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【清泉女子大学との協働】「わたし」のためのプロジェクトを作り、実行する

rokuyouでは清泉女子大学と協働し、授業の中で学生たちが「マイプロジェクト」を構想し、実践していく後押しをしています。本記事では、NPO法人青春基地と共に取り組んだ2022年の取り組みを振り返り、「何を大切にした授業なのか」「学生たちがどのように向き合ったのか」などをお届けします。また、次回以降は学生たちの具体的なプロジェクトも紹介していきますのでお楽しみください!

「わたし」を基軸にしたプロジェクトの重要性

2022年度は清泉女子大学地球市民学科1年次(後期)において、全7回講義でマイプロジェクトに取り組みました。今年度、重視した授業のゴールは大きく2つありました。

【授業のゴール】
「わたし」のためのプロジェクトをつくり、アクションすることができる
②マイプロジェクト実践の中で多様な人と出会い、自己開示や他者との対話を通じて得た気づきから、「わたし」のプロジェクトを深めることができる

前年度も、「自分自身にフォーカスを当ててプロジェクトを作る」という意味で「一人称を大事する」と、お伝えしてきました。しかし、学生たちに向けて「プロジェクト」という言葉を使うと、「社会課題を解決する提案をしなければいけない」といったように構えてしまいます。「わたし」ではなく、「社会を基軸に考えていく」というアプローチになりがちだったのです。

しかし、本来であれば、自分を社会にどう活かすかを検討する土台を作っていけるように、「自分は何が好きか」「どんな愛着を持っているか」「何に興味があるか」など、「わたし」を基軸にする必要があるはずです。そこで、「わたし」を紐解いていくことに時間をかけて、取り組んでいきました。

授業でのポイント①「コラージュによる中間発表」

全7回の各授業の目的は下記の通りです。

全7回の各授業の目的

授業の初回は、MFF(ミッションフォーファン)やマインドマップを描いて「わたし」を俯瞰的に見て、把握することに重点を置きました。「自分の心が動く瞬間ってどんな時だろう?」「時間を忘れてしまう時はどんなことをしている時だろう?」といった投げかけをして、自分自身を掘り下げていくことで、マイプロジェクトのテーマ設定につなげていきました。

中には、思いを言葉で整理することが得意な学生ばかりではありません。そこで、マイプロジェクトに向けた中間発表はコラージュの手法を使って行いました。「花が好き」という理由で黙々と花を織り続ける学生、多彩なイメージで表現できるように私物の文具を持ち込む学生、最初は乗り気でなかったのに突然スイッチが入り作業に没頭する学生など、印象的な姿がたくさん見られました。

コラージュに取り組んでいる様子

授業でのポイント②「越境」

全体を通じて最も重要だったポイントは、「越境」の概念を取り入れたことでした。「越境」とは、日頃接点のない方に話を聞きに行ったり、知らない場所に行ったり、やったことがないことをやったりといった、自分一人で完結せずに新しい文化と出会う体験に踏み出すことです。

マイプロジェクトはともすれば、「調べて終わり」になりがちです。しかし、それでは自分の中で思考するだけにとどまってしまいます。これまで踏み出したことのなかった自分の枠外に越境することで、「私は本当はこんなことが好きかも」「もともと◯◯に興味があると思っていたけれど、もしかしたら△△の方に関心があるのかも」「××は私はやりたくないと思った」など、新たなことに気づき、今まで出会ったことのない「わたし」に出会うことができます。

そして、何よりもこれまで取り組んだことがないことに挑戦する方が、ずっとおもしろい体験になるはずです。

こうした「越境」に踏み出す準備として行ったのが、インタビューワークショップです。面識のない社会人を各グループに1人ずつ配置し、学生たちがその方の人生や職業観などについてインタビューを行いました。

学生たちから人生相談を受けるような対話の場になっていたグループや、インタビュイーの率直な回答に触発されて誰にも言えなかった悩みを打ち明ける学生の姿などが見られました。学生たちにとって、面識のない社会人と深い話をするおもしろさを体感する機会になったと考えています。

インタビューワークショップの様子

今後に向けて……

「越境」はマイプロジェクトや探究学習において非常に重要な概念です。ただ、抽象度が高いゆえに、学生や生徒への理解を促すことが難しい。言葉を尽くして説明しても、なかなか伝わりきらず、ちょっとした調べ学習だけで終わってしまうケースもありました。

また、著名人へのインタビューなどハードルが高い挑戦を「越境」として捉えている学生が少なからずいました。本来は、「身近だけれど、これまで真剣に話を聞いたことがなかった存在に話を聞く」「気になっていたけれど足を運べていなかった場所に赴く」なども越境として捉えられるはず。

そこで、今後、「越境」の概念を伝える学生や生徒に対しては、越境のアクションの定義を具体的に示していくことが重要ではないかと考えています。「越境」をプロジェクトの山場として設定し、より自分らしい探究活動を後押しする仕組みを構築していきます。

次回は、学生たちのマイプロジェクト事例を紹介していきます! おたのしみに!



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