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算数の成績は就学前から決着している?

クラスで算数ができる子はずっと決まっているようだ

「クラス分けテスト」、「できる人にはより発展的な内容を」、「じっくりやりたい人は基礎的な内容を」

 私立の学校の授業の話ではない。塾の授業でもない。公立の小学校の話である。我が子の通う学校の算数の授業では3年生から「習熟度別のクラス」を設けている。児童達を「どんどん(発展)」「しっかり(基礎)」「じっくり(復習)」と3つのコースに分けているようだ。そして、単元ごとにクラス分けテストを行い、本人の希望のも加味されてコースが決まる仕組みである。

 「個別最適化された」学びまでは程遠いが、より自分の理解度や学びにあった方法の選択ができるようになったという点では良い取り組みだと思う。

 さらに親の観点からは、子供の算数への習熟度や得意不得意、学びのスタイルを知ることができるという利点がある。小学校ではテストの順位も発表されるはずもないので、我が子の算数の調子は大丈夫かと知りたいときは、それとなく「今どのクラスで勉強しているの?」と聞くことにしている。

しかし、私の心配をよそに娘の返答は決まって「どんどんコースだよ」と言うもの。本人の言う通りで、3年生の時の通知表の算数は「よくできました」に丸がついている。どうやら、嬉しいことに、彼女は今のところ算数が得意らしい。

 一方で、彼女から気になることも聞いた。単元ごとに入れ替わるはずの習熟度別クラスだが、「どんどんコース」にいるメンバーは最初からほぼ固定されているらしい。では、それらの子達はどの段階で算数が得意になったのか?

幼児期の能力が算数の学力に影響する?

そんな疑問を抱えていた時に、「これが答えかもしれない!」という論文を見つけた。

Early Math Matters: Kindergarten Number Competence and Later Mathematics Outcomes
Nancy C. Jordan, David Kaplan, Chaitanya Ramineni, and Maria N. Locuniak

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2782699/

 米国のデラウェア大学の教授らが執筆した論文だが、研究の結果を受けて、算数の早期教育の重要性を説いている。一言で言うと「 幼児期の数的能力とその後の算数/数学のスコアに相関がある」ことを示している。

 具体的な実証実験とは、年長から小学校1年生の途中までの6時点における子どもの数的能力と、その後小学校1年生の終わりから中学校3年生の終わりまでの5時点における数学的達成度との関係を調べた。その結果、初期の数的能力と数学的達成度との関係は、研究期間を通じて強く、有意であった。幼稚園の数的能力は、1年生と3年生の間の数学的達成度の成長率、および3年生までの達成度を予測することが示された。さらに、初期の数的能力の成長率は、3年生における数学の成績レベルを予測した。

振り返れば、我が子は2人とも、年長、小学校1年生といえば、そろタッチでそろばん式暗算にどっぷり浸かっていた時期。毎日、30分の学習で暗算上級レベルまで到達していた。この時の数的能力はその年齢にしては極めて高かったと思う。長女に至っては、その結果、この論文が示しているように3年生に至るまでは算数が得意な状況を維持できたのかもしれない。

娘と同じ「どんどんコース」の固定メンバー達ももしかしたら、そろタッチ、そろばん、公文などで幼少期から数字に触れていた子なのかもしれない。

しかし、論文をよく読むと、3年生までの成績レベルは予想できるとは書いてあるものの、その後は相関があるとしか書かれていない。

さて、あと1ヶ月で夏休みが始まる。娘は、4年生最初の通知簿をもらうことになる。

真っ先に算数の成績を確認したいと思っている今日この頃である。

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