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感謝を伝えると喜びが拡大していく

[要旨]

社内においては、いわゆる報連相によってコミュニケーションを密にすることが励行されていますが、これを社外に対して行なう例は少ないようです。しかし、お世話になった方に対して、お礼や報告を行うことで、さらに良好な関係を築くことができ、新たなビジネスチャンスをつかむことができるようになります。

[本文]

今回も、中小企業診断士の渡辺信也先生のご著書、「おたく以外にも業者ならいくらでもいるんだよ。…と言われたら-社長が無理と我慢をやめて成功を引き寄せる法則22」を拝読し、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。前回は、渡辺先生のご著書で紹介されている、成功を引き寄せる22の法則のうち、「法則10:曖昧な喜びがお金の雪だるまを作る」を説明しましたが、今回は、「法則21:報連相をすると、仕事が増える」について説明したいと思います。

「報告、連絡、相談のことを『ほうれんそう』といいます。コミュニケーションを密にしていきましょうという趣旨であり、会社組織の中では情報共有が大切だという趣旨で伝えられることが多くあります。しかし、中小企業では、社外の方とコミュニケーションをとる際、報告・連絡・相談が弱い、または、まったくされないこともあります。中小企業同士のコミュニケーションで大切なことは、ズバリ、御礼です。枕詞に『おかげさまで』という言葉を使うと、良い関係性が築けるようになります。社長は、上に立つ方です。しっかりプライドを持っています。何か行動したことに対し、何らかのプラスの作用や貢献を意識している方が多くいます。

自分のしたことが役に立ったり、お金が回っていくことが善としている経営者ほど、こうした意識は高いかもしれません。丁寧に報告や御礼をすることで、お気持ちに対して、応えることになります。別に、見返りとか、恩返しを期待しているのではなく、ただ、報告や御礼の一言がほしい、こうした経営者は意外と多いように感じています。そうした中、報告がなかったり、御礼がなかいことでプライドが傷つき、関係性がこじれることがあります。このため、報告、連絡、相談がまめな方ほど、相手から気に入ってもらい、さらに仕事を紹介されたり、新しい仕事が舞い込んできたりします」(153ページ)

この、報告やお礼をまめにすることで、業績も改善するということについては、ほとんどの方がご理解されると思います。しかし、それを理解しつつも、目の前の忙しさにかまけて、報告をしないままになってしまうという方は少なくないようです。そして、これについては、私は、別の分析をしています。すなわち、お世話になった方に報告まで行うことができる人は、計画的な行動ができる方なのだと思います。

一方、報告はした方がよいと思いつつ、それをどんどん先延ばしにしてしまい、最終的には報告しないままになってしまう方は、計画的な行動が苦手な方なのだと思います。ビジネスパーソンとしてどちらがよい成果を得られるかと言えば、計画的な行動をする人ということは言うまでもありません。そして、繰り返しになりますが、計画的な行動ができる人は、きちんと報告することで、さらによい流れをつかむことができるのでしょう。ちなみに、報告をすることについては、銀行取引についても当てはまります。

経営者の方の中には、「お世話になった人に報告はした方がよいと思うけれど、銀行にまでわざわざ報告をする必要はないのでは?」と考える方がいるかもしれません。でも、銀行に、いわゆる「仁義を切る」必要があるのかどうかは別にして、銀行にも報告をすることは、報告をした方にとってもメリットはあります。正直なところ、銀行は、融資相手の会社のすべてのことを知っていません。そこで、融資相手の会社の経営者の方からの情報がなければ、財務諸表から得られる情報だけで融資相手の会社の評価し、融資をするかどうかの判断をすることになります。

でも、経営者の方が、融資を受けた後に銀行へ行って、その後の業況を報告すれば、その会社の財務諸表以外の情報を得ることができます。もちろん、銀行からの印象もよくなりますし、場合によっては、銀行がその会社の将来の資金見通しをして、早めに次回の融資の準備をすることもできます。繰り返しになりますが、銀行に仁義を切る必要がないとしても、銀行が自社の事業活動への協力を求める相手であるこに間違いはないわけですから、報告を行うことによって「コミュニケーションを密にする」ことは、決して損をすることはないと言えるでしょう。

2023/4/7 No.2305

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