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[要旨]

財務会計は、過去の会社の収支の状況を、会社の外部の投資家などへ報告するために、統一された方法で作成されますが、管理会計は、事業活動の将来の予測を、会社の内部の経営者などへ報告するために、会社が自由に決めた方法で作成されます。


[本文]

前回、管理会計は、自社のことを銀行に詳しく伝えるために大切なツールであるということを書きました。今回は、管理会計そのものについて述べたいと思うのですが、特に、利用者と目的についてお伝えします。会計は、そもそもは、出資者への配分を計算するために作られたツールです。

よく挙げられる例は、ヨーロッパの大航海時代に、商人が貿易で航海に出るたびに、出資者からお金を集め、航海が終わった後に、その貿易で得られた利益を出資者に配分するため、収入と支出の記録を行ったものが会計というものです。すなわち、いわゆる会計は、過去の収入と支出の事実を記録したもので、出資者のために行われていました。

これが、現在では財務会計として引き継がれ、会社の事業活動の結果を財務面で示す資料として利用されています。そして、それは、当然のことながら、出資者である株主が、きちんと事業で利益が得られているかどうかや、適切に利益が株主に還元されているかどうかを判断するためにも利用されています。すなわち、財務会計は、出資者への報告書という目的のために作成されています。

そして、このような財務会計の性質から、財務会計は、「企業会計基準」などによって作成方法が規定されており、どの会社も統一された方法で決算書を作成することが義務付けられています。なぜなら、会計記録の方法が会社によって自由に決めることができる状態では、投資家は、その正確性に疑義を持つことになるからです。

以上が、財務会計の特徴ですが、これに対して、管理会計は、財務会計とは逆の面がいくつかあります。ひとつめの特徴は、利用者が異なるということです。財務会計は、投資家など、外部の人に報告するものですが、管理会計は、会社内部の経営者が、自社の戦略や活動方針を決めるために利用するものなので、「経営会計」と呼ばれることもあります。

ふたつめは、報告の対象となる期間が異なるということです。財務会計は、過去の収入や支出の事実を報告するものですが、管理会計は、将来の予測のために使うものです。具体的には、管理会計は、新しい設備投資は採算が得られるのか、新商品はどれくらいの利益が見込めるのかといった、将来を予測するために利用されます。

みっつめは、作成方法です。前述の通り、財務会計は作成方法が統一されていますが、管理会計は、経営者が自社の内部だけで使うので、どのように作成するかは、会社が独自に決めることができます。そのため、会社の業種や方針に合わせて、より使いやすい方法で作成することができます。

以上をまとめると次のようになります。財務会計は、過去の会社の収支の状況を、会社の外部の投資家などへ報告するために、統一された方法で作成されますが、管理会計は、事業活動の将来の予測を、会社の内部の経営者などへ報告するために、会社が自由に決めた方法で作成されます。次回は、管理会計には、具体的にどのようなものがあるかを説明します。

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