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母の日は地獄でした【毒親】

今年も母の日に何も贈りたくなかった。

読者の皆さんは、「この親不孝者!」と断じるのを少し待ってほしい。
結婚して最初の年、私は母の日にチョコレートを贈ったのだ。もともと母はチョコが好きなので、ちょっとお高いリンツのチョコを贈った。

するとお礼どころか、「こんなチョコボールみたいなのを送ってきて!」と文句を言い、「これは義理のお母さんにも送ったんですか?それだったら非常識だと思います」と人格否定に加えて義母も気を悪くしているに違いないという根拠のない不安を煽ってきた。

もし私の自尊心があまりにも低かったら、「え!そうなのかしら。私ってバカなんだわ」「義母にだって謝らないと」と思いつめていたことだろう。こうやって毒親は子の自尊心をえぐって思考を停止させ、自分では何も決められない人間にして支配していくのである。私はもう立ち直っているので、そのコミュニケーション構造を冷静に眺め、「他人と思うことにしよう」と決めた。

そしてこの変なおばさんに自分から一切関わらないことにしたのである。

ちなみにであるが義母はまともな人であり、勿論もらったチョコボール(笑)におかしな説教や嫌味などは言わなかった。「ありがとう」と普通の反応があり、「美味しかったです」と愛想よく感想の連絡もあって、社会性が高く、人当たりの良い人物像が垣間見えた。そこまで母に高等なコミュニケーションテクニックは望まないから、もらったものには適当に「ありがとう」と言えばよいのではと思う。

例えば「こんにちは」と言ったら「こんにちは」と返す。コミュニケーションの基本だ。そこでいきなり「なんだと!」と殴り掛かってくる奴がいたら距離を置くに決まっている。母がやっていることはそういうことなのである。気に入らないならそっと胸にしまうか、友人にでも愚痴ればいいじゃないか。だが友達だってリンツのチョコで怒り狂う母に「ちょっと言い過ぎでは?」と引くことだろう。お前は自分の社会性の低さを悔い改めろ。

そんなことがあり、ややこしいので双方の両親にプレゼントを送るのをしばらく止めていた。

しかし今年は夫が母の日に義母に入浴剤を贈った。義母は乳がんで胸を摘出しており「傷跡を見られたくない」という理由から温泉に行かなくなっていた。だから温泉のもとを贈りたかったのだ。そう、いい人にはこちらから贈りたいな~と思うのが自然なのである。

さて義実家に送ったら、自分の親にも何か送らないとカドが立つなと思い、花が好きな母にネットショップでカーネーションのフラワーアレンジメントを買って送った。家族共有の楽天市場のIDで。そのIDは夫名義だったので、送り主は夫だった。だが母にはあらかじめ「私が選んで買ったやつ送るわ」と連絡した。念のため私の名前で書いたメッセージカードも忍ばせておいた。「夫君からきた!娘はなぜ送らない!」と馬鹿なことを言い出しそうだったからだ。

実家に花が届いた日の夜は、愛想よく夫のLINEに連絡があり、「有難う。綺麗だわ」と言っていた。まあ丸く収まってよかったなあと思ったのだが…夜中に長文のLINEが着た。

内容は「娘ともっと会いたい」だの、「なぜ送り主が夫氏なのか」だの、つらつらと書かれていた。メッセージカードもあらかじめの電話も意味なかった。さらに「自分は被害者で、娘が自分をないがしろにする」といった感じの内容が続いており怖くなって既読スルーした。もしこのLINEに反応したら、母のこうあってほしい物語に巻き込まれ、疲弊する未来が見えた。

やや話が飛躍するが、自分の親がロボットだったら良かったと思う

昔は他所の愛想のいいお母さんが羨ましかったが、今はロボットの方がいいと思ってる。私はロボットと人間の関係がテーマである「イヴの時間」というアニメが好きで、そこには子供とロボットとの関係も描かれているのだが、ロボットは人間を尊重し傷つけない。ロボット3原則というものがあって、ロボットは人のために尽くしてくれるのだ。

第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。


— 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版、『われはロボット』より

ウィキペディア

魂を持たない合理的な存在であるロボットは人間よりも養育に向いているじゃないかとさえ思う。

ロボットは気分で子を傷つけない、いつもマトモな反応をしてくれる。それって、基本的な安心感をはぐくむ絶対条件じゃないのか。そして母も理想の娘…なんでも聞いてくれて、暇なときは相手してくれて、問題をなんでも解決してくれる親であり姉であり、たまに偉そうにしたいから自分よりも弱い子である存在を求めている。お前こそ、娘はロボットが良かったんじゃないか。

私は魂のある非合理的な人間だから、ロボットのように完ぺきに対処はできず、バッテリーじゃなくて精神がすり減る。だから母も含め人とのコミュニケーションや情のやり取りではコストパフォーマンスを考えるようになった。「今この人々と付き合うことにどれくらいのコストと見返りがあるのか?」、そんなことを頭の中で計算するようになった。そうしないと枯渇してしまう…無償で無限の愛などこの世にはないのだ。我ながら冷たい人間だと思う。

このまま体も冷え切って、硬く壊れないロボットになりたい。

最後まで読んでい頂き有難うございます☆湿っぽいしめくくりでしたが、私は全く落ち込んでないです!良かったらスキも押してくれると嬉しいです👣

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