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【読書感想文】東野圭吾/ダイイング・アイ

 2011年初版のあと、2018年に文庫版の31版を購入している。しかし購入した理由が思い出せない。2018年というとちょうど営業になって1年ぐらいなので出張の移動中に読むために購入したのだと思われる。その後4年間読まずにいたが、捨てるのがもったいなくて目を通してみた。

*以下ネタバレ*
 
 冒頭で交通事故のシーンがあるのだが、その加害者で記憶喪失である雨村慎介が主人公だ。バーテンダーであり恋人もホステスであるという夜の街の小説だ。
 久々にこの手の本を読んだが、東野圭吾ということでかなり読みやすい。ストーリーに引き込まれる。
 慎介の店に妖艶な女性"瑠璃子"が現れるのだが、かなり官能的だ。あらゆる男性の興味をそそる表現になっていると思う。その表現につられて読み進めていくことになるのだが、なぜ瑠璃子がそのような女性なのか、なぜ慎介に近づいたのか、ということを軸にどんどんとストーリーが進んでいく。
 
 最後はややあっけない終わりのように見えるが、後味が良いとは言えない。また、交通事故の確率についての会話も興味深い。いつでも僕たちは被害者になるし、加害者にもなりうる。これがこの小説の一つのテーマだ。
 ややオカルティックな要素もありつつ、夜の街に生きる人たちの良質なミステリーだった。


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