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夫、バイクに乗る【休職日記】

義父が125ccの原付二種を処分するらしい…。聞きつけた時には興味がなかったが、翌週に夫が休職してしまった。

私達が住む町はプチ田舎である。
頑張ればイオンモールには行けるが、文化施設が殆どない。完全に車社会だ。我が家には自動車が1台ある。けど日中私が自動車通勤で使っているから、休職中の夫はチャリしか使えない。チャリ圏内には図書館すらないのに。

バイクくらいあったら行動範囲が広がるのに…!いや、あるぞ。

すぐに義父に連絡した。せっせとナンバープレートを取得し、自賠責と任意保険に入り、はるばる隣県の義実家からバイクをもらってきた。

初めてのタンデムでは図書館へ行った。

いつか我が町にも分館ができるらしい…そんな噂はあるものの、今のところ図書館は遠いまま。土曜日の国道はやたらと混んでおり車に乗るのも億劫だ。外は快晴…

乗らない手はなかった。

ヘルメットは実家から2つ貰っていたので、それぞれ装着。紐のとめ方が分からないから夫から数回レクチャーをうける。収納されている2ケツ用の足置きを出し、後ろに座って、、、

おや?

「どこ掴んでたらええねん」
「腰にまわして」
「腹出てて腕回らんわ」
「後ろに手をついてもいいよ」
「いやバランスとれへんやん。振り落とされたらどないすんねん」

がやがや言いながらバイクは発進した。
後部席から夫にくっつくと、カチカチとヘルメット同士がぶつかる。ぎゅっと彼に抱きついて…とはいかない。青春アニメやドラマじゃないのだ。

しかたなくヨレヨレのシャツを掴む。ヘルメットは当たらないが、腰が痛い。バランスをとるために、変な力が入っているようだ。停車のタイミングでやや離れて座る。前かがみになってみる。これなら骨盤を縦にした方がいいかも…。おや?この姿勢知ってる。呼吸のポーズや。

ヨガか?

景色はどんどん流れ、車だと見落とすようなことに気づく。

「淡路島バーガーなくなってるやん」
「こんなとこ、誰も食いに来ぃひんもんな」
「店出す時に気づかんのかね」

渋滞で動かない車の横をすり抜けていく。

「うわ、擦ったらどうするん」
「いや行けるで」
「ほんまや、普通に行けるな」

風が強いと抵抗を最小限にするため、うつむいた。
意味があるのか分からんが、バババババ!と風がぶつかる音かして、「今、耐えてる!」って感じがした。そして、図書館へは無事ついた。スクーターなので夫婦で20冊ほど借りた本も荷入れに十分入った。

GWにはフードイベントにも行った。
いつもならビールをがばがば飲むが、運転しないとはいえバイクに乗るので飲まなかった。おかげで無駄使いしなくて済み(酔っぱらうと沢山食べたり飲んだりしちゃうよね)、野外コンサートを穏やかに楽しめた。晴れていて、海と空がきれいだった。

駅前にも行った。
車だと駐車場代が1500円から2000円かかるところ、原付だと380円で停められた(サイズによって値段設定が違った)。普段停めないバイク置き場に停めると、高架下に新しい飲食店が出来ているのに気付いた。餡かけ焼きそばに揚げ餃子…うまそうだ。

そんな感じで、私達夫婦のバイク生活が始まった。これから色々出かけてみたい。淡路島バーガーを淡路島で食べるのもいいだろう。本場の味ってやつだ。晴れた日に。気持ちの良い風を浴びて。

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