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評価とは何か

昔、とあるキャバクラで女の子を場内指名した。
その子は愛想が良くその後も何度か通うことになり、アフターで飲んでいたときのこと。
朝まで付き合わせてしまい、タクシー代と言って少し多めのお金を渡そうとした時だ。
「私はいらないから次お店で使って!」と笑顔で言い放ち、早朝の電車で帰っていった。

その後も似たようなシチュエーションがあったがいつでも同じだった。
本来ならばそもそもアフターなんてお金にならないしあまり行きたくない、ましてや朝まで付き合うなんてしんどい、それなら少しでもいいから小遣いぐらい欲しい、と思うのが普通じゃないだろうか。

「同じ額ならお店で使うより直接もらった方が嬉しくない?」

「たいした金じゃないなら(それで財布を圧迫するぐらいなら)またお店来てね!」(そう聞こえてくる。)

当然、お店で使えば
収入=会計ー(商品原価+諸経費+店の取り分)
となるわけだから身入りは少なくなる。
しかし、それでもお店で使ってもらいたいと言うのだ。

組織において評価とは誰にされるべきかを考えるとき、たまに間違える人がいる。
飲食店、とくに接客重視型の酒場においてはお客さんとの距離が近くなる。
目の前のお客さんを楽しませたいという気持ちは正しい。が、そのお客さんから評価されたい、というのは間違いである。

どういうことか。
例えば一般的な飲食店企業で言えば
スタッフは店長に評価され、
店長はエリアマネージャーに評価され、
エリアマネージャーは社長に評価される。

では社長(会社)は?
お客さん(マーケット)に評価されるのだ。

要するにスタッフはお客さんにではなく、店長に評価されることになる。
なぜならスタッフの給料を決めるのは店長であり、お客さんではない。さらに言えば社長でもない。
なのでスタッフはお客さんを楽しませながら店長から評価をされないといけない。評価をされれば役職が上がる。役職が上がればできる仕事の幅も広がり給料も上がる。

組織人でないキャバ嬢の場合でも大して変わりはしない。
お客さんを楽しませることで売上があがり、店内での序列が変わる。トップを取れば業界に評価され高級店で働くことができる。そこでも売上を上げれば自分でお店を始めたり、ブランドを立ち上げたりしだす。
どちらにしろお客さんは評価者ではなく、ファンなのであり、こうして一時の小さな収入では無い安定した大きな収入につながっていく。

今どきのキャバ嬢は物事をよく理解している。
仕事というのは誰に評価されるべきかを履き違えてはならない。