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パートナーシップ構築宣言企業の拡大に注目|気ままに労働雑感

サプライチェーン全体での共存・共栄や、下請取引の適正化に向けて取り組むことを企業が宣言・公表する「パートナーシップ構築宣言」の動きが加速しています。

同宣言は、サプライチェーン全体の共存と企業の規模・系列を越えた新たな連携のほか、働き方改革による下請企業へのしわ寄せ防止など下請中小企業振興法に基づく振興基準の遵守に取り組むことを表明するもので、昨年6月に創設されました。
政府は成長戦略2021において、宣言企業数の2000社到達をめざしています。

宣言企業数は、今年3月18日時点で1018社と、開始から9カ月余りで1000社を突破。
その後は9月27日時点で1500社を超える1519社、最新の10月12日時点で1777社に上るなど、企業の動きが加速しています。

同宣言を行うすべての企業は、取引先においても長時間労働の解消といった働き方改革を実施できるよう、適正な費用負担を伴わない短納期発注や、急な仕様変更を行わないことを表明します。
そのため、宣言企業の拡大は、働き方改革を課題とするような中小企業にとって望ましいものといえるでしょう。

同宣言制度のポータルサイトを運営する公益財団法人全国中小企業振興機関協会が宣言企業に実施したアンケートによると、取引先から働き方改革のしわ寄せに関連した具体的な改善要請や相談が行われた企業のうち、改善に向けて協議を行っている企業が6割に上っています。
実際に改善したと答えた企業は21%で、相談があった企業の5社に1社で改善されています。

発注者が同宣言を行っていることを下請中小企業が知れば、下請企業は取引上の課題について以前よりも相談が行いやすくなるでしょう。

中小企業においても長時間労働の削減などを実現できるよう、宣言企業の一層の増加と、宣言企業による取引企業への情報発信がさらに進むことを期待します。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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