第92話止 エピローグ

 永遠。
 過去・現在から未来に至るまで、時間を超越して、無限に続くこと。

「ずっと一緒だよ…」
 テレビドラマ、映画、小説、マンガ、そして現実世界でボクらはこのような言葉をよく使う。
 ずっと一緒。
 これは永遠と同じような意味合いに捉えられるけれど少し違う。
 ボクらの永遠は、永遠じゃない。
 限りがある。

 父、母、兄、ボク。
 ボクらは家族だ。
 今までずっと一緒だった。
「これからもずっと一緒だ!!」
 そんな風に思いたいんだけど…残念ながらそれは無理そうだ。
 なぜならボクらの命には限りがあるから。
 順当で行けば、父と母が先に亡くなる。
 10年、20年…頑張ればあと30年?
 ずっと一緒だと思った時間は終わりを迎える。
 最近ふわっと頭をよぎる。

 言っておくけど、そんなに悲観的じゃない。
「まぁいつかそんな日が来るんだよな~」
 程度の話だ。
 でもその日はいつか必ずやってくるのだ。

 心。
 目には見えないんだけど、確かに存在するもの。
 そしてボクの心の中には家族との思い出がたくさん詰まっている。

 「君を幸せにします!!」
 こんな臭いセリフがあるけれど、これは間違いのような気がする。
 いろんな意見があると思うけど、幸せはするのでもされるものでもなく、つくりあげていくものなんじゃないだろうか?
 なぜならボクは家族との思い出を、家族と一緒につくってきたものだから。
 みんな手探りの状態で、見よう見まねで。
 楽しかったことだけじゃなかった。
 ぶつかり合うことも必要だった。
 でもそのおかげで今がある。
 不思議と今じゃあほとんどがいい思い出だ。
 思い出補正とやらはすごい力を持っている。
 おかげで今まで生きていた中で、今が一番家族のことが好きだ。
 まいっちまう。

 プロローグでボクは自分の家族を「普通の家族」と説明した。
 これはエピローグを書いている今でも変わっていない。
 どこにでもある家族だ。
 でも捨てたもんじゃない。
 今なら声を大にして言える。
「ボクは家族ガチャで大当たりを引いた!!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?