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偽装一人親方の撲滅を|気ままに労働雑感

建設業における時間外労働の罰則付き上限規制の施行まで2年余りとなるなか、国土交通省において、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂に取り組んでいます。「偽装一人親方」問題への対処が目的です。

個人事業主である一人親方は法令上、発注者側には社会保険に加入させる義務がないうえ、働き方改革関連法に基づく年次有給休暇の取得義務や、時間外労働の罰則付き上限規制が適用されません。
そのため、一部の建設企業では規制逃れを目的として、労働者である技能者を一人親方にする「偽装一人親方化」の動きがみられます。
国交省では、下請指導ガイドラインの改訂などを通じて、偽装一人親方化に歯止めをかける考えです。

現在改訂作業を進めている下請指導ガイドラインでは、一人親方の定義を明確化したうえで、下請企業が一人親方に対して再下請契約を締結している場合の元請企業の役割・責任を明らかにする予定です。
元請企業はその役割・責任として、就業時間の拘束の有無や依頼に対する諾否、指揮監督状況などを項目とする「働き方に関する自己診断チェックリスト」の活用を下請企業に促して、一人親方にふさわしい働き方になっているかどうかを確認します。
チェックリストで確認した結果、雇用労働者に当てはまる働き方をしている人や、10歳代の一人親方、経験年数3年未満の一人親方に発注している下請に対しては、その人との雇用契約の締結のほか、社会保険の加入と法定福利費の確保を促すこととします。

本来労働者として保護されるべき人が、働き方も変わらないまま企業側の都合で「事業主」として扱われることがあってはなりません。
下請指導ガイドラインの改訂によって、建設業における一人親方の適正化が進むことを期待しています。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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