全て、大型中型小型を論じる以前に、バイクを運転することに適しているかどうかという問題だと思います。

★他車との接触や衝突
ありとあらゆる状況が想定できるので難しい話ではありますが、
・対向者が自分の車線にいきなりはみ出したり逆走してきた
・脇見運転をして前車が停止しているのに気づかずに後ろから追突した
・車の左側をすり抜けしていたら交差点で車が左折して巻き込まれた
・交差点を左折しようとして自分が歩行者や自転車に接触した
・交差点で車との右直事故
・車から幅寄せされそうになった

これに関しても前述の自損事故とほぼ同じと考えて良いと思います。
他車の動きに注意を払い、どこにどんな危険が隠れているのかを察知しながら走る。
察知した情報を基にして自身のバイクの操作をする。
これらの運転技術もやはりバイクの排気量に関係して大きくなったり小さくなったりするとは思えません。

★もらい事故
こればかりは大型、中型、小型、原付、バイクの大きさに関係なく相手方の方に原因があるのであれば避けようのないものなので、「いきなり大型は危険か?」というテーマでは取り上げる意味がなさそうです。
ただ、もらい事故を事前に予知して未然に防ぐという意味では、経験的に「危険な状況」を避けるための行動をとることはできる可能性があります。
もちろん、これは長い間の経験で培われるものなので、初心者が大型に乗ろうと小型に乗ろうと、ベテランであっても注意しておく方が良いポイントはあります。

・タイトな左のブラインドコーナーで中央線寄りにライン取りせずに、左側
   を走るようにする。
    見えない所からいきなり中央線を越えて対向車が現れる場合に備えます。
・交差点を直進する時には必ず右折しようとする対向車があるかどうかを見
    る。
・車と並走する状況で、万一幅寄せされたら逃げるスペースがあるかどうか
    を確認しておく。
    スペースがないのなら減速して車を先行させる。

バイクを運転しながら危険予測、危険予知を行うことである程度はもらい事故を防げる可能性はあると思います。
これらもやはり、排気量とは関係なく乗る人の意識の問題なのでしょう。

◆まとめ

こうやってひとつひとつのことを考えていくと、「免許を取っていきなり大型は危ない」という根拠が見当たらないように思います。
確かに、免許を取ってしばらくの間バイクの運転に慣れるまでは危険な度合いは高いと思います。
しかしそれは排気量の大小やバイクの車格の大小とは関係なく、注意力や意識、危険を認知する能力にかかっているとしか思えません。

だとすると、、、
「免許を取っていきなり大型は危険だ」
というある意味での風評をするのではなく、
バイクに乗る時に気を付けるべきことは何か?
どんな運転をすれば事故を防げるのか?
本当の安全運転とは何か?
こういうことを世の中のバイク乗りに周知させて欲しいと思います。

色々、生意気を言って申し訳ありません。

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